奥熊野いだ天ウルトラマラソン

初のウルトラ 100km は、不安感 100% でのスタートとなった。
今月の走行距離はわずか 196km。一番長い距離を走ったのも 15km で、これでウルトラの 100km にチャレンジしようというのは無茶でしかない。しかしせっかくエントリーしたので、とにかく行けるところまで行こうと思った。
『完走したい!!』と書いた護摩木を火に投げ入れて、朝の5時に那智の滝の滝壺をスタートする。まだ薄暗くてかなり寒い。天気予報から暑くなるのを予想して、ランパンとスカスカの薄いTシャツというウエア。他の人たちはほとんどが長袖シャツにロングタイツを着用している。手袋をしている人も少なくない。日が昇れば暑くなるだろう。
滝壺から石段をしばらく上がって、400m ほど車道を上がってから折り返してくる。先頭グループはさすがのスピード。これから数キロはずっと下り基調になる。
どうも gps のスピード表示が変だ。キロ6分台の後半になっている。いくら何でもそんなことは無いはずだ。まぁ、普通のロードレースではないので、あまり気にしないようにしよう。いずれにしても序盤の下りではスピードを上げないことが重要だ。
心配な左膝は今のところ何とも無いが、先月の長居のマラソンで発症した右股関節の違和感が少し出てきた。ペースが遅いのであまりひどくはならないのではないかと思うが、少し不安を感じる。
5km ほど下ってから今度は同じく 5km ほどの登りへ。エイドがあったが、さすがにパス。完走目的のために全エイド制覇を考えていたが、さすがにまだ補給する気分にはならない。
最初のうちは緩いのぼりだったが、次第に傾斜が急になってきた。歩いている人もチラホラ出てくる。
これも完走目的で、登りのきつい所は歩きで行こうかと思ったりもしていたのだが、いざこういう局面になるとどうしても走りで行きたい気持ちが強くなる。実はこういう登りが好きなのだ。決して速いわけではないし、場合によっては歩きに切り替えた方が筋肉の疲労という面からも良い場合もあるのだが、ロードレースでは何とか走りにこだわりたい。
最初の 10km は 67 分ほど。登りが長かったのでこんなものだろう。初めてのエイドで水分と梅干しを補給する。
下りの傾斜はさほどきつくない。左膝の不安もすっかり無くなり、右股関節の違和感も治まっている。気分転換に遠くの景色を眺めたりしながら、緩い傾斜を下って行った。
この 10km は 63 分くらい。下り基調なのにキロ6分以上かかっているが、序盤でムリは禁物だ。
27km のデポジットのある集会所に到着。ここでバッファリンと bcaa の錠剤を補給する。ようやくトイレですっきりして、気分も爽快になってきた。
ここからはしばらく緩い登りが続く。調子が上がってきてガンガン行きたい気分だが、まだ 30km 程度なのでここでムリをするわけにはいかない。多分、このレースで一番の快適な時間帯になるのだろうと思いながら走って行った。
徐々に傾斜がきつくなってきた。歩いているランナーの方が多い。歩きに切り替えた方が良さそうな部分もあったが、せっかくここまで走り続けてきたので、何とかふんばる。私はこういう部分が好きなのだ。
40km を 4 時間 40 分くらいで通過して、ちょうどフルの距離で峠の上に到着した。小さな女の子が冷えたタオルを差し出してくれた。顔と首筋を拭いて気分がすっきりした。
しばらく緩い下りが続いて、50km を通過する。いよいよ 10km が 70 分くらいになってきたが、まだ脚は残っている。完走できるのではないかという気持ちが実感を伴ってきた。まだこの先 50km あるというのに、もはや気持ちはゴールに向かっている。
また登り基調になる。しばらく行くと、折り返してくるランナーとすれ違うセクションに入った。下ってくるランナーはみんなご機嫌な様子で、ほとんどみんなが『頑張って!!』と声を掛けてくれる。
始めのうちは返事していたが、あまりにも次から次からかけ声が続くので、いい加減うんざりしてきた。そのうちにもう開き直って、無視することにした。
