UTMF

UTMF は予想だにしない結末となった。
いくつかの結果は想定していた。
・序盤の関門につかまる。
・後半の関門につかまる。
・関門はクリアしているが、疲れて棄権。
・故障などで棄権。
・完走。
しかし実際の結果はこのいずれでもなく、体調不良のためにスタートラインに立つことすらできないというものだった。
10日以上前から体調が悪かった。最初はノドの調子が悪くてセキが出るくらいだったので、数日もすれば治まるだろうと軽く考えていた。時期的に、こういうタイミングで一度体調が落ちるのは悪くないとすら思っていた。
ところがそういう希望的観測が一変したのは前の日曜日。なぜか突然、お腹の具合が悪くなったのだ。しかしこの時も、こういうことはたまにあることなので1日もすれば元に戻るので、大したことはないと思っていた。
ところがその症状はまったく治まる気配が無く、おまけに食欲がまったく無くなってしまった。
レース直前でしっかりと食べておかなければならない時期に、逆にほとんど食べられずに体重がどんどん下がるという事態に陥ってしまったのだ。
さすがにここまでくると不安になったが、それでも棄権することは考えなかった。
連休だったので十分に休養を取ることはできたが、病院へ行くことはできなかった。たっぷり寝ても回復の兆しは無かった。
出かける前日の夜は体重が 48.5kg まで落ちていた。
しかし何とかギリギリで復調してくれることを信じて、木曜日には河口湖に向かった。
昼過ぎの新幹線で新富士駅まで行く。
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ここからバスで河口湖へ行くのだが、バスの乗客は私を含めて二人だけ。途中で乗り降りした人もほんの数人程度で、おそらく休日しか採算の取れない路線なのだろうと思った。
天気は小雨で、富士山は山麓の一部しか見えない。
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天気が悪くなるのは予想通りだった。
UTMF はこれまでの3回はいずれも好天に恵まれてきたので、そろそろ悪天になるだろうと思っていたのと、私がこういうビッグ大会に参加すると、たいてい雨になるというジンクスがあるので、最初から好天は期待していなかった。
2時間ほどバスに揺られて午後7時前に河口湖駅に到着した。
今日の宿は駅前のビジネスホテルだが、部屋はベッド7つのドミトリー。ホテルを探した時に、ここしか空いていなかった。
どうも外国人バックパッカー御用達という感じのホテルのようで、聞こえてくるのは中国語ばかりだ。ただし中国人なのか、香港やシンガポールから来ているのかはわからない。いずれにしてもみんな UTMF の参加者だ。
相変わらず食欲は無いが、近くのコンビニで肉まんを買ってきて部屋で食べた。1個で十分という感じだったが、無理矢理3個詰め込んだ。しかしこれが良くなかった。
体調も悪いので早々にベッドで横になったが、腹がもたれて不快なことこの上ない。
いつまでたっても胃のものが消化されずに溜まっているという感じで、次第に何度もトイレへ行くはめに陥ってしまった。
多少の体調不良なら、トレイルのような強度の低い運動であれば動いているうちに体調が回復してくるということはままあるので、とにかくスタートだけはと思っていたが、いよいよそれも危ういと考えざるを得なくなってきた。
この状態でスタートしたら山道でぶったおれかねないと思った。
ロードレースではないので、参加者の責任としてそれだけは避けなければならない。
何度かトイレへ行くうちに、今回は棄権しか無いと判断した。
翌日は朝食は食べずに会場に向かった。雨は本降り状態だった。
駅から会場まで無料のシャトルバスが運行されているので、それを利用して会場に行った。
まだまだ早い時間帯だったので、人は少なかった。
ビデオ映像で何度も見たゲートやステージが準備されていたが、実物は思ったよりも随分小さかった。
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帰りのバスの時間のことを考えて、参加賞をもらったら早々に会場を後にした。
天気も天気なので、後ろ髪を引かれるような気持ちはほとんど無かった。
一日に数本しかないバスにちょうど合う時間だったので、行きと同じルートで午後3時頃には家に帰り着いた。
帰ってからさっそく病院へ行った。こういう内科的な要因で病院へ行くのは本当に久しぶりで、10 年に一度あるかどうかというくらいのことだ。
ノロウィルスの検査や血液検査など、いろいろと調べてもらったが、特に治療が必要なようなものは無く、おそらく単なる風邪だろうとのこと。安心したやらがっかりしたやら、複雑な心境だった。
まだ最初の関門時刻にも至らない時間帯に、まさか病院で点滴を受けているなんて夢にも思わなかった。
携帯には関門時刻延長の知らせが何度か入った。スタート時には小雨程度になっていたようだが、やはり全般的に雨模様で、直前で2カ所のコース変更があったとか。
山のパートを避けて麓の道を迂回するような変更がなされたらしい。
アップダウンが減って全体の難易度は下がることになるが、悪コンディションを考えると今回はこれまでになく厳しい大会になったようだ(実は現時点ではまだ行われているのだが)。
正直、この結果をどう受け止めていいのかまだ自分でも気持ちが定まっていない。
どんな結果になっても大きな大会参加はこれで一区切りにして、トレイルは自分でコース設定をして楽しむ方向にしようと思っていた。
トレイルをそういう方向で行くということは変わることはないのだが、UTMF に関してはあまりにも消化不良だ。
来年からエントリーのポイントが上がるのだが、私はここ2年続けておんたけウルトラトレイルを走っているので、これですでにポイントはクリアしている。つまりこの先大会に参加しなくても来年もエントリーの資格はあるのだ。
UTMF の借りは UTMF でしか返せない。
おそらく他の大会に参加することは当面無いと思うが、来年の UTMF にはエントリーすることになるだろう。
残された道はそれしかないと思っている。

「UTMF」への4件のフィードバック

  1. 東京在住のSと申します。
    UTMF完走記を楽しみに訪れてみたところ
    まさかDNSとは・・・心中お察し申し上げます。
    私も信越五岳を楽しみしていたのですが、
    直前にまさかの骨折でDNSとなってしまいました。
    来年は捲土重来を期したいと思います。

  2. Sさん、コメントありがとうございます。
    骨折ですか・・・。それだと復活には時間がかかりそうですね。
    私は単なる体調不良だったので、後は気持ちだけの問題ですが、それでもリスタートにはちょっと時間がかかりそうです。
    お互いに来年はがんばりましょう。

  3. 練習やらの準備を知っている者として、読んでいて涙出そうでした。UTMFの借りはUTMF、重みあります。その一文だけでも勇気もらいました。

  4. 鯖さん、コメントありがとうございます。
    その後、さらなる試練が待ち構えていました。
    今となっては UTMF は遠い世界での出来事だったような感覚です。
    一歩ずつ焦らずにリカバリーしていきたいと思っています。

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