柳生街道

25 年以上前、東海自然歩道を何度か走ったことがある。
たまたま東海自然歩道を東京から大阪まで、尺取り虫方式で2年ほどかかって踏破された人の記録を見て、これはおもしろそうだと思って、西の起点の箕面からスタートした。
マラソン全盛期の頃だったので1回あたり 50km から 60km くらいを6〜7時間で走って6回で室生寺まで行ったけれど、これ以上はもう日帰りはムリと感じて、結果的にそこでお終いになってしまった。
そんな中で印象に残っているのが柳生街道と山辺の道。
日曜日(2/11)は当初は比良にでもと思っていたのだけれど、天候があまり良く無さそうなので、天気が良さそうな奈良に向かうことにした。翌日が随行だったので、これくらいなら疲労も大したことないだろうと思った。

京阪、近鉄、JR と4回乗り換えて、家から2時間以上かかってようやく笠置駅に到着して、出発したのは8時半ちょっと過ぎだった。
笠置はかつてマラニックの大会登山講座などで何度か来ているけれど、ずいぶん久しぶり。
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寒いのでライトジャケットとパンツを着用したまま出発した。
少し車道を行って、山道に入る。マラニックの大会では坂道練習のためにと思って車道を走って上がったけれど、今は土道の方がいい。
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20 分足らずで笠置山寺へ。中は入山料がいるのでここまで。
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ちょっと戻って柳生に向かう。
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車道を走って打滝川に合流。
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道標に従って旧道に入って、阿対(あたや)の石仏。
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柳生街道は道標がしっかりしている。メインストリートの車道ではなく、旧道をくねくねと走る。
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元弘の乱(1331年)の時、柳生永珍が笠置山の後醍醐天皇を守るためにたてもこったという古城山(ふるしろやま)。
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柳生十兵衛三厳が植えたと言われている十兵衛杉。樹齢 350 年だそうだけれど、落雷ですでに枯れている。
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暑くなってきたのでジャケットとパンツを脱いだ。
ちょっと寄り道して、もみじ橋を渡って柳生家菩提寺の芳徳寺へ向かう。
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ここも中は入山料がいるので山門まで。
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もみじ橋まで戻って、すぐ近くの柳の森。「柳生」という地名は、大昔にこの場所に誰かが杖を立てておいたところ、その杖から芽が出て柳の大木になって、そこから柳生と呼ばれるようになったとか。
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柳生街道に戻って、旧柳生藩家老屋敷。それにしても柳生の観光スポットはことごとく有料なのでここも玄関まで。
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お次は摩利支天山。ここは無料。
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そして柳生八坂神社。何か行事があるのか、黒いスーツの人が何人かおられた。
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旧柳生藩陣屋跡。もちろんここもタダ。
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このあと山道で西側の山稜を越える。
14 世紀に疱瘡よけを祈願して造られたと伝えられる疱瘡地蔵。
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道標は建っていないけれど、かえりばさ峠。
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柳生宗矩の側室になったおふじが城へ召される時、母親がここまでおふじを送って「おらはここでかえりばさ」と言ったのでついたと言われている峠の名称。
峠を下ると、おふじが柳生宗矩と出会った「おふじの井戸」。
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南明寺はロープが張られていて外から眺めるだけ。
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振り返ると越えてきた山稜。天気予報と違って厚い雲が垂れこめて、随分寒くなってきた。
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突然、水木古墳。6世紀後半のもの。
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大柳生の氏神の夜支布(やしゅう)山口神社。
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このあとしばらく舗装道路で、出会ったハイカーの男性に「この先、分岐があってよくわからないんです」と尋ねられたけれど、私も昔のことは記憶に無いので「私も初めてなんです」と返事した。
確かに斜めに似たような道が分かれていて、左側は平坦、右側はちょっと登りになっている。
地図と gps を見ても判然とせず、大した根拠も無く登りの方がいいのではないかと思って「とりあえず右に行ってみます」と言って進んだ。
少し進むと道標が現れた。帰ってから以前に行った時の手記を見てみたら、よくわからない分岐で困ったと書いていた。
随所に道標が整備されているのだから、こんな所にこそ設置しておいてほしいと思う。
ついに想定外の雪が舞ってきて、またジャケットとパンツを着用した。
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11 時 40 分、以前に随行で芳山へ行った時に降りたバス停の忍辱山に到着。
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円成寺を通過して車道を渡ってトレイルに入る。
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トレイルに入ってちょっと行った所でおにぎり休憩にした。お気に入りの生協の「ごぼうかしわおにぎり」をほおばる。暖かいお茶がおいしい。
ここからはわりと走れる道が続く。
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随行の時は途中で誓多林(せたりん)に下りたけれど、今日は東海自然歩道をそのまま進んで、車道をしばらく行って峠の茶屋へ。やはり閉まっていた。
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石切峠からはまだ行ったことの無い地獄谷石窟仏に向かう。
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沢筋に下り立つと大きなつらら。
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石窟仏は立派でした。
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ドライブウェイを横切って、荒木又右衛門が試し斬りをしたという首切地蔵へ。
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滝坂道を下って、朝日観音。
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凍結した石畳の道を慎重に下る。
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そして夕日観音。
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下道に出て、東海自然歩道を見送って春日大社に向かう。
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春日大社のエリアに入るとさすがに走るわけにはいかない。本殿に入るのはたぶん初めて。
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冬でもシカはたくさんいます。
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興福寺もたぶん初めて。
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そして猿沢の池。
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このあと繁華街を抜けて2時 15 分頃に近鉄奈良駅にゴールした。
かつての東海自然歩道ランではただひたすら脇目も触れずに先を目指したので、途中で寄り道するなんてことはまったく考えなかったのだけれど、実はこんなに見所がたくさんあったんだということを再発見できて楽しかった。
久しぶりに以前の手記を読み返して思い出したのだけれど、その頃は大胆にも食料はおろか水すらも持たず、飴玉いくつかだけで駆け抜けていた。
水分は山の湧き水か自動販売機。食べ物は途中の売店で調達していて、前回は柳生であんまんを食べていたのだけれど、今回はそんな店はまったく見あたらなかった。もちろんコンビニも無かった。
冬場だったので観光客やハイカーも少なく、静かなスローランが楽しめた。

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