比良山系縦走

昨日は比良山系縦走へ行ってきた。終日曇りという絶好のコンディションに恵まれて、念願のコースを踏破することができた。

比良山系はおおむねYの字の形状になっている。
全山縦走と称して歩かれるのはたいがいYの字の右側コース。こちらの方が距離が短く、交通の便も良い。私もこれまでに何度か行っている。
それに対してYの字の左側コースは距離が長く、北側の交通の便が悪い。こちらのコースを行く場合もほとんどが朽木から蛇谷ヶ峰を終点、もしくは始点にしていると思う。
蛇谷ヶ峰のさらに北に阿弥陀山という小さな山があるのだが、この間はあまり歩かれておらず、道も不明瞭のようだ。
しかし稜線ははっきりとつながっているので、蛇谷ヶ峰で切るのでは不完全燃焼だ。やるからには完全にトレースしたい。
と言うことでこのコースはここ何年か温めていた企画なのだが、なかなか思い切るチャンスが無かった。正直言って、完全踏破する自信が無かった。
ようやく思い切ったのはやはり UTMF を控えているから。
ルートの不明瞭な北部から入って、もしまたルート迷い等で時間をロスしたら適当に下りてこられる時間の余裕を持っておいて、何度も歩いている南部は暗くなっても何とかなるだろうという気持ちで挑戦することにした。
先日、朽木へ行った時と同じ電車で安曇川へ行って、7時40分に駅をスタートした。
しばらくはフラットな車道を行く。彼方には蛇谷ヶ峰から武奈ガ岳への稜線がくっきり見える。
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武奈ガ岳に何時頃に到着できるかが勝負ポイントだ。うまくいけば1時。2時くらいなら最後はライト覚悟で進もうと思っていた。
gps でルートを確認しながら阿弥陀山への登山道を目指す。林道から登山道に入る所がよくわからなかったが、何の標識も無い橋がそのポイントだった。道には雑草が生えて、ほとんど人が入っている雰囲気が無い。
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道も崩壊している。
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これでは先が思いやられると不安になってきた。
突然、太山寺城跡という看板。もうしばらく誰も来ていないだろう。ここで初めて阿弥陀山への道標に出会う。
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登山道は、上部に行くにしたがってむしろはっきりしてきた。
8時50分に今日最初のピークの阿弥陀山(453m)へ到着。展望は無し。
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何年か前の登山地図によるとこの先少し、ブッシュで難路とのこと。かすかな踏み跡を辿る。
このあたりはすぐそばに林道が来ている。少し行ったらそばに林道が見えて、迷彩色の服を着た自衛隊員が見えた。こちらを見てちょっとびっくりしている感じだった。
ここからしばらく林道を行く。どうも自衛隊の演習エリアになっているようだ。
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ルートは思ったよりははるかにはっきりしていた。かなり古いが赤テープも随所に残っている。
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そして突然ビワイチの道標が現れた。
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ビワイチは入部谷越のトンネルの方へ下っていたので、そこは下らずに稜線をそのまま進む。かすかだが踏み跡はある。
不安だった箇所が予想外にスムーズに通過できそうで、一気に気分が上がってきた。これなら踏破できそうだ。
木々の間から朽木のスキー場のゲレンデが見えてきて、ゲレンデに飛び出した。
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しかしここから蛇谷の頂上手前までの登りは苦しかった。曇りで気温があまり上がらなかったので何とか行けたが、もし快晴で暑かったら、蛇谷で終わりにしたかも知れない。
スタートして2時間40分ほどで蛇谷ヶ峰に到着した。
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ここでぼた餅休憩。甲府から来た山岳部員と思われる女子4人と指導教官のような男性がいた。なぜわざわざ山梨からと尋ねてみたら、この夏にインターハイの登山競技がここであるとのこと。
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ここから先はトレランのためにあるような超快適なコースだった。アップダウンも少なく、足元もフラットで、ガンガン行ける。
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11時12分に地蔵山(790m)を通過。
この後、徐々に登りが始まって、ようやく視界が開けて釣瓶が見えた。
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すぐに行けそうに見えたが、実際は近づくとニセピークが二つほどあって、11時55分にようやく釣瓶岳(1098m)に到着した。
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少し疲れを感じてきたので、ここでおにぎり休憩にした。
視界が開けると武奈ガ岳が見えた。思ったより距離がありそうだ。早めに補給しておいて良かった。
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ようやく登山者とすれ違うようになってきた。
武奈ガ岳(1214m)には12時35分に到着。スタートして5時間弱だった。
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北方にはこれまで歩いてきた稜線が望める。こう見ると蛇谷ヶ峰はかなり遠く、阿弥陀山などはるか彼方だ。
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武奈ガ岳は本当に久しぶりだ。比良には近年もしばしば訪れているが、武奈にはずいぶんご無沙汰している。しかし風が強くて少し寒いので、人混みを避けて早々に下ることにする。
予定のルートは中峠から金糞峠だったが、分かれをミスして八雲ヶ原の方へ向かってしまった。気が付いたが、スキー場が無くなってからの八雲ヶ原がどうなっているのか興味もあったので、そのまま下りることした。
沢筋の道は随所で崩壊していて、なかなかスリリングな箇所もあった。
沢の水を補給して、歩きにくい道が終わるとイブルキのコバ。
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八雲ヶ原そのものは以前とあまり変わっていないように思える。
