橿原、明日香村、遺跡めぐり

日曜日(5/14)は好天で絶好の外出日和だった。
まるまる一日出られるのは今月はこの日が最後で、本来なら山へ行きたいところだったのだけれど、その前が1日おきに3回随行が続いて、前日の土曜日は久しぶりに本降りの雨だったので、行き先に迷ったあげく、土曜日の夕方になってようやく奈良の遺跡めぐりということにした。
このところガラにもなく、何故か古代史に興味を感じている。
きっかけは今年の1月に花の講座の下見で明日香村に行った時で、飛鳥坐神社や飛鳥寺などを歩いている時、なぜか心がざわめくのを感じた。
ヤマト民族の血が騒ぎ出したのかも知れない。
その後、大和三山御破裂山、竜門岳、音羽三山に行ったけれど、遺跡が主目的ではなかった。
一度、明日香村をじっくりと歩いてみたいと思っていたので、ちょうどそのタイミングかなと思った。

橿原考古学研究所付属博物館の開館9時に合わせて、9時ちょっと過ぎに到着した。
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日曜日でもこの時間なら人は少ないだろうと思っていたら、何と日曜日だというのに小学生の団体にかち合わせてしまった。
ただ、わりとマナーのいい集団だったので、あまり不快な感じになることは無かった。
たまたま特別展を開催している期間だったので、通常なら 500 円の入場料が 800 円取られてしまった。特別展のテーマは「弥生絵画」で、ここまで古くなると私の興味の対象ではないのだけれど、いらないというわけにはいかない。
キトラ古墳の発掘のビデオなどはなかなか見応えがあった。
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小学生の団体は 50 分くらいで出て行って、私は1時間半ほどここで過ごした。
外に出て、走れるウエアにして、ジョグで丸山古墳を目指す。何故か突然雨粒が落ちてきたけれど、すぐに収まった。
右手に畝傍山。
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古墳でいつもとまどうのは、だいたいにおいて正面がどこかという標識がほとんど無く、大きな古墳のまわりをぐるっと廻らされるはめになることがしばしばあるということだ。
地図と gps で場所を確認しながら進んだけれど、行き過ぎたかと思って、少し戻って細い道を上がって、「史跡 丸山古墳」という古い標識で土道を上がったところ、ただの雑草原に出てしまった。
どうも前方後円墳の前方部の先端に上がったようで、後円部はかなり先に見えている。何せ全長 318m という巨大な古墳なのだ。
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踏み跡の無い草むらを強引に後円部まで行った。下りた場所には案内板が立っていて、ツアーか何かで来ている人たちが何人かいた。
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石棺が二つあったことが確認されており、考古学的には欽明天皇と妃の堅塩媛(きたしひめ)の可能性があるとの説。
次はすぐ西にある植山古墳。ここもどこから近づけばいいのかよくわからなかったけれど、そばにある春日神社の境内が石段を上がった所にあるので、そこへ上がってみたところ、期待通り、植山古墳の上に出ることができた。
古墳の形状はよくわからないが、整備されていて墳頂部からの畝傍山の眺めは美しい。さらに向こうには二上山。
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ここも石室が二つあることが確認されており、考古学的には推古天皇と子息の竹田皇子の合葬墓という説がある。その後、科長の大陵に改葬されたとか。
このあとは住宅街の道をできるだけショートカットしながら欽明天皇陵を目指す。
正面がどこかわからず、またもや通り過ぎそうに思ったので適当に細い道に入ったら、さらに細い道が上がっていて、吉備姫皇女王墓に出た。
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ここには猿石がある(全部で4体ある)。もともとは田んぼから掘り出されたものがここに置かれているらしい。
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この横を通って、欽明天皇陵(梅山古墳)。
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正面の石段を下ったら、何とさっき通った道ではないか。
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こんなものを見落とすなんて、いったいどこに目をつけているんだ!!
