奥穂高岳

陸上クラブの仲間の ken さんは 40 台の現役サブスリーランナー。登山にも興味がある方で、いつか一緒にどこか行きましょうという話がようやく実現した。
このところ秋雨前線が停滞していて天候が悪く、週末は続けて雨模様になっている。この連休も降水確率の高い予報だったけれど、日曜日(9/23)だけが少し回復する予報だった。どうなるか心配だったけれど、前日にはほぼ晴れ間違い無しという予報になって、ワンチャンスを狙って出かけた。
ken さんがドライバーを務めてくれるということで、私は助手席で楽チン。早めに店で夕食をとってからビールを買って、いつもの新穂高の無料駐車場に向かった。
入り口にはいつも通り「満車」の看板が立っていた。しかし夕刻になると何台かは帰っていて、実際にはそこそこの空きがあるというのがこれまでの常態だった。しかし今日は何と入り口に係員がいて、「満車なので鍋平へ行くように」とのこと。
鍋平は新穂高ロープウェイの駅のそばで、無料だけれどここからしばらく車道を上がって行って、登山地図では新穂高まで登り 45 分、下り 30 分が余計にかかる。
そこでタイムイズマネーということで有料駐車場に向かったところ、都合のいい第1駐車場はすでにゲートが閉まっていた。仕方無く左俣に少し入った第2駐車場へ行ったところ、ここは入ることができた。
蒲田川の水量はいつもよりかなり多く、轟音を立てている。沢筋の水量が心配だ。おまけに随分気温が低い。
ビールでプチ前夜祭をやって早めに寝て、朝2時に起床した。空は満天の星空だ。しかし気温は前日の夕方よりは高い感じ。歩くにはちょうどいいくらいの感じだ。
暖かいコーヒーを飲んで、3時過ぎに出発した。

出発の準備をしていたら左俣方面に向かう登山者が何人かいた。登山センターのあたりにも数人。こういう時間のこのあたりは何度も経験しているけれど、随分人が多い。
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右俣林道をヘッドランプで歩く。ken さんは真夜中の登山道というのは初めてとのこと。
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穂高平へのショートカット登山道は土砂崩れのために通行止めになっていた。白出沢は大丈夫かどうか、不安が頭をよぎった。実は出かける前から心配でネットで最新情報を検索していたのだけれど、新しい情報は得られなかった。もし白出沢が通行止めだったらどこに転戦するか考えながら林道を進んだ。
出発から1時間半ほどで白出沢への分岐に到着した。幸い、通行止めの標識は無かった。
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白出沢は私は2回目なのだけれど、1回目はもう 20 年以上前のことで、記憶はほとんど残っていない。
樹林帯を黙々と登るうちに夜が明けてきた。沢筋に下りると背後には笠ガ岳の雄姿が。
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木の橋で沢を渡る。
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このあと、長い木のハシゴを登って、しばらく鎖やロープの張られた急斜面のトラバース。
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白出大滝が見えた。
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ところどころ小さなハシゴのある急登を上がると、ガレた谷筋に出た。
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とにかく足元が不安定で歩きにくい。道はあって無いようなもので、勝手気ままに歩く。トレースのようなものも少しはあるけれど、しっかりした踏み跡は無い。と言うか、これでは踏み跡など出来ようが無い。
こんなのがコルまで続くのかとうんざりしていたが、上がるに従って踏み跡がしっかりしてきた。そしてペンキマークも出てきた。
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コルが見えてからがなかなか遠かったけれど、7時44分に穂高山荘に到着した。
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岩の斜面を見て ken さんは「え〜っ!!」と声を上げていたけれど、私は何の心配もしていなかった。
久しぶりに涸沢を眺めた。
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右側に前穂の北尾根。もう 20 年以上前に一人で歩いた。奥又白池でテント泊して、5・6のコルから前穂に抜けた。こんなことを今やったら間違い無く命を落とすだろう。いや、命を落とす前に重荷に耐えかねて奥又白池まで行けずに敗退するかも。
ここで 15 分ほど休憩しておにぎりなどを補給した。
一息ついてから奥穂のピークに向かった。山頂(3190m)には8時半過ぎに到着した。
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記憶の限りでは奥穂は5回目。と言っても直近でも 20 年以上前で、その時はゴールデンウィークに涸沢から直登ルンゼ経由で奥穂のピークに直接登った。上部はかなりの急傾斜だったけれど、実はエクストリームスキーヤーには人気の滑降ライン。
快晴に恵まれて 360 度の絶景を楽しんだ。
北方の眺め。右端に槍ガ岳。真ん中に薬師岳。その間の黒い山はたぶん水晶岳。左端は北ノ又岳?
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南は右端にジャンダルム。真ん中に焼岳。奥に乗鞍岳とさらに奥に御岳。
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実は南アルプスの向こうに富士山も見えていたのだけれど、写真には写らなかった。
ken さんとツーショット。
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9時ちょうどに下山開始。すれ違いがしばしばあるのでスイスイとは下れない。
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また穂高小屋の前で展望を楽しんで 15 分ほど休憩して、消化試合の下りになった。
歩きにくいガレ場を1時間半ほどでようやく普通の道に戻ってきた。しかしこういう道の下りは実際に歩いた距離以上に疲労感が大きい。
ナナカマドと笠ガ岳。
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行きに渡った橋は実はその手前に少しジャンプしなければならない箇所があったのだけれど、行きよりも水量が増えていて短足の私はちょっと苦労した。
かなり足が疲れてきて、しばしばバランスを崩して転倒寸前で何とか踏みこたえるということが何度かあった。
右又林道には 12 時過ぎに下りてきた。思ったより早かった。ここまですでに結構疲れていたので林道を走るかどうか迷っていたのだけれど、走れば1時までに戻れそうだ。昨年、槍ガ岳へ行った時にここから走って 45 分くらいで駐車場まで戻った。走ればトータルで 10 時間を切れそうなので、これは走るしかないと開き直った。
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12 時 52 分、無事駐車場にゴールした。十分満足できました。
最後のシメは当然、ひらゆの森へ。今年3回目だけれど、4回目はあるだろうか?