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人混みからちょっと離れた場所で顔を洗って、クリ鹿の子を食べる。おいしい。
金糞峠へは13時36分に到着した。これなら明るいうちに下山できそうだ。
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縦走路もわりと荒れていて、巻き道が作られているところもあった。
しばらく進んでいると、道をふさぐように子鹿が横たわっている。近づいても動く気配が無い。頭も下ろしているので、まさか死んでいるのはないだろうなと思って横を通り過ぎようとしたところ、突然驚いたように立ち上がって横の斜面に走り出した。
ところがこのシカ、まだ小さいのか、足元が不安定で転倒して、ゴロゴロと転がって落ちていった。
ケガをしていないだろうかとこちらが心配になったが、5mほど下ったら座ってこちらを眺めていた。写真上端の真ん中あたり、小さいのでわかりにくいけど。
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さすがに疲れが出てきて、南比良峠では腰を下ろして干し梅などを食べる。
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ここからしばらくは荒れた急な道のアップダウンが続き、心身ともに疲れる部分だ。HOKA の威力を感じる。
葛川越を越えて、比良岳まであと一踏ん張り。
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比良岳(1051m)には14時47分に到着した。ここでも腰を下ろして、ジェルを補給。
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難路を終えて、少し下った水場で水を補給する。
木戸峠まではすぐだった。
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木戸峠のキャンプ場の施設はきれいになっていたが、やはり水道は締められていた。
びわ湖バレイのゲレンデを登って、15時25分にようやく打見山へ到着した。
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自動販売機でコーラを買って、パックサンドを食べる。
15分ほど休憩して、少し下ってからまた蓬莱山へ向かってゲレンデを登る。
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ノンストップで登り切って、15時55分に蓬莱山頂(1174m)へ到着。
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権現山はすぐ近くに見える。
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適当に下って行ったら、どうも小女郎池の方に行きそうで、縦走路に合流できそうにないので、笹藪を強引にトラバースして縦走路に合流した。
小女郎峠を通過。
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ここから少し登った丘のような場所にはかつて山岳会で一緒だった方で、定年を過ぎていよいよこれからたっぷり山を楽しめると楽しみにされていながらガンで亡くなった女性のお地蔵さんがある。
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酒の好きな女性だったが、今日は残念ながらアルコール類を持ってきていないので水をかけて清めて、お参りした。
ホッケ山を越えると権現まではあとわずか。
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権現山(996m)には16時37分に到着した。
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ここからの下山は霊仙山のピークを通過するルートと沢筋を下るルートがあって、当然沢筋ルートの方が楽で早いのだが、せっかくここまで来たのだからきっちりと霊仙山のピークを踏んで行こうと思った。
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急でガラガラの道を慎重に下る。ようやく歩きにくい部分が終わったと思ったら、突然林道が!!。
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一体何のための林道なのか。登山道が断ち切られている。所々に小さな標識が立ってはいるが。
gps には沢筋を行くルートを入れてきたので、霊仙山へ向かう分岐がわからない。
林道をそのまま下ると和迩に行くような道標があったので、あたりを注意深く眺めてみたら、霊仙山へ向かうと思われるかすかな踏み跡に気が付いた。
ちょっとした登りがあって、17時8分に霊仙山(750m)に到着。
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それでなくても忘れ去られたような霊仙山だが、これでは一段と人が減るのではないかと思う。
最後の固形物でぼた餅休憩にする。
滑りやすい急な道を下りながら、もうまもなく終わってしまうのを少し淋しく感じた。
電波塔のある車道に出て、山道はこれで終了。
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車道を和迩に向けて下って行く。HOKA のクッションに助けられて順調に下るが、時折右足首あたりに軽い痛みが出る。しかし先日とは違う箇所で、少ししたら消えていた。
緩い下りでもキロ6分をちょっと切るくらいだが、しっかりと走れている。
和迩駅に到着したのは18時10分。約45km、10時間30分だった。
駅のそばの平和堂に入って缶ビールを買って、椅子に座ってぐっと飲んだ。おいしいと言いたいところだが、実はそれほどではなかった。ジェルや飴、干し梅などで、舌の感覚が普通ではない状態になっていたせいかも知れない。
しかしこの時間は至福の時間帯だった。
今回、予想よりうまくいった最大の要因は天候だ。ずっと曇りで気温があまり上がらず、ウエアも上は半袖とアームウォーマーにして、いつもの長袖をやめた。下はサポートスパッツタイプの短パンとヒザに緩いサポーター。ヒザのサポーターは転倒時のヒザのケガ対策。
そして威力絶大だったのが HOKA のシューズである。これには随分助けられたと感じる。これまで愛用してきた軽量タイプのシューズだったら、もっと脚筋疲労が大きかったと思う。
HOKA のシューズはもう少し安くなってほしい。いくら何でも2万円近いというのはあまりにも高い。おまけに耐久性はあまり期待できない。
今回のように運良く上品の中古が入手できるチャンスなどそうは無いだろう。
大きな悩みである。