このあたりで gps の調子がおかしくなった。何かメッセージを表示して、どこを触ってもフリーズ状態だ。仕方ない。どうせタイムをチェックしたところでどうなるものでも無いし、帰りの 78km のデポジットでは gps の電池切れに備えて予備の時計を入れている。
65km のエイドポイントで往路に合流する。この直前でコースミスしたが、直後にいたランナーに呼び止められて助かった。突然トレイルになったのでおかしいとは思ったのだが。
このあとはずっと緩い下り基調。70km を過ぎてもまだ脚が残っている。我ながら不思議だ。昨年の六甲往復2回や八ガ岳スーパートレイル(97km の関門で引っかかったが)、ダイトレ全山などの貯金が残っていたとしか考えられない。
78km のデポジットではまたバッファリンと bcaa の錠剤、bcaa ドリンクと VAAM を補給する。
ひょっとしたら 11 時間台かもという期待が一瞬膨らんだが、80km が 8 時間 52 分だったので、これはあっさり諦める。昨年の鯖街道が 76km で 8 時間 38 分だったので、ほぼ同タイム。アップダウンを考えるとかなり遅いが、今日はまだあと 20km 残っている。おまけにこのあと長い登りが待ち構えている。
いよいよ最後の 7km の登りが始まった。ここまで戻ってこられることは往路ではイメージできなかったが、何とまだ若干の余裕がある。ペースは遅いが、走りのリズムで進めている。
5km ほど登ると傾斜が緩やかになる。部分的に緩い下りもあるのだが、何とここで右膝に痛みが!!。これはヤバイ。痛みの質からして最後の下りでは間違い無く苦しめられるだろう。
90km はほぼ 11 時間。おそらくあと1時間半くらいはかかるだろう。
下りにさしかかったら予想通り、右膝の痛みが出てきた。気を紛らせるために景色を眺めて関係無いことを考えたりしてみるが、それでごまかすことはできない。
歩きに切り替えた方が良いと思うのだが、せっかくここまでずっと走り続けてきたのに、ここで歩く訳にはいかない。痛みが強くなると立ち止まってヒザを伸ばしてまた走るということを何度も繰り返した。どんどん抜かれていくが、そんなことを気にしている場合ではない。
5km に及ぶつらい下りがようやく終わり、最後のエイドステーションに到着した。残りは 2.8km。ここからはフラットのようなので、ヒザの痛みが治まってくれることを祈った。
期待通りヒザの痛みは治まって、またしっかり走れるようになった。おそらくキロ7分か、それよりも遅いくらいのペースだと思うが、100km 近く走り続けてきてまだ走れているのが本当に不思議だった。
残り 1km を切ると随所にスタッフの方が迎えてくれて、声援をかけて下さる。ゴール直前で完走賞のお茶の葉と菊の一輪、そして猪をかたどった木彫りを首にかけていただいて、12 時間 40 分の長い旅が終了した。
もっと感激するのではないかと期待したが、思いのほか淡々とした気持ちだった。
本当にあたたかい大会だった。大会を開催して、そして支えていただいたスタッフの方々には本当に感謝したいと思う。
細かい心遣いが本当に素晴らしかった。エイドステーションのドリンクは随所でコップに氷が入れてあったし、バケツの水も本当に助かった。ヒザに不安を抱えていた私にとっては、補給よりもヒザや股関節を水で冷やすことの方が重要だった。
初めてのウルトラ 100km は、予想外の完走で終えることができた。
これまで『ロードの 100km はあまり興味が無い』と言ってきた。これはもちろん本音なのだが、心の底では『完走する自信が無い』という気持ちがあったことも事実だ。
そういう意味では、心の底のわだかまりがこれで一つすっきりさせることができたように思う。
しかしロードの 100km をまた走りたいかと聞かれると、それはまだ微妙だ。つらさという意味では予想外に楽だったというのが本音だが、本当に楽しかったかと言うと、これもまた微妙な気持ち。
7月にはおんたけウルトラトレイルの 100km を控えているので、今のところはそれを次の目標にしたいと思う。
ただ、5月にはまた鯖街道があるのだけれど。

