黒部五郎岳


予定通り5時半に駐車場を出発した。しばらくは樹林帯でまだ薄暗いので、ヘッドランプを着けて出た。
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登山口は駐車場のすぐそばで、いきなりの急登が始まる。急登は嫌いではないけれど、朝イチというのはちょっとこたえる。
今回の足元はトレッキングシューズ。北ノ俣避難小屋までは道がドロ沼状態になっている箇所が続くので、トレランシューズだと悲惨なことになる。
30 分も歩くと水たまりが出てきたので早々にスパッツを着けて、ポールも出した。
1時間 20 分ほどで打保からの神岡新道に合流した。神岡新道は昔は本道だったのだけれど、飛越トンネルからの道ができてから歩く人が激減して整備もほとんどされていないらしい。
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ドロ沼のところには所々テープが張られている。おそらくミズバショウの保護のための通行禁止措置だと思う。
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昔、ゴールデンウィークに山スキーのためにここを歩いた時は、踏まずには進めないほどミズバショウが群生していた。
水たまりは思ったほどはひどくなくて、中に染み込むほど濡れることはなく、2時間 10 分ほどで寺地山(1996m)に到着した。
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展望も何も無いので通過して、しばらく進むと前方に北ノ俣が見えてきた。
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避難小屋は昔は道の横に見えていたのだけれど、今は木が茂って見えない。一瞬、先に進みかけたのだけれど、この先、水が補給できるのは黒部五郎小屋まで無いので、小屋の水場に寄って行くことにした。
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来し方を振り返る。手前の出っぱりが寺地山。奥の左の方が白山。
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出発から4時間 20 分ほどで稜線に出た。正面の奥が水晶岳。その手前に雲ノ平。紅葉はまだという感じだ。
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出発から4時間半で北ノ俣岳(2661.3m)に到着した。右の方に槍ガ岳。
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北の方には薬師岳。薬師の左肩に剱が見える。
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正面が黒部五郎岳。右に笠ガ岳。
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のんびりしている訳にはいかないので、先に進む。
赤木岳はピーク下を通過。
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中俣乗越まで来たけれど、黒部五郎はなかなか近づいてくれない。
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ここでロキソニンを投入して、ようやく黒部五郎の肩に到着した。
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ほとんどの人たちはここにザックを置いてピストンするのだけれど、私は稜線ルートを行くつもりなのでザックは担いだままで登る。
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12 時 45 分、出発から7時間 15 分かかってようやく黒部五郎岳(2839.7m)の山頂に到着した。
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カールを見下ろして、正面真ん中が鷲羽岳。黒部源流と雲ノ平が見渡せる。
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こちらは奥が槍穂高連峰で、その手前は左から三俣蓮華と双六。さらに手前はこれから辿る稜線ルート。
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稜線ルートは登山地図では破線ルートになっている(一般路ではないという意味)。展望がいいはずのルートがどうしてそういう設定になっているのか不思議だったのだけれど、歩き出してその理由がわかった。
岩がゴロゴロしていて非常に歩きにくい部分が多いのだ。まったくペースが上がらない。まるで北八ツの大岳のよう。
展望を楽しむ余裕は無い。登山地図には「濃霧時は稜線ルートがいい」と書かれているけれど、少なくとも下山に関しては違うと思う。
天候が良かったのでルートをはずすことはなかったけれど、先がわかりにくい部分はしばしばあった。ペンキマークが見えていたので問題無かったけれど、濃霧であればルートを見失う可能性が高いだろう。
カールを見下ろすと適当に下れそうに見える箇所が何度かあって、そこを下ってしまおうかという誘惑にかられたけれど、ラインがすべて見えているわけではないし、斜面を上から見下ろすと崖が見えないので、結局登り返すなんてことにもなりかねない。
仮にうまく下りられたとしても時間的には 10 分か 15 分程度の違いにしかならないと思うので、ぐっと我慢して正規ルートを歩き続けた。
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下り出して1時間 15 分ほどで、ようやく足元に黒部五郎小屋が見えた。
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ここから小屋まで 10 分ほどで、早々に三俣山荘に向かった。
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ここから三俣山荘まではさらっと行けると思っていたのだが、いきなり結構な登りになった。どうもしばらく続きそうで、立ち止まって地図を開けてみたところ、何とこれから標高差 300m の登り!!
コースタイムでは三俣山荘まで2時間で、目的の雲ノ平まではまだ5時間以上かかる。
今、2時半。これから先、コースタイムをそれほど短縮できるとは思えない。三俣山荘のテン場までなら行けそうだけれど、そうすると翌日は雲ノ平をさらっと通過しなければならない。
と言うか、そんなことをして翌日飛越トンネルまで戻れるだろうか。
今回の最大の目的は雲ノ平でのテント泊なので、それができないのであれば考え直した方がいいと思った。
今回はここで引き返すことにした。ここでテント泊して、明日はカール経由で戻る。
北アルプスでのテント泊は本当に久しぶり。20 年ぶりくらいだろうか。
キャンプ料金 1000 円にはびっくりした。世の中の全体的な物価はそれほど上がっていないのだけれど、学費とマラソン大会参加費の高騰に近いレベルに感じる。
テントを張って、まだまだ明るいけれど早々に夕食にした。身体は結構疲れているけれど、目標を断念したせいか、ビールは期待したほどにはおいしくなかった。
明るさが残っているうちはテントの中は結構暖かかったけれど、日が陰ってくると一気に気温が下がってきた。昨夜もあまり寝ていないので、寒さしのぎに早めにシュラフに入った。
中綿ジャケットとダウンパンツのおかげで身体は寒くないのだけれど、末端冷え症の足の指先の冷えがひどくなってきた。
ビールと日本酒のおかげでちょうどいいくらいのほろ酔い状態なのだけれど、足先の冷えのせいでなかなか寝付けない。
何時間も寝返りを繰り返すばかりで、次第に酔いが醒めてきて、ますます目がさえてくるという悪循環に陥ってしまった。