ダイトレ全コース(前半)

昨日は予定通り、ダイトレの全コース走破へチャレンジしてきた。
精神的にも肉体的にも、途中で何度もリタイアを考えたが、何とかギリギリで持ちこたえて、最後まで走り通すことができた。ただし GPS の電池が途中で切れたため、地図の履歴は紀見峠手前まで。

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本当に行くかどうかを最終決断したのは土曜日の夕方だった。前日にはけっこう期待感を感じていたのだが、いざとなると不安が大きくなってきて、いつものクセで何か止める口実が無いかと探しだしていた。
しかし一度はやると決めたこと。ここで大きな理由も無いのに止めてしまうと、後々後悔をずっと引きずることになるし、いずれにしてもいつかはやらなくてはならないテーマだ。それならはやり今回、何としても実行に移そうと思い直して、夜の 10 時に家を出た。
ウエアをどうするかを迷ったが、上は長袖の登山用下着にランニング用の長袖ジップダウンシャツ。アプローチ用にウルトラライトジャケット。下はロングタイツ。アプローチ用にはウルトラライトパンツということにした。雨の心配は無さそうだ。防寒対策にネックウォーマーにもなるふわふわしたフリースの帽子を入れた。トレランポールは無し。そしてシューズは、今日の午前中に届いた新しい Salomon の XR Crossmax Neutral。
京橋と鶴橋で乗り換えて、近鉄の関屋駅へ着いたのは 11 時 39 分。途中、河内山本駅で反対ホームに信貴山口行きの電車が見えた時、あれに乗って、勝手知った生駒のコースに変更しようかという誘惑に一瞬かられた。
思った以上に寒い。着替え用の長袖下着シャツを持ってきているが、それ以外にはもう着るものが無い。これでこの先、一段と寒くなる時間帯に 1000m を越える金剛山へ向かって大丈夫だろうかと不安を感じる。取りあえずジャケットは上下とも着たままで、ヘッドランプとハンドライトで関屋駅をスタートした(23:47)。
ここからレースのダイトレで上がる岩屋峠までは未知のコースだ。
GPS のルート表示を確認しながら進むが、新しい住宅エリアに入るとさっそくわからなくなった。屯鶴峯とおぼしき山影をコースの目安にして進むが、早くもコースロスト。GPS の表示が安定しないので、現在地がどのあたりなのかはっきりわからない。
適当に進んでいると車の多い道に出て、GPS の表示が安定してきて、ようやく現在地を把握し、正しいルートに戻ることができた。そんなことでウロウロしているうちに身体が暖まってきたので、きれいな公衆トイレでジャケットを脱いだ。パンツも脱ぎたかったが、シューズを脱がなければならないのが面倒で、しばらくこのまま行くことにした。
屯鶴峯の階段ではダイトレの起点石を少し探してみたが、見つからなかった。階段を上がって、少し行って例の奇岩を少し登ったが、休憩ベンチのようなものがあって、その先のルートがわからなかったので、ここで引き返すことにした。
二上山への道はすぐにわかった。ようやく山道に入ってほっとしたが、これから明るくなるまではおそらく誰にも会わないだろう。むしろ誰にも会いたくない。こんな深夜の山道で他人に出会うのは不気味だ。
さっそくダイトレ名物の階段が始まった。ダイトレはこれがイヤなのだ。自分のリズムで歩けないし、階段を歩いていると山を歩いている感じがしない。こういうのを称して一般的には『登山道が整備されている』と言うのだろうが、私には山の風情を破壊しているとしか思えない。ただ、自然の山路だと人がたくさん歩くとどうしても荒れてくるので、その保護のためという面は理解できなくはないが。
二上山のピークはカットして、いつの間にやら岩屋峠を通過して、竹之内峠に出た。ここは数年前、初めてのダイトレのレース前に試走で通って以来だ。本番のレースではここは通らない。
試走の時もここで道がわからなくてウロウロさせられたが、今回も少しウロウロした。正規ルートに入ったら休憩エリアがあったので、ここで腰を下ろしてジェルを補給する。このあたりだと動いているとまださほど寒くはない。
レースのダイトレのコースと合流すると、また登山道になる。時々フラットな部分もあるが、おおむね登り基調。徐々に気温が下がってくるのがわかる。しかしこの程度なら動いていれば寒くはない。
岩橋峠でまた休憩して、葛城山へ向けて長い登りに入る。右側には大阪南部、左側には奈良の夜景が時々見える。樹林帯なので、木の間から明かりがちらっと見えると一瞬どきっとする。