次は近鉄吉野線の西側にある牽牛子塚古墳(けんごしつかこふん)を目指す。
変なところに迷い込んだりしながら走っていたら、「岩屋山古墳」という標識を発見。
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石段を上がると石室がまる出し。
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さらに横から墳頂に上がれる。
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牽牛子塚古墳への標識に導かれて、ようやく見えてきた。
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墳丘はシートがかぶされているが、石室を眺めることはできる。
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巨石をくりぬいて造られたツインベッドの石室で、斉明天皇(皇極天皇)と娘の間人皇女(はしひとのひめみこ)の合葬墓という説がある。
牽牛子塚古墳は思ったよりも遠かった。さて、次なる目標はマルコ山古墳。
何とか線路まで戻らずに近道しようと南へ向かって、うまくすぐそばまで来ていながらわからなくなって線路に出てしまって、結局また戻るということを繰り返して、30 分以上かかってようやくマルコ山古墳に到着した。
古墳のすぐそばまで、まったく標識が無かった。ずいぶん有名な古墳だというのに。
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古墳のそばにトイレと休憩場所があったので、そこで腰を下ろしておにぎり休憩にした。
時間はすでに 12 時半を過ぎている。
当初は明日香村だけでは時間を持て余すのではないかと思って、桜井まで足を延ばすことを考えていたのだけれど、この様子ではそれはムリそうだ。それよりも明日香村をじっくり歩いた方が良さそうに思った。
次なる目標は天武・持統天皇陵。飛鳥駅前を通って、しばらく車道を行く。
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国営飛鳥歴史公園というのがあって、入場無料だったので入ってみたが、花の写真が展示されているくらいで、見るべきものは見あたらなかった。
しかし「鬼の俎・鬼の雪隠」の標識があったので、そこに寄ってみることにした。
思ったよりも遠かったが、まずは「鬼の雪隠」。
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少し上に「鬼の俎」
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元々は古墳の石室だったものらしい。序盤に訪れた欽明天皇陵はすぐ近く。
このまま進めば天武・持統天皇陵に行けるのではないかと思ったけれど、標識にはそういう表記が無かったので、いったん国営飛鳥歴史公園に戻った。
緩い登り坂をスロージョグで進んで、天武・持統天皇陵(野口王墓)に到着。
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墓が荒らされた時の様子から、実際に天武・持統天皇だったのだろうと言われており、治定が信頼できる数少ない古代の陵墓の一つである。
さらに北に向かって菖蒲池古墳。
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家形石棺が2基据えられており、いずれも非常に精巧な造りで、かなり特異な石棺とのこと。
さて、これからは明日香村の核心部へ。
まずは亀石。
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カメというよりはカエル。時期も目的も不明。このあたりから観光客が増えてきた。
いつも前を素通りしている橘寺に寄ってみたけれど、入山料がいるのでパス。
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多武峰(とうのみね)。明日香村のこういう風景が好きだ。三方を山に囲まれた京都に生まれ育ったせいもあるのかも。
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伝飛鳥板蓋宮跡(でんあすかいたぶきのみや)。7世紀中頃、皇極天皇が営んだ皇居の跡と言われている。
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そして酒船石へ。
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詳細は不明だけれど、工事好きだった斉明天皇が残したものかも・・・。
亀形石造物は有料なのでパス。
せっかくなので万葉文化館に入ってみた。花の講座の時に訪れているけれど、その時は中には入っていない。
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無料なので中を見て回ったけれど、まぁこんなもののかという感じ。時間つぶしにはなるかも。
そして、花の講座の下見の時も来たはずなのだけれど、あまり記憶に残っていない大原神社へ。
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ここは藤原鎌足の誕生地。ここの奥の竹田川のほとりには「藤原鎌足産湯の井戸」。
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飛鳥坐神社方向に少し行くと藤原鎌足の母の大伴夫人の墓。
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そして飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)。
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本堂の奥にもいろいろとあった。
飛鳥寺も中には入らず。
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そして蘇我入鹿首塚。背景は蘇我蝦夷、入鹿が豪邸を構えた甘樫丘(あまかしのおか)。
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建てられたのは鎌倉か南北朝あたりとのこと。
明日香村めぐりもいよいよ終盤へ。
甘樫丘の麓でトイレ休憩。
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大和三山へ行った時に、寄りたかったけれどよくわからなくて通り過ぎてしまった豊浦寺(とゆらじ)跡の向原寺(こうげんじ)へ。
そのすぐそばに難波池。
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そして向原寺。
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うろうろしながら実は向原寺のすぐそばにあった甘樫坐神社(あまかしにますじんじゃ)。推古天皇が祭られている。
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想定していた箇所はこれでお終いだったけれど、橿原神宮駅へ向かう途中にある孝元天皇陵に寄って行くことにする。
またもや正面がどこかわからず、すぐそばの住宅街で地元の人に陵墓を指さして「この天皇陵の正面はどこですか?」と尋ねたら、「それなに?」というお返事。家のすぐそばにある森が天皇陵であるということをご存じなかったようだ。
ぐるっと廻ってようやく入り口を発見。
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「孝元天皇」という名前は聞いたことが無いなぁと思って、帰ってから調べてみたら、いわゆる「欠史八代」の一人の第8代天皇だった。
橿原神宮前駅には午後4時前に到着した。何だかんだで 25km ほどの行程だった。
ほとんど車道の平地ばかりなのでそれほどの疲労感は感じなかったのだけれど、風呂上がりのいつものタイミングで体重を量ったら、久しぶりに 50kg を割っていた。小辺路の後でもそこまでは落ちなかったのだけれど。
それにしても期待以上に楽しい一日でした。