白山 転法輪の窟敗退

今月(8月)中旬はずっと天気が悪くて、山へ出かける気分ではなかった。

そうこうするうちにコロナ感染も一段と悪化してきて緊急事態宣言地域も広がる一方で、不用意な遠出は憚られる状態にもなってきているが、ようやく天候が回復してきて、そろそろストレスも満杯。

来週はまた天候が不安定とも伝えられているので、このチャンスを逃してはならないと思って、白山に向かうことにした。まだまだ残暑が厳しいので近場の低山に向かう気にはなれない。

白山最高峰の御前峰のそばに「転法輪の窟(てんぽうりんのいわや)」と呼ばれる窟があるということを知ったのはわりと最近のことで、たまたま図書館で借りた修験道の本に記載されていた。

登山地図の拡大図には記載されているが道は無いとのことで、いくつかの情報を検索してみたが確かに踏み跡すらない模様。しかも結構危ない斜面を経由していかなければならないようだ。

白山を開山した泰澄(たいちょう)がここで修行をしたと伝えられている。もう 1300 年以上前のことだ。写真で見ると大峰の「笙の窟」くらいの大きさがありそう。

これはぜひ訪れてみなければということで、ここ数年恒例となっている白山詣でに出かけることにした。

週末は別当出合まで車で入れないので平日に出かけることにした。いずれにしてもこの時期の週末の白山は大混雑する。

8/26(木)の午後に家を出た。福井に入ったあたりから雨が降り出して、一時は本降りになった。ちょっと不安になったが、天気予報では明日は晴れることになっている。

別当出合に着いた時は雨はほぼ止んでいた。平日だが駐車場には車がいっぱい。やはりこの時期の白山は人が多い。

車中泊の準備を整えて夕食の準備に入ったところ、何とコンロを間違って持ってきていたことが発覚!! 先月の北海道行きに購入したカセットコンロ用のものを持ってきたつもりが登山用の方を持ってきてしまっていた。外箱の形状がほぼ同じなのだが北海道から帰ったあとに片付けておいたものをそのまま確認せずに持ってきたのが間違いだった。

一瞬青ざめたが、冷静に考えたら今日は火を通さなくても食べられる惣菜や寿司などばかりで、朝食もパンとジュースにしている。胸をなでおろした。白山では以前、朝にコンロが使えなくてカップ麺が食べられなかったことがある。

朝のコーヒーが飲めなかったのがちょっと残念だが、4時 45 分、まだ暗い中をヘッドランプで出発した。

休憩舎ではすでに多くの人が準備をしていた。

いよいよ山道へ。今日は久しぶりに吊り橋を渡って砂防新道へ行く。

出発して 30 分くらいでほぼ明るくなって、まずは中飯場に到着。ここも休憩している人がたくさんいた。

休憩場所で人が多いわりには登山道ではあまり人と出会わない。おかげで自分のペースでじっくり歩ける。

サラシナショウマ。

やはり出てきました。

シモツケソウ。

出発して1時間半少々で甚之助避難小屋に到着した。休憩している人はわずかだった。

ノリウツギ。

右奥に別山。

トリカブトの群生。

昨日の雨のせいで登山道も所々水が流れているのだが、なぜか延命水は枯渇している。

きっと人が多いだろうと思っていたのだが、甚之助避難小屋を越えてからはまったく人に出会わずに黒ボコ岩まで来た。

弥陀ヶ原もまるでオフシーズンのよう。

このあと下山者に少し出会ったが、7時 36 分、出発して2時間 50 分ほどで室堂に到着した。

誰もいないベンチに腰を下ろしてジェルを補給した。

ようやくスタート地点についた感じ。

イワギキョウ。

ハクサンフウロ。

高天ヶ原。

御前峰の手前で登山道をそれる。

適当に進んでみたが、ハイマツ帯が多くてなかなかすんなりと進めない。

ちょっとした目印のように思える小石が積まれているものがあったりして、そのあたりの斜面を下ってみた。

かなり際どい下りだが、いよいよ行き詰まってしまった。

この下あたりにあると思われるが、ここは下れない。危なすぎる。もっと手前から回り込むルートがあるのかも知れないが、このあたりは横はハイマツに覆われていてちょっと入る気にならない。

時間はあるので戻ってルートを探してみようかと思ったが、登り返すのも結構苦労した。もういいかなという感じ。あきらめの良さには自信がある。

このまま上に上がれそうだったので直接ピークに向かう。

ちょうど奥社の裏側に飛び出した。

8時 45 分、御前峰(2702.1m)に到着した。

翠ヶ池と大汝峰(真ん中)。

槍穂高連峰と乗鞍岳(右)。

もっと人が多いだろうと思っていたのに予想外に人が少なかったので、山頂で腰をおろしてバナナ風味饅頭で休憩した。御前峰で一人でこんなにのんびりするのは初めてのことだと思う。

さて、このあとどうする? すんなり引き返すのはあまりにももったいないし物足りない。しかしまた白山三峰では芸が無い。

そこで、このあたりの登山道ではまだ歩いたことのない、アルプス展望台を経て南竜へ行く道を行って、それから砂防新道に戻ることにしようと思った。

室堂からラジオ体操の音楽が流れてきた。9時に流しているようだが、ちょっと遅すぎるんじゃないですか?

