篠山マラソン

昨日は篠山マラソンだった。初フルがちょうど 30 年前の篠山で、30 周年記念ということでちょっとした思い入れを持って臨んだ。
しかし天気予報通り朝から雨。貸し切りバスの出る枚方市まで、自転車はやめて電車で向かった。
どしゃぶりという強い雨ではないが、気温が低いのでかなり厳しいレースになりそうだ。寒さ対策で、上はメッシュのノースリーブに半袖Tシャツ、その上に長袖Tシャツで、下はロングタイツにした。そしてゴアテックスの帽子をかぶる。手袋もメッシュのインナーの上にランニング用手袋と二重にした。
未公認だったので、スタート地点に並んでから 30 ほど待たされる。ただ、心配したほどは寒くなさそうだった。
今回の戦略も年末の加古川同様、余裕のあるペースできっちり完走を目指す。加古川では終始キロ5分15秒ペースだったので、このあたりを基準にして、身体が動けば若干速めにしようと考えていた。
10時50分にスタート。しばらくは渋滞してスムーズに走れなかったが、3km あたりからようやく自分のリズムで走れるようになった。おおむねキロ5分。加古川の時よりは少し頑張っている感じはあるが、これくらいならムリは無い。
雨はだんだん小降りになって、ほとんど止んでくれた。しかし天気予報では昼頃に強くなるらしい。
5km の通過は 25’38″。スタート直後の渋滞を考えるとまぁまぁのタイムだ。
しばらくは沿道の人の多いあたりを何度もカーブしながら進む。調子は悪くない感じで、時折キロ4分台まで上がっている。
ちょっと厚着しすぎたかもと思っていたら、再び雨が降り出してきた。10km を通過して、この 5km は 25’07″。気分が乗ってきた。
エイドでは少し歩きながらスポーツドリンクを補給する。そう言えば篠山のエイドは最後まで水とスポーツドリンクしか無かったのを思い出した。沿道でアメやチョコレートなどを配ってくれる人たちがたくさんいる。
道路の水たまりを避けたりしながら順調に進む。しかし少し身体が冷えてきた。
15km までの 5km は 25’18″。24 分台を期待したが、逆に少しペースダウンしていた。しかしこれくらいなら問題無い。
沿道のチョコレートをもらって口に入れる。かんだチョコレートが口の中で渇いた小さな粒のようになって、呼吸がしにくい。
時折のアップダウンをこなして、20km までの 5km は 25’20″。徐々に落ちきてはいるが、加古川のタイムは上回れるだろうと思っていた。
しかしハーフ地点の坂を越えたあたりから疲れを感じてきた。何よりも寒い。走っていてもどんどん体温が下がる感じ。
25km までの 5km は 25’44″。しかしまだ余裕はある。篠山のポイントはここから折り返しの 30km 過ぎまでの緩い登り坂。ここを余裕を残して走りきることが重要だ。これまではいつもこの登りで力を使い果たしていた。
ペースが落ちていることはわかっていたが、ここでムリをしてはいけない。30km までの 5km は 26’06” だったが、それでも加古川の平均ペースよりはまだ速かった。しかし急激に体力が消耗していることを感じてきた。
折り返して下りになってもまったくペースを上げることができない。と言うより、さらにペースダウンしてきて。いつものパターンに陥ってきた。
寒さで身体が硬直してきて、ほんのわずかな間に、走り続けることすら難しいと感じるようになってきた。
32km を通過して、あと1時間でゴールできるだろうかと不安になった。と同時に、もはやこれ以上走り続けるのは危険とすら感じるようになって、少し歩いて体調の回復を願った。しかし寒さのせいで、歩いても一段と身体が硬直するばかり。
ちょうどトイレが空いていたので入って一服してみたが、明らかに低体温症の状態に陥っていた。
トイレを出て少し進んでみたが、もう次のエイドまで行くのはムリだと感じて、ここでのリタイアを決めてトイレの場所に戻った。
トイレの場所はちょっとした倉庫のような建物があって、その前で簡易の救護場所になっている。すでに3人ほどがシートをかぶったりしてリタイアしている様子だった。