峰床山

今日は登山教室の随行で峰床山へ行ってきた。

より大きな地図で 峰床山 を表示
鯖街道ウルトラのおにぎりエイドの久多から歩き始めて、オグロ坂峠まで鯖街道を行って、そこから峰床山(970m)へ。
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ピーカンの山頂で昼食をとってから八丁平へ。谷底はまだ雪がしっかり残っている。
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少し周遊してから大悲山峰定寺へ下りてきた。
途中で少し寄り道をして、三本杉の巨木を眺めてきた。
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写真では二本に見えるが、この後ろにもう一本、立派なものが立っている。優に樹齢千年以上は経っていると思われる。
さて、明日はいよいよ奥熊野いだ天ウルトラに出かける。左膝の調子は残念ながら完治とはならなかった。今日も1日歩いたあとは、左膝に少し疲労感を感じた。
とにかく、ここまで来たらもう行くしかない。幸い、トレイルレースではないし、エイドステーションが2〜3キロおきにあるような大会なので、リタイアしても何とかなるだろう。
行けるところまで行くのみだ。

山田池ジョグ

昨日は完全休養にしたので、今日は山田池へ。ペースを上げるつもりはなかったが、快適さを感じるくらいのペースにはしたいと思って家を出た。
穂谷川の途中でペースをチェックすると、思ったより上がっている。山田池に着いたタイムも、少し気合いを入れて走った時とほとんど変わらないくらいだった。
多少の不安を感じながらも、はやりストレスが溜まっているのだなと思って、身体の欲するままに走った。
後半にはキロ4分台まで上がることもあったが、特に不安を感じることも無く走り終えることができた。
が、走り終えてから恐れていた左膝の違和感が出てきた。痛みは無いが、やはり今の状態ではペースが速すぎたようだ。
しかしもう走ってしまったのでどうしようもない。本番まであと5日。明日の練習は控えた方が良さそうだ。
30年近く前に買ったタプソール8を探し出してきてつけてみたが、あの強烈な刺激はいささかも衰えていない。
本番は2カ所にデポジットを置けるので、タプソールとロキソニンとBCAAを置いておこうかと考えている。ロキソニンのような薬はできるだけ避けたいので、これまで服用したことは一度も無いのだが、こういう状態ではそんなことも言っていられない。一度試してみようと思う。

山田池15kmジョグ

今日は1ヶ月ぶりに練習会へ行った。
ギリギリまで行くかどうか迷った。ようやく故障再発の不安も薄れてきたが、まだ質の高い練習はムリだ。きっと再発する。練習会へ行くと、どうしても周りにつられてしまうので、その結果が吉と出るか凶となるかは神のみぞ知るところだ。しかしもうずいぶん長く休んでいるので、ムリをしない範囲で走ってみようと思った。
今日は山田池。曇りで、気温もずいぶん低い。スピードを上げて走るならいいコンディションかも。
キロ6分を少し切るくらいのスピードでスタートした。早々と最後尾になるが、気にしない。
予定では2.5kmのコースを4周。具合が良ければあと2周くらいと考えた。
おおむね予定通りの感触で4周を終えて、5周目に入った。最初の登りで左膝に違和感!!。しばらくペースを落としたら、ほどなく治まってくれた。
その後は違和感が再発することもなく6周を走り終えた。まだ行けそうな感じだったが、せっかくこれまで徐々に距離を延ばしてきてうまくいっているので、ここでムリをして台無しにしてはいけないと思って、ここで終わることにした。
その後、家までジョグで帰って、アップも入れると全部で 22km ほど。この1ヶ月では最長距離になった。
これで来週に 100km が走れるとは思えないが、気持ち的には少しは楽になった。どうなるかはわからないが、とにかく走るだけは走ってみようと思えるようになった。
本番まで、もう長い距離を走ることはないだろう。この程度の練習ではたしてどれだけ走れるのか、以外と楽しみでもある。

10日ぶりの山田池ジョグ

6日の山田池ジョグで左膝の故障が再発して、その後3日ほど完全休養。先週後半からまた少しずつ走り出して、今日は10日ぶりに山田池へ出かけた。
山田池2周と家からの往復で10km少々。10kmを走るのすら10日ぶりで、今月の走行距離はまだ100kmにも満たない。
しかし27日には熊野で初のウルトラ100kmを控えているのだ。
今日も最後の方では、これ以上走るとまた再発しそうな感じで、完治にはまだ時間がかかりそう。
できれば週末には長い時間動き続けるようなことをやってみたいと思っていたが、これでは止めた方が良さそうだ。
まぁ、ここまでくればもう開き直るしかない。今さらあがいてもどうしようもないので、何とか初の100kmを完走して終わりたいと、それだけを祈っている。