走り出せば気持ちも乗ってくるかと思っていたが、さすがに深夜の単独走ではなかなかそうもいかず、おまけにだんだん寒くなってくるので、むしろ気持ちは後ろ向きになってくる。途中で分岐に出会うと、一瞬下界へ向かってしまいたい気持ちが頭をもたげる。しかしこんな時間に下りてもバスはもちろん、電車も走っていない。
うんざりさせられる階段を何とか登り終えて、葛城山に到着したのは午前4時過ぎだった。レースの時はここまでだいたい2時間で来るのだが、今日はすでに4時間以上かかっている。休憩所の自動販売機のそばにベンチがあって、ちょうど明るくて風もしのげるので、腰をおろして休憩する。
パンを一切れ食べて、寒いのでジャケットを着て、そしてフリースの帽子をかぶる。
下り始めは風があって寒かったが、風がなくなると一気に暑くなってきた。頭は汗がにじんでいるし、身体も少し汗ばんできている。こういう時に汗をかくのはあまり好ましくない。しかし間もなく登りになるので、このまま足を進める。
水越峠でまた一瞬ルートがわからなくなったが、フェンスの隙間にコース設定されているのを見つけて一安心。
休憩場所で湧き水をコップ一杯飲んで、いよいよ金剛山への登りに入る。金剛山へはほとんどずっと登り一辺倒というイメージだったのだが、こうやってゆっくり登っていると、途中に以外と走れるような部分がある。レースではこういう部分は一気に走ってしまうので、ほとんど記憶に残らないのだろう。
なかなか気持ちが上向いて来ない中、どうにか金剛山までやってきた。もう6時前だ。しかしここまで来れば、少しは気持ちも楽になってきた。ここで止めるわけにはいかない。
ここからは整備された道をしばらく下っていくことになる。何とここで、ライトを点けて登ってくる人たちに何人か出会った。この山はそういう人たちが結構おられるようだ。
ところが突然、右足の甲の横あたりに痛みが出てきた。せっかくの走れる下りなのに、これでは歩くしかない。ロングトレイルでどこかに痛みが出ることはよくあることだが、だいたいはそのうちに収まってしまう。しかしこの痛みはちょっと気になる。
せっかくここまで来て、気持ちが前向きになってきたのに、おかげでまた弱気の虫が騒ぎ出してきた。ここからなら千早赤阪へ下りる簡単な道がある。まだバスは走っていないだろうが、少し待っていれば走り出すだろう。
しかしこれまでの階段にうんざりさせられて、もうダイトレはたくさんという気持ちもかなり強くなってきている。ここでリタイアしたら、どうしてももう一度は再挑戦しなければ気持ちがおさまらないだろう。となると、またこの階段を上ってこなくてはならないわけだ。それはできれば避けたい。何とか今日を最後にしたい。とにかくここで少し休憩して、それから様子を見ることにしよう。
店の陰で風を避けて、大福餅を食べる。そろそろあたりもうすら明るくなってきた。
10 分ほど休憩して、再スタート。ここで痛みが治まっていなければ諦めて下りるしかない。本音の部分では下りたい気持ちと下りたくない気持ちが半々というところだったが、幸か不幸か痛みは再発せず、覚悟を決めて先へ進むことにする。
そうと決めたらあとは何が何でも最後まで行くしかない。とギアを入れ直したところ、なぜか GPS の電池が残り少なくなっているという警告。まだほんの数時間しかたっていないのに、どうしたのだろう。GPS が本当に必要なのは、未知のルートになる紀見峠以降なのだ。
その刹那、今度は左足のくるぶし付近を急な痛みが襲ってきた。感覚的には疲労というよりも、靴紐の締め方の具合によるもののように感じられる。新品のシューズでいきなりロングルートを走ったせいだろうか。このシューズはヒモがちょっと変わっていて、細い糸のようなものにストッパーがついていて、引っ張るだけで締められるようになっている。便利と言えば便利なのだが、何となく徐々に緩んでくるような感じもするし、微妙な調整がやりにくい。
登りでは大丈夫なのだが、下りで足が前の方にずれるような力がかかると、思わず立ち止まるほどの痛みになってきた。右足の痛みは小康状態という感じで、あちらが収まればまたこちらというモグラ叩き状態だ。
ただ、普通に歩くぶんには何とかなるので、ここまで来たらもうタイムにはこだわらずに歩きでも最後まで行こうという気持ちになってきている。ガスってはいるが、夜も明けているので、真夜中とは気持ちも違ってきている。
そんな不安な気持ちを抱えながら、幻想的な樹林帯を進んで行った。
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