マラソン代表選考

久しぶりにマラソンの代表選考が話題になっている。世界陸上の女子マラソンだ。
マラソンの代表選考が話題になるのはおそらく1968年のメキシコオリンピックでの君原選手と采谷選手の選考以来、ソウルの瀬古選手と工藤選手、バルセロナの有森選手と松野選手、アテネの高橋選手落選などの伝統行事だが、ここしばらくは世間の話題になるほどのことは無かった。この原因は選考過程が明確になったという訳ではなく、誰が出てもメダルには届かないという後ろ向きの理由が最も大きいと思われるのだが。
『誰が出てもメダルには届かない』という点は今回もあまり変わらないと思うが、今回大きく話題になったのは増田明美さんが陸連にかみついたのがメディアで大きく取り上げられたからだろう。大阪で終盤失速して3位になった重友選手が、横浜で優勝した田中選手を差し置いて代表に選ばれたという点に大きな疑問を感じられた模様。
私がマラソンを始めた頃は増田さんが現役だったので、ピークは過ぎていたとは言え大阪国際でのカトリン・ドーレとの争いなどは記憶に残っている。
今はスポーツコメンテーターとして大人気だそうだが、私個人としては解説で聞きたくない人のナンバーワンである。
とにかく増田さんの解説は舞台裏のプライベートな話題がメインで、選手の能力よりも人間性を褒め称えるような話ばかりで、彼女が解説していると反射的に音声を消してしまうくらい毛嫌いしている。
しかし増田さんの競技を見る目の確かさは高く評価している。
オリンピックや世界陸上などで、女子の中距離種目などで日本選手が出場しないレースの解説を何度か聞いたことがあるが、純粋に競技の技術だけに着目した解説は、男性解説者ナンバーワンと思っている宗茂さんに匹敵する質の高さだと思った。どうして国内の女子の大会でそういう解説をしてくれないのか、残念で仕方無い。
そこで今回の選考だが、私は横浜、大阪、名古屋のいずれも家にいなかったので、実際のレース模様はまったく見ていない。したがってその後のメディアでの解説からしか判断できないのだが、そういう文面からの印象で言えば、陸連の判断はそんなにおかしいものではないと感じている。
はっきり言って田中選手の優勝はタナボタと考えざるを得ない。しかもあのタイムだ。それに対して重友選手は積極的に攻めていた。
今の日本選手に大きく欠けているのはレースにおける積極性だと思う。男子で川内選手に人気があるのは、あの積極的な走りが大きな要因だろう。無難な走りでそこそこでまとめようとする選手が多い中、リスクを取ってチャレンジしていく姿勢が大きな支持を得ているのだと思う。
陸連が積極性を強調したのは間違っていないと思う(ただし選考条件にそういう文面は無かったようだが)。
ただ、個人的には天満屋の選手には期待していない。天満屋の選手がいい結果を出すのは選考レースだけで、本番で力を発揮した選手はいないから(強いて言えばシドニーの山口選手とアテネの坂本選手が7位入賞くらい?)。
なので、重友選手には私を黙らせるような結果を残してほしいと願っている。