室堂に向けて下りていくと登ってくる登山者とたくさんすれ違った。そして室堂の手前で平瀬へ向かう道へと別れた。

お花畑にはハクサンフウロが咲き乱れていた。

イブキトラノオ。

まだ少し雪が残っている。

ナナカマド。

平瀬への道を見送って南竜へ向かう。

「展望歩道」とうたっているのに視界は無し。

アルプス展望台ではアルプスが望めたけれど、御前峰で眺めてきたばかりなので感動はない。

それよりもこの白水湖の眺めの方が美しかった。

ミヤマキンバイ(ミヤマダイコンソウ?)。

10時42分、南竜山荘まで下りてきた。ここは以前に随行で来た時に泊まった。

ここのそばのベンチに腰掛けて惣菜パンを食べた。

アキノキリンソウ。

足下に甚之助避難小屋が見える。

あとは淡々とノンストップで吊り橋まで下りてきた。

白山の神様のおかげで無事に下りてくることができました。

12時50分、駐車場に戻ってきた。

白峰総湯は平日のせいかガラ空きだった。

帰ってから調べたところ、転法輪の窟へのルートはペンキのマークがあるという情報があった。さほど古い情報ではないのでしっかり探せば見つかるかも知れないが、再挑戦するかどうかはちょっと微妙。その気になれば行くし、これで最後になるかも知れない。

藻岩山、そして大阪へ

今日(7/29)はいよいよ最終日。今日までの2週間、まさかの雨天ゼロだった。そのかわりにニュースでも伝えられているように、北海道も異例の高気温の日が続いた。

すっきりと晴れたのは利尻山へ登った日だけで、あとはほとんど曇り時々晴れという天候で、遠方が望めた日はまったく無かった。おそらく気温が高かったせいだろう。利尻山へ登った日も稚内などは見えなかった。

朝食はホテルで軽いバイキングのサービスがあったのでそれをいただいた。

7時半頃にチェックアウトを済ませて駅に向かって歩いた。

今日も曇り。藻岩山は雲がかかっている。

札幌駅でコインロッカーに大ザックを預けて、まずは地下鉄で真駒内駅まで。

バスを 30 分ほど待ってから 20 分少々乗って、北の沢会館前で降りた。途中、少し小雨が降っていたが、降りた時にはやんでいた。

しばらく車道を山の方に向かってゆるく登っていく。山は見えない。

歩き出して20分ほどで北の沢ルートの登山口に着いた。

ようやく山道に入れた。25分ほどで馬の背。このあたりからチラホラと登山者とすれ違うようになった。

この先、こんなお地蔵さんがいくつも出てきた。

登山者の多いルートだそうだが意外と歩きにくい。

10時20分、歩き出して1時間10分で山頂の展望台に出た。

展望台のそばに三角点(531m)。礼文岳よりも高い。

今日も展望はまったく無し。

急いで下っても仕方がないので展望台の中の休憩室でゆっくりすることにした。ちょうど札幌や藻岩山の歴史を紹介するビデオを上映していた。

50分ほどのんびりしていたら、いつの間にやら霧が晴れていた。

外に出たら札幌市街が広がっていた。

下山はスキー場コースへ。

少し下ったら藻岩山神社があった。

この神社に祀られているのは「スキー守護神」だそうで、それは明治時代に日本にスキーを伝えたオーストリア軍人のレルヒ少佐、そして札幌オリンピック当時に IOC の会長だったブランデージ氏を祀っているとか。

このあたりはスキー場のコース。

上から 50 分ほどで車道まで下りてきた。

車道を 20 分ほど歩いてバス停に到着した。札幌駅行きのバスはたくさんあって、ほんの数分の待ち時間で乗ることができた。

最後にラーメンを食べて帰りたいと思って札幌駅のそばの店を物色してみたけれど、今一つ惹かれる店が見当たらず、実のところまだあまりお腹が空いていなかったので、新千歳空港へ行ってしまうことにした。

新千歳空港は思いのほか立派な空港だった。行きの到着時はすでに夕刻で、早くホテルに入らなければと思っていて、速攻で電車に乗ったために空港の店などは目に触れることもなく通過してしまったが、多くの店が閉まっていた関空よりもはるかに賑わっている。