山田池スロージョグ

今日は枚方陸上競技場でリレーカーニバルが開催されていた。クラブからも何人かが出場するので、観戦に行ってきた。
ちょうど昼過ぎから男子の 5000m と女子の 3000m が続けて行われたので、昼食をとってからスロージョグで競技場に向かった。
昨日から気温の低い状態が続いているが、今日はおまけに風が強くて、自分なら絶対に走りたくないと思うようなコンディションだった。
予定より少し遅れてまず男子の 5000m がスタートする。その後、何と、冷たい雨が落ちてきた。これはつらい。
みなさん、あまりよろしくないタイムだったようだが、これでは致し方ないだろう。走りきっただけでも大したものだ。
女子の 3000m は天候は少し回復していたが、冷たい風は収まらなかった。
競技場での大会はたいがい 5000m がプログラムの最終近くに行われるので、終了を待ってトラックでゆっくりダウンジョグをやるのが習慣になっている。しかし今日はまだまだ残りのプログラムがたくさん残っていたので、参加したうちの二人と一緒に山田池へ行った。
ヒザの調子がまだ不安なので、本当は一人でゆっくり走りたかったのだが、このところ練習会も休んでいてみんなと一緒に走っていないので、せっかくなので一緒に走ることにした。
大回りの 3.1km コースを2周回ったが、2周目の途中あたりからヒザに違和感が出てきた。ただ、走れないほどではないので、何とか付いていく。二人が2周で終わってまた競技場へ戻ったので、これ幸いとしばらく歩きにした。
悪化させてしまったと感じたが、5分ほど歩いてから少し走ってみたら、痛みはすっかり消えて、ごく普通に走れる状態に戻っていた。
良かった。ほっとした。
一瞬、非常に暗い気持ちになってしまったのが、キリがさっと晴れたように爽やかな気持ちになった。
明日からはいつもの朝夕ジョグのパターンに戻そうと思っている。

淀川スロージョグ、そして Jeff Beck

ちょうど1週間前の土曜日、キャノンボールの出場判断のために 1km ほど走って左膝の痛みが出て以来、久しぶりに走りに出かけた。昨日の夕方、近所を15分ほど超スロージョグして痛みが出なかったので、まだ若干の違和感は残っているが、ゆっくりならたぶん大丈夫だろうと思って、フラットな淀川へ行った。
4km ほど行ったあたりで知らない人に声を掛けられて、延々 30 分ほど話に付き合わされてしまったが、10km 少々を痛み無く走りきることができた。キロ6分より遅いくらいのペースだったが、無事に終われてほっとした。
そして夜は期待の Jeff Beck!!。会場は尼崎のあましんアルカイックホールというところで、フェスティバルホールのような大会場よりは一回り小さな会場。大きな期待感を持って出かけた。
6時の開演予定だったが、始まったのは6時15分くらい。1曲目は知らない曲で、ビート感あふれるがモノコードのシンプルな曲。以外と短い時間であっさり終わってしまった。
メンバーは Jeff Beck 以外はサイドギター、ベースの女性(Tal ではない)、ドラムのシンプルなカルテット。アンプや PA もかなりシンプル。
どうも安全運転という感じの演奏で、ソロも時間がわりと短め。もう少しソロを続ければ盛り上がるのに、というところで終わってしまう。ちょっと欲求不満気味。
1時間半ほどで一旦終わってしまって、お決まりのアンコールへ。
ここで想定外の Rollin’ and Tumblin’ !!。Cream 時代の Ginger Baker と Eric Clapton を彷彿させるような演奏で、一気に盛り上がる!!。待ってましたとばかりに会場から手拍子が始まったが、何とオモテの1拍3拍??。
どうもやりにくかったようで、ステージの上から大きな手振りでウラの2拍4拍にしようとしている。その後、会場からはオモテとウラの両方が混在するというとんでもない状況に??
ただ、Jeff Beck 本人はそんなことお構いなし、という感じで熱のこもった演奏を続けていた。
期待した Beck’s Bolero は聞かれず終い。8時前には終わってしまって、いささか拍子抜けという感じ。
悪くは無かったけれど、ちょっと期待感が大きすぎたかなというところだった。
しかし Jeff Beck はいつまでたっても若い!!。もちろん近くで見れば年相応(70 になるかならないか)だと思うが、演奏する音楽の質は前向きな姿勢を失っていない。
こういうタイプのミュージシャンは他には Miles Davis くらいしか知らない。
ミュージシャンというのは年を取ると円熟味が出てきて、どうしても無難な演奏になりがちだ。それはそれで味があるのだが、若い頃のアグレッシブさはもちろん失われている。
そういう演奏を聴くと、『やっぱり若い頃の方が良かったな』と感じることが多いのだが、年を経てもそういった円熟味とは無縁で、いつまでも新しいものを求め続けているのが Jeff Beck であり、かつての Miles Davis だった。
そういう姿勢のミュージシャンのプレイに生で触れることができたのは、非常に良かったと思う。
私もできる限り前向きの気持ちを持ち続けていたいと再認識した次第である。