氷ノ山

この冬は雪山を楽しんでいる。山スキー復活に向けてゲレンデ練習も週イチペースで国境に通っているが、こちらはまだまだ前途多難な状況。

さて、昨シーズン購入した Altai skis The Hok

何度か試した感想としてはやはり前評判の通りで、滑りは非常に難しい。正直、これの練習をするくらいなら普通のスキーを練習した方がまだマシという感じ。

そうは言ってもせっかく買ったものなので、また一度使ってみたいという気になった。

しかしこれが使えるような山域は限られている(と感じる)が、これのために遠方に行くのは躊躇する。どうせそれほどは楽しめないだろうから。

日帰りエリアでどこか候補地がないかとあれこれ探って、氷ノ山なら下から雪があるだろうと思った。スキー場があるくらいなので。

氷ノ山は二年前の春に行ったが、この時は人が多くてうんざりした。冬なのでまさか小学生の集団がやってくることは無いだろうけれど、記録を見るとやはり人気が高そうだ。

西側から周回するコースが楽しそうだがアプローチが遠いし、スキー場のリフトを乗り継いで登山口まで上がるというのがおもしろくない。

若干物足らないかも思ったが、東側から前回登った東尾根を往復することにした。

2/7(土)、途中でカップ麺とおにぎり、コーヒーで朝食をとって、3時間ほどで氷ノ山国際スキー場に到着した。駐車料金 1,000 円なり。リフトの運行開始時刻まではまだしばらくあるのだが、すでにかなりの車が停まっている。

スキーとワカンを持って、7時55分に駐車場を出発した。

リフト乗り場の横を少し上がったところでスキーを履いて、林道のような雪道を進んだ。雪はガチガチ。

登り始めて 15 分くらいでゲレンデの途中に出た。リフトはまだ運行されていない。

大きなゲレンデの端を登るが、次第に傾斜が急になってきた。雪が柔らかければどうということのない程度の傾斜なのだが、このアイスバーンで、しかもシール部分が板の半分くらいしかないこのスキーでは次第に厳しくなってきた。アイゼンで登った跡もある。

直登をあきらめて斜めに行こうとしたが、このスキーはエッジがまともに効かないので、ずりずりと滑るばかり。

これ以上このスキーで登るのは無理と思ったが、この状態では身動きできない。

とにかく板を脱ぐしかない。

どうにかこうにか左の板をはずすことができた。離さないようにビンディング部分をしっかり持って、右の板もはずそうとしていた時、一瞬左手の握りが緩んだのか、持っていた板が流れだしてしまった。

シールがあるので普通の板ほど猛スピードにはならないが、それでもどんどん滑り落ちていくのを見送るしかなかった。

どこへ行ったのか見えなくなってしまったが、ゲレンデの下には平らな場所があり、リフト乗り場などの建物もあるので、そのあたりで止まるだろうと思った。しかしすでにスキーヤーが集まってきていたので、誰かに当たったりしないか、それが心配だった。

何とかゲレンデの端に戻って、残った板を置いてゲレンデを下った。

下の平らな場所であちこち眺めて、横の谷を覗き込んだりしてみたが、それらしいものを見つけることはできなかった。幸い、誰かに当たったりはしなかったようだ。

どうせまた戻ってくるので、取りあえずは先に進むことにした。

リフトが動き出す前にゲレンデの上まで行ってしまいたかったが、ゲレンデを登っている途中で上からスキーヤーやボーダーが降りてきた。

登り始めから1時間以上かかって、ようやくゲレンデの上部に到着した。鉢伏山がきれいに見えている。

ここからは登山ルートになる。ショートカットのようなトレースがあったのでそちらに向かう。

このあと、東尾根に上がるまではなかなかの急斜面が続いた。10本爪のアイゼンで来たが、12本爪にすれば良かったと思った。

ゲレンデ上から 35 分ほどで東尾根に出た。

尾根に出ると風が強くなってきたので、避難小屋の陰でジャケットを羽織った。

思ったよりも人が少ない。スキー場を越えてからは誰にも会わない。天気もどうも下り気味のようで、視界はあまり無い。

淡々と登っていたら、上から4人パーティが降りてきた。

樹林帯を過ぎて山頂エリアに来るとほとんど視界が無くなった。見えるのは足下のトレースのみ。あられのような雪が舞っている。

突然、避難小屋が見えて、山頂(1509.8m)に到着したことがわかった。11時29分だった。

小屋の中に入ると男性と女性が一人ずつおられた。男性は山スキーヤー。

おにぎりを食べて、さらにどら焼きも食べた。余計なアップダウンがあったので意外と疲れていた。

先の二人が出て行って、入れ違いに4人パーティが入ってきた。

早々に下山する。外は乳白色で何も見えず、風でトレースもあやふやになっている。足元のわずかな形状で方向を定めて下る。

樹林帯まで下りたら視界も少しマシになって、トレースもはっきりしてきた。

山頂から 45 分ほどで避難小屋まで下りてきた。小屋の前には山頂の小屋で出会った人のものと思われるスキーが立ててあった。

その後 20 分少々でスキー場に戻ってきた。

雪はすっかり緩んでいた。本来の下山ルートを見送って、またスキー捜索のためにゲレンデの下まで下った。

再度、あたりを見渡してみたが、やはり見当たらない。正直、見つからなくてもいいかなという気持ちもあった。もし見つかったとしても、今後これを楽しく使える時が来るとは思えない。むしろ無くなってしまった方が諦めがついていいかなと思ったりもした。

そんなことを思いながらあたりを見回していたら、リフト乗り場のそばのネットのところに立てかけてあるのを発見!!。このあたりは朝の捜索でも調べたところなのだが、この近くのどこかに落ちているのを誰かが見つけてここに置いてくれたのだろう。

やはり見つかるとうれしい。特に損傷も無かった。

せっかくなので最後にこれを履いて、登り口まで下りることにした。

ここの下にはコースは無いので、本来のルートまで少し登り返す。ここは問題無し。

そして林道のような緩い下りへ。ここはスキーコースではないのでスキーヤーはいない。

案の定、下りに入るとまるで制御が効かなくなった。少し下っただけでもう諦めて脱いだ。

そして午後1時50分、登り口のリフト乗り場まで下りてきた。

やはりこのスキーを使いこなすことは至難の技であるということを再認識した。もう当分使うことは無いだろう。

氷ノ山の山頂まで行けたのは良かったけれど、展望はまったく無かったし、HOK Ski は散々だったので、何となくすっきりしない気持ちで帰路についた。

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