ラーメン街があって 10 店くらいの店がかたまっていて、どこにするか迷ったが、若干ビールが安めだった店でチャーシュー麺をいただいた。おいしかったです。

デザートは別の店でソフトクリーム。

そして5時半くらいの飛行機で関空に戻ってきた。帰りの便もほぼ満席だった。

帰りは南海の特急を奮発して、10時頃には家に帰り着くことができた。午前中に藻岩山に登って夜の 10 時には枚方の家に帰れるなんて、藻岩山日帰りも不可能ではないんじゃないかと思えるくらいだ。

ただ、片道ほぼ1日かけてフェリーで行った前回に比べると、利尻や礼文、宗谷岬まで行ったわりには遠出をしたという感覚は少なめだった。2回目というせいもあるだろうけれど。

前回、フェリーで苫小牧に向かっている時、陸地が近いのかスマホの電波がつながる時があった。時刻から考えるとおそらく津軽海峡を通過しているのだろうと思った。この時、何とも言えないワクワク感が心の底に湧いてきたのだが、今回はフェリーで利尻島へ向かっている時もそれほどの感慨は感じられなかった。ただ、島に近づいて上部に雲のかかった利尻山が見えた時はさすがに心ときめくものがあったけれど。

今年二度目で人生でも二度目の北海道。山らしい山は利尻山だけだったけれど、その唯一の目的が唯一の快晴の日に実現できたのは本当に運が良かった。

全般的に天候は今ひとつだったけれど、雨の日が無かったというのも幸運だった。おかげで停滞日が無く、事前に予定していたすべての行先をやり遂げることができて、おまけに温泉まで楽しむことができた。

おそらく次は冬になるだろう。今度は今年よりは早い時期にしてパウダーを味わいたいと思うが、そのかわり激寒になるので車中泊は相当厳しいだろう。

パウダー用のファットスキーも買ったし、中綿入りのアウターウエアも安くなったタイミングで購入したので、今から冬の到来を心待ちにしている。

札幌散策

朝にまた温泉に入って、朝食はバイキング。今日もごはんとパンの両方をいただいた。

明日の午後の飛行機で大阪へ帰るので、今日(7/28)は事前に札幌のビジネスホテルを予約している。到着した日に泊まったのと同じホテル。

宿が札幌駅へのシャトルバスを運行してくれていたので、それに乗せてもらうことにした。午前 10 時に宿を出発する。

利用客は意外と多かった。車窓から八剣山。ちょっと興味をそそられる。

11時頃に札幌駅のバスターミナルに到着した。

前回来た時はすすきのしか歩いていないので、今日はちょっと市内観光をするつもり。と言うか、スケジュールの関係でそれくらいしかできることが無い。

駅のコインロッカーにザックを預けて、まずは赤レンガに向かった。ここは北海道庁旧本庁舎で、重要文化財に指定されている。

この前の道はオリンピックのマラソンコースになっていた。

そばの池にはハスの花が咲いていた。

それにしても暑い!! 利尻や礼文も予想以上に暑かったが、札幌はそれどころではない。35 度くらいあるんじゃないかと思うくらい。

こんなところでマラソンなんかやったら死人が出てもおかしくない(結果的にはそこまで悲惨ではなかったが、途中棄権のランナーが多数出た)。

とても外を散策しているような天気ではないと感じて、近くにある北海道大学の植物園へ行ってみることにした。

420円払って中に入る。散策コースの案内に従って歩くと温室があった。こんな日に温室に入るか?

奇妙なことに温室の近くには高山植物のエリア。ほとんどまともに咲いていなかった。

植物園なら暑さも多少はマシかと期待したが、それは期待外れでした。

もうたまらんと思って早々に出て地下街に逃げ込んで、休憩スポットでしばし休憩した。

札幌の地下街は大阪の梅田や難波なみのスケールで、広々としていて気持ちがいい。大阪の地下街にはこういう休憩スポットはほとんど無いと思う。

一休みしてからちょっと外へ出て時計台に行った。

また地下街に戻って、大通公園へ。外へ出てみたらこの通り。

そう言えばニュースで、マラソンの観客が密集しないようにするために公園をフェンスで囲っているというようなことを言っていたのを思い出した。

これはテレビ塔。

市内観光はもうこれで十分という感じで、ホテルは3時からチェックインできるので早々に向かうことにした。

クーラーの効いたホテルの部屋でのんびりしていたらようやく気分が楽になってきた。

夕食は前回と同じ店に行って、念願のジンギスカンを味わうことができた。

稚内から4日間、大浴場でゆったりと温泉を楽しんできたので小さなユニットバスは窮屈だけれど、安いビジネスホテルなので仕方ない。

明日はいよいよ最終日。飛行機は夕方なので昼過ぎまで時間がある。この天気で観光地めぐりをするつもりは毛頭ないので、夜景で有名な藻岩(もいわ)山へ行くことにした。

豊富温泉から定山渓温泉へ

7/27 は札幌郊外の定山渓(じょうざんけい)温泉に宿を取っていた。ここもほんの二日ほど前に予約したもの。豊富温泉とは違って予約できる宿はいくらでもあったが、豊富温泉と同様に1泊2食で1万円少々という宿にした。

豊富から札幌までは特急列車でも4時間以上かかるうえに、列車の本数が非常に少ない。

そのあたりのことをあまりよく調べずに定山渓温泉を予約してしまったので、交通機関を後から悩むはめになってしまった。

定山渓温泉は札幌からバスで1時間くらいかかるので、夕方のあまり遅くない時間帯には札幌に着かなければならないのだが、そうしようとすると朝7時台の特急列車に乗らなければならない。

頼めば宿の車で送ってもらえると思うが、おそらく朝食は取れないだろう。

どうしたものかと探っていたら、豊富から札幌への高速バスがあるということを発見した。出発時間も 10 時台で、札幌には午後4時前に着き、うまい具合に豊富温泉にも停留所がある。

予約が必要だったので定山渓の宿を取った翌日に電話してみたところ、席を取ることができた。

ということでこの日の朝は一転してのんびりできることになった。

温泉宿に泊まった時のいつものパターンで、まずは朝風呂を楽しんだ。

朝食は大皿に数点のおかずがのっていて、パンとバター、牛乳。そしてごはんと味噌汁というめずらしい取り合わせ。

バターがちょっと変わっていて、味噌やブルーベリー、山椒などのまぜられたものが4種類、それぞれ小さじに一杯分くらいが並んでいた。

説明書きに「ごはんにも合う」と書かれて、ごはんにのせてちょっと醤油をたらすといいということだったが、ちょっと抵抗があったので口の中で味噌味のバターとごはんをまぜてみた。

合わなくはないけれど、白ごはんにバター風味というのは個人的にはやはりイマイチという感じ。ピラフなら違和感無いのだろうけれど。

チェックアウトが 10 時なのでその少し前に宿を出た。バスの時刻までまだ 30 分以上ある。

地図に「豊富温泉弘法大師堂」というのがあったのでそちらに向かったが、それらしいものは見当たらない。それよりもアブがさかんに足にまとわりついて、チクチクと刺してくる。今日はバス移動だけなので短パンにしたのでたまらない。

すぐそばに「湯の杜ぽっけ」という土産物店があって、すでに開いていたので、そこに逃げ込んだ。

お店の人のお話しによるとこのあたりは放牧場がたくさんあるのでアブが多いとのこと。

ほぼ定刻の 10 時 40 分過ぎにバスがやってきた。乗っていた人は一人だけだった。

その後ずっと海岸沿いを走る。天塩町、羽幌町、留萌市などを通ると次第に乗客が増えて、それなりに埋まってきた。

イルムケップ山?

砂川のサービスエリアでトイレ休憩。

定刻の午後3時 40 分過ぎに札幌駅のバスターミナルに到着した。うまい具合にここから午後4時に定山渓行きの快速バスが出る。

定山渓温泉はちょうど大阪から見て有馬温泉のような位置づけで、3月に札幌岳に向かう時に車で通過したので覚えている。

札幌駅から1時間少々、温泉街の中心の停留所で降りた。わりとメジャーな温泉地のはずだが利尻島や礼文島よりはるかに閑散としている。

「鹿の湯」という宿はずいぶん立派な旅館だった。有馬温泉なら1泊2万円は下らない。

部屋も立派でした。

大浴場は脱衣場から中に入ると階段で階下に下りる構造になっていて、浴槽部分の天井が非常に高く造られている。

露天はもちろん、温度の高い浴槽、低めの浴槽、水風呂とゆっくり楽しめる。お湯も良かった。

夕食は大部屋だったがスペースはゆったりしていて、品数も豊富温泉の宿の倍くらいあった。宿泊客はそれなりの数はおられた模様。

部屋に戻って一服してから、腹ごなしと酔い覚ましをかねて外に出てみた。近くの公園でライティングパフォーマンスとやらをやっているそうで、チェックインの時に入場券をくれた。

宿のそばにそれらしいライトアップの光景が見えたのでそちらへ行ってみたが、入場ゲートのようなものは無い。

19世紀に定山渓温泉の礎を築いた僧侶の美泉定山の像。

公園からは宿が見える。大浴場が見えているのでは?

イルミネーションはこんな感じ。

なんかショボいなと思ったが、もともとこういうイルミネーションやライトアップにはあまり興味が無い。

早々に部屋に戻ったが、あとからよく調べるとメインの会場はちょと別の場所にあったようだ。

遅くなってからまた温泉に入って、そしてベッドにもぐり込んだ。

サロベツ原野、豊富温泉

今日(7/26)は稚内を発ってサロベツ原野に向かう。今回の旅で辿っている地域は「利尻礼文サロベツ国立公園」となっている。

サロベツ原野に行くには豊富(とよとみ)駅が起点になる。ここでレンタサイクルを借りるつもり。

宗谷本線は本数が少なくて、朝の電車では早く着き過ぎるので、南稚内駅 10 時 32 分の普通列車に乗ることにした。

豊富駅には 11 時 16 分に到着した。

駅のすぐ横に観光案内所があって、ここで自転車を借りることができる。

6段変則のクロスバイクを借りることができた。大きなザックも 200 円で預かってもらえた。

「最近、ヒグマの目撃情報があるので注意して下さい」という言葉に送られて、11時半に駅を出発した。

道路標識に従って車道を進む。向こうは海ではありません。

昨日のダメージがまだ残っていて、最初からお尻が痛い。意外と遠くて、30分ほどかかってようやくサロベツ湿原センターに到着した。

まずはセンターの中に入って展示物などをざっと見回ってみたが、ここもクーラーは入っていなかった。

そして案内板に従って散策路に出た。

エゾカンゾウ(ゼンティカ)。

「ナガボノシロワレモコウ」というのだそうです。

タチギボウシ?

展望台もあります。

地平線まで見えそう。

ここを逃すと食事のとれるところが無さそうなので、ラーメンとチャーハンのセットをいただいた。何の変哲もない普通の味でした。クーラーが無いので汗をかいた。

出発した時間がすでに昼前だったのでどういうコースを走るか決めかねていたのだが、大回りコースを散策してからお昼を食べても1時間もかからずに終わってしまったので、海の方まで走ってみることにした。

海に向かってしばらく走るが海はまったく見えず、逆に丘のような丘陵地が近づいてきた。

ちょっとした峠を越えて下るとようやく海が見えてきた。

30分ちょっと走ってようやく海岸の道路までたどり着いた。北海道ではちょっと郊外に出ると交差点でもほとんど信号が無いのだが、めずらしくこんな所に信号が。

海岸沿いに南に向かって走る。右手には利尻山が見えるはずなのだけれど・・・。

左側は牧草地。

北緯45度の標識。

こんな店があったが営業はしていない様子だった。

お尻の痛みをごまかしながら海岸線を 40 分、ようやくまたサロベツ原野に戻る。

幌延ビジターセンターでジュースでも飲もうと楽しみにしていたのだが、自動販売機は無かった。

まずはそばにあった展望台に上がってみた。しかし見える景色はほとんど同じ。

それから長沼の周遊路に行った。

カキツバタ。

ちょっとした展望台があったけれど利尻山はまったく見えません。

お次はパンケ沼に向かう。20分ほど走ったら標識が出てきた。

パンケ沼は湖かと思うくらい大きかった。

さらに北のペンケ沼に向かうが、途中に朽ちた展望台があった。

登ろうとしたら登り口にロープが張られていて、朽ちて危険なので立入禁止とのこと。まぁ私一人 50kg くらいなら大丈夫だろうとロープをまたいで上まで上がった。

本当はペンケ沼まで行きたかったのだけれど、地図を見る限りは沼に近づける道が無い。それにすでに午後4時で、返却時刻の5時まであと1時間しかない。

豊富駅まではしばらく車道を走らなければならないので、そろそろタイムリミット。ペンケ沼はあきらめて駅に向けて帰ることにした。

地図を見て近道を行こうとしたらジャリ道に入り込んでしまった。

こういう自転車でジャリ道を走るのはパンクが怖いが、数分ほどでまた舗装路に出た。

車道へ出てからはちょっとした峠があったりして、思いのほか距離があった。お尻も痛いが時間の余裕もあまり無いので休むわけにはいかない。

午後4時半、ようやく豊富町に戻ってきた。

午後4時 40 分、やっと豊富駅に帰り着いた。結構疲れた。あとから確認したら 50km ほど走っていた。

今晩は豊富温泉に宿を取っているが、温泉は少し離れているので、宿の人にお迎えをお願いしている。

5時にお願いしていたのだが、駅の前にワゴンが停まっていて、駅舎に一人の男性が紙を持って立っておられたので尋ねてみたところ、今晩泊まる宿の方だった。

おかげでスイスイと宿に入ることができた。

部屋はビジネスホテルのような小さな洋室で、部屋にバストイレは無い。

ウエルカムサービスでいただいた冷たい牛乳と甘い梅干しがおいしかった。このあたりは酪農がさかんな地域なのだ。

一息ついたらさっそく温泉へ。ここの温泉は石油を試掘している時に湧き出したお湯だそうで、普通の温泉とはずいぶん違って石油の匂いがする。風呂場の照明がかなり暗いのだが、よく見るとわずかに油が浮いていたりする。

しかしそのお湯はなかなかいい感じだった。

料理はメインが麻婆豆腐というちょっと変わったメニューだったが、クラフトビールや北海道のおいしいお酒と共に堪能した。

実は私はこれまで食事が提供されるような宿やホテルに一人で泊まったことが無い(はず)。

山がらみで遠出する時はまずほとんど車中泊で、温泉旅館に泊まる時は嫁さんと一緒。山小屋に一人で泊まったことは無い(ヨーロッパアルプスでは何度か泊まった)。

そんなわけでこういう宿に一人で泊まるのはちょっと緊張していた。

夜にはまた温泉に入って、気持ちよく眠りについた。

宗谷岬、ノシャップ岬

今日(7/25)は自転車で宗谷岬に向かう。言わずと知れた日本の最北端。写真や映像では何度も見ているけれど、訪れるのはもちろん初めてのことだ。

自転車を借りられるのは9時半からということだったので、少し早めの9時15分くらいに行ったらすでに窓口が開いていた。

21段変則(前3段x後7段)のクロスバイクを借りて、9時20分に稚内駅を出発した。

しばらくは市街地を走る。宗谷岬まで 27km。

単調な道をひたすら走る。利尻島の時と違ってアップダウンはまったく無く、風も向い風ではないので走りやすいが、まだまだ先は長い。

出発して 45 分ほどで半分近くまで来た。

昨日のフェリーから見えていた風力発電施設。

10時40分、1808年に間宮林蔵が樺太探検に出航したと言われている場所。

10時50分、出発から1時間半であっさりと宗谷岬に着いてしまった。

さすがにここは観光客が多かった。

たまたま誰も写真を撮っていないタイミングがあった。樺太は見えなかった。

ここにも間宮林蔵の像。

道の反対側には展望エリアがある。

少し上ると広大な草原が広がっていて、モニュメントなどがいくつか置かれていた。

宗谷岬灯台。

駐車場のそばに宗谷岬神社とやらがあったが、どうも違和感がある。

時間があったのでおにぎりを食べたりして 30 分ほどゆっくりして帰路についたが、案の定、帰りは向い風になった。

そして普段、自転車で長距離を走ることが無いので、お尻が痛くなってきた。体力と脚力にはまだ余裕があるのだが、お尻が痛くて走り続けられない。

たまらず歩道に上がってしばし休憩。

ようやく稚内空港まで戻ってきた。

途中で自動販売機のペットボトルのジュースで休憩したりしながら、2時間以上かかってようやくスタートした稚内駅まで戻ってきた。

お尻は痛いが、まだ時間があるので何とかノシャップ岬にも行っておきたい。

この道路標識、拡大しなければわからないが、日本語表記の下にアルファベット表記があって、その下にはロシア語表記がある。

ノシャップ岬は意外と近くて、稚内駅から 20 分ほどで到着した。

ここからも樺太は見えず。

稚内灯台。

ちょうど午後3時に稚内駅に戻ってきた。トータル 73km のサイクリングでした。宗谷岬へ行った証明書をいただきました。

そして駅ビルの店でソフトクリームを食べた。

ホテルに戻ったら部屋でシャワーを浴びて一休みして、また南稚内駅方面に向かった。

昨日の店がおいしかったので今日は魚料理を食べようと思ったところ、何と休業していた。こういう旅をしていると曜日感覚が無くなってしまうのだが、今日は日曜日だった。

個人営業のような小さな店はどこも閉まっているようで、致し方なくチェーン店風の店に入った。

私はそれほど食べ物にはこだわらないので、それなりに満足できました。

ホテルのちょうど前にコインランドリーがあったので、帰ってから洗濯した。

明日はサロベツ原野へ行く。一時は宿が取れなくて諦めていたのだが、二日ほど前に運良く一泊だけ宿を取ることができた。

温泉に入って、クーラーの効いた畳の上の布団で寝られるのは本当にありがたい。

礼文岳、そして稚内へ

今日(7/24)は礼文島最終日。最後に残った礼文岳へ向かう。

まずは先日と同じバスに乗るために6時半頃に車道に出た。礼文島へ来て初めて利尻山がうっすらと見えた。