使い捨てカイロをもらったが、身体が冷え切っているのでまったく暖かくならない。少しうずくまっていたが、寒さはつのる一方で、しかも正式なリタイアポイントではないので、収容バスがいつ来るのかわからない。
覚悟を決めて 2km ほど先のリタイアポイントまで何とか行こうと思って腰を上げたが、50m ほど歩いてはヒザに手を置いて止まってしまう状態。おまけに少し風もあって一段と寒い。しかし前に向かうしか無い。
絶望的な気分になっていたら、道の反対側で折り返しへ向かう人が最終ランナーになったようで、その後ろに収容バスが見えた。これで助かったと安堵の気持ちがこみ上げてきた。
救われた思いでバスに乗り込んだが、バスの中は期待したほど暖かくない。これまでに途中棄権でバスに乗ったことは何度かあるが、たいていは用意されている毛布なども無い。運転手は暖房は強くしていると言っていた。気のよさそうな人だったので、おそらくその通りだったのだろう。バスは会場から少し離れた場所に着くそうなので、下りてから旅館に戻るまでが心配だ。
このままずっと最後尾をゆっくり走るのかと覚悟していたが、途中でコースを離れて会場に向かったようだ。それでもちょうど会場から最も離れた場所でリタイアしたので、何だかんだで戻るまで1時間くらいかかった。
下車してから旅館までは数百メートルだったが、やはり寒くて震えがきた。完走メダルを下げて帰ってくるランナーを見ているとなさけない気分に襲われたが、昨日はリタイアして正解だったと思う。あのままムリをしていたら最悪の結果を招いていたかも知れない。
旅館へ戻ってすぐに風呂に入ってあたたまって、ようやく心身とも平静を取り戻すことができた。
これまでフルは 50 回以上走っていると思うが、間違い無くこれまでで最も厳しい気象条件だった。唯一の救いは風があまり強くなかったこと。これで風が強かったら大会そのものが相当悲惨な状況になったと思う。
このところロードレースに対するモチベーションが急速に低下してきているが、これでその勢いに一段と拍車がかかったと思う。おそらく当分ロードレースにエントリーすることは無いと思う。
今のところエントリーしている大会は今月末の六甲キャノンボールと、7月のおんたけウルトラトレイル。UTMF は一応エントリーするだけはしておいたが、おそらく抽選になるだろうし、当選したとしても最終判断する時間はまだある。
トレイルもレースにはもうあまり積極的になれない。レースだと昨日のようなコンディションでもやらざるを得ないし、悪天候だったから印象に残ったということもまれにあるものの、はやり楽しいものではない。
レースの唯一のメリットは、レースでなければ出てこない何かが自分の中から出てくることがあること。こういうことはやはりレースでないと経験できない。実はそういうことが印象の強弱に大きな影響を与えているのだ。
しかし今の自分にとってどういうやり方が一番楽しいかと言えば、自分で地図を見てルート設定をして、天候を見ながら決行して結果を得ることだ。これなら関門など関係無いし、厳しめのコースを設定すればそれなりの満足感も得られる。
50 を過ぎてからフルをまともに走れなくなって山スキーなどに主戦場を移したが、次第に体力の低下を感じるようになった。おそらくロードレースをやらなくなったせいで追い込んだ走りをしなくなったのが体力低下の原因だろうと思って、55 歳から陸上クラブでまた追い込んだ練習をやるようになったが、結果的に言えば期待したようなものは得ることができなかった。
正直言って、これ以上レベルを落としてタイムにこだわる走りを続けたいとは思わない。
ただ、走ること自体は好きだし、ある程度追い込んで走ることの気持ち良さもあるので、クラブはクラブで続けて行きたいと思うが、しばらくはロードレースはたまの気分転換くらいにしようと思う。
このところの低山歩きのおかげで近場でも行きたいところがいくつかあるので、そろそろ暖かくなってきたのでその方面に足を延ばしてみたいと思っている。

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