10分ほどで登山口の内路(ないろ)に着いた。登山口はバス停の真ん前にある。10時55分のバスまでに戻ってこなければならない。

最初は急坂だったがほどなくなだらかな歩きやすい路になった。

1時間ほど登ったら山頂手前のジャンクションピークが見えた。このあたりから天気が悪くなってきた。

一旦少し下ってから最後の登りになるが、このあたりから風が強くなって小雨まじりになってきた。

8時 23 分、出発して1時間半弱で山頂(489.8m)に到着した。

利尻山の時とはうってかわって展望はまったく無し。

山頂にあったちょっとした岩の上に立ってみたが、風で飛ばされそうになった。

バスの時刻には十分余裕があるが、この天気では長居は無用。写真を撮ったら早々に下る。

下りてきたらすっかり晴れ渡っていた。ただし利尻山はほとんど見えない。

往復3時間足らずだった。バスの時刻までは1時間以上あるので歩いてもキャンプ場に戻れるくらいの距離だし、一昔前なら軽くジョグで戻った程度だが、この道は歩道がほとんど無くて、さらに大型ダンプが行き交うことがわかっていたので、バスを待つことにした。

一旦キャンプ場に戻って荷物をまとめて、3泊過ごしたキャンプ場を後にした。

そして午後2時20分のフェリーで稚内に向かった。礼文島に4日滞在したが、ただの一度も店で食事を取ることがなかった。ウニ丼やイクラ丼を4〜5千円も出して食べたいとは思わない。

晴れてはいるが、礼文岳の上の方はやはり曇がかかっている。

フェリーの反対側には絶景が広がっていた。今回の旅でのベストショット。

この景色から目を離すことができず、利尻山が小さくなるまで甲板でずっと見続けていた。

2時間足らずで稚内に戻ってきた。

利尻島と礼文島ではずっとテント泊だったが、これから先はすべてホテルや旅館を予約している。帰る前日の札幌のホテル以外はすべてここ2〜3日で予約したもの。天気まかせの旅なのであらかじめ宿を予約しておくことはできない。

稚内のホテルは稚内駅と南稚内駅の間くらいにあって、フェリーターミナルからだと直接向かうのが都合がいいのだが、明日はレンタサイクルで宗谷岬へ行こうと思っているので、稚内駅の観光協会に寄って情報収集した。予約はできないとのことで、朝は9時半からとのこと。ちょっと遅いな。

まずはホテルでチェックイン。

バストイレ付きの和室だが、温泉の大浴場がある。クーラーが快適だ。

観光協会の方のお話しでは稚内駅周辺よりも南稚内駅周辺の方が賑わっているとのことで、夕食は南稚内駅の方に向かった。

礼文島ではずっとセイコーマートの惣菜とおにぎりやパンばかりだったので、今日はプチ贅沢したい。

15分ほど歩いて南稚内駅の前。

賑わっているとは言っても稚内なので、店が軒を連ねているわけではない。

ネットでいくつか調べておいたうちの一軒が駅から近かったのでのれんをくぐってみた。メニューは出ていないけれどだいたいの情報は得ている。

まだ6時前だが満席に近かった。カウンターがちょっと空いていたのでそこに座ることができた。

まずはビール。そしてさしみの盛り合わせ。

さしみの盛り合わせは新鮮で、ボリュームもたっぷりでおいしかった。

あたたかいものも食べたいので、肉じゃが。これもボリュームたぷりで、冷酒によく合う。

メニューでは魚料理など食べたいものはいっぱいあったけれど、もはやお腹いっぱいに近い。

シメに海鮮雑炊をたのんだところ、これもお茶碗三杯たっぷりあって、いささか食べ過ぎという感じになった。

メニューの値段表から見ると5千円くらいにはなったはずだが、なぜか4千円ちょうどとのこと。ごちそうさまでした!!

ホテルのそばにはセイコーマートがあって、翌日の朝食と行動食を買ってホテルに戻って、大浴場の温泉でゆっくりした。

礼文滝から桃岩展望台コース

今日(7/23)は昨日の8時間コースからつなげて礼文島の南端まで歩く。

今日も早く目覚めてしまったので6時ちょうどにキャンプ場を出発した。連休のせいかテントが増えて、私が着いた日は木のテラスしか張られていなかったが、いつの間にやら芝生エリアにもたくさん張られていた。

昨日、林道に合流した場所まで戻って、さらに林道を南へ進む。昨日は1台車に出会った。

1時間少々で礼文滝への分岐に到着した。そばに軽自動車が1台停まっていた。

しばらくなだらかな斜面を下ると次第に急になって、沢沿いに出た。ここからは何度も沢を渡る。

張られたロープに助けられながら沢筋を下ると、滝の落口に近づいてきた。

右岸の急斜面を下って海辺に下りたった。

振り返ると礼文滝。わざわざ来るほどの値打ちがあるのかどうかはちょっと微妙。来たからこそ言える言葉ではあるのだけれど。

1時間半ほどで礼文滝を往復して、林道をさらに進む。原生林の原状回復のための植樹がなされている。

礼文滝への分岐から 20 分ほどでレブンウスユキソウ群生地に着いた。

写真ではもっと大きい花かと思っていたけれど、以外と小さな花でした。直径 2cm くらいかな。

はっきりと書かれていなければ気づかずに通り過ぎてしまいそう。

時間があるのでこのそばで腰を下ろしておにぎり休憩にした。

このあともしばらく未舗装の林道を下り気味に進むが、軽装で上がってくる観光客風情の人たちと次々とすれ違った。

20分ほど下ると車道に出て、その先に大きな駐車場があった。観光バスが停まっていて、このバスの観光客が上がってきたのではないかと思った。

私はこの駐車場の手前の標識で展望台の方に向かったのだが、どうも駐車場の向こうにハイキング道があるもよう。歩いている人がたくさんいる。

車道を数分登るとハイキング道に合流して、桃岩の展望台に上がった。

桃岩ってこれのこと?

ここは観光客がいっぱいで、この先の桃岩展望台コースもハイカーにたくさん出会った。こんなところでマスクをつけるはめになるとは・・・。

桃岩展望台から 50 分ほどで元地(もとち)灯台まで来た。ここのそばにあった数台のベンチはハイカーで満席になっていた。

今日のハイクも最終盤になってきた。

ウツボグサ?

チシマフウロでしょうか?

いよいよバス停のそばまで下りてきたが、「北のカナリアパーク」へ寄っておく。

11時15分、北のカナリアパークに到着した。ここも観光スポットのようで、店は観光客で混雑していた。

「北のカナリアたち」という映画の舞台になった校舎。私は映画は見ないのでまったく知りません。

ちょうど数少ないバスまで 30 分くらいだったので、校舎の影で小休止してからそばのバス停に行った。しかしこのバス停、時刻表が無い。どういうこと?

一人で待っていたらたまたま通りかかったこのあたりの店の店員さんと思われる女性が、ここはバスは通らないと教えてくれた。バス通りはここから数分下ったところに移っているとのこと。

それならそうとバス停に書いておいてほしい。もしくは撤去しておいてほしい。そんなに大そうなものでもないのだから。何という不親切。この女性に出会わなかったら気がつかないところだった。

バスの時刻の数分前にバス停に着いた。何人かがすでにバスを待っていた。

バスは 10 分ほどでフェリーターミナルに到着した。

温泉へ行って、休憩エリアでビールを飲んで、バスの時間を見計ってセイコーマートに向けて歩いた。

セイコーマートで夕食と翌日の食料を買い出しして、店の前でバスを待とうとしたところ、どうも同じような感じの一人の女性がおられた。

一声かけたところ、やはりキャンプ場にテントを張っておられて、今日はほぼ私と同じ行程で、ここまで歩いてきてあとはバスで戻るつもりとのこと。

予定通りのバスでキャンプ場のそばまで戻ったが、よくこんな道を大きな荷物で歩いたなと我ながら感心した。もう二度とできない(やらない)と思う。

明日は礼文島最終日。午前中に礼文岳を登って、午後のフェリーで稚内に戻るつもりだ。

岬めぐりから8時間コース

登山地図によると8時間コースへ行く人は大半が北端のスコトン岬を出発地点にしているらしい。ちょうどバスがここまで来ている。

距離的には 20km 以上のロングコースだが、標高差がそれほどではないのでおそらく大丈夫だろう。

7/22、朝一番のバスで終点のスコトン岬へ向かうことにした。

キャンプ場から数分のバス道に出る。礼文島のバスは停留所はあるけれど基本的にどこでも乗り降り可能になっている。バス停は少し離れているので車道に出たところでバスを待つことにする。

ずっと海岸沿いに走るが利尻島は見えない。

30分ほど走るとスコトン岬の半島が見えてきた。

7時半ちょっと前に終点のスコトン岬に到着した。

まずは岬の最先端へ。「最北限」となっているけれど日本の最北限は宗谷岬。とは言ってもこの時点では私が訪れた最北限になる。

利尻島も暑かったが、ここも暑いとまでは言えないにしても涼しくはない。こんなものなの?

岬の先端まで行ってから南へ向かう。しばらく車道。

カワラナデシコ。このあとも礼文島では至るところに咲いていた。

車道を登って、トド島展望台。左前方の島がスコトン岬の向こうに見えていた海驢(トド)島。

この先で車道から分かれてゴロタ岬への登りに入る。

トレイルを 10 分ほど登ってゴロタ岬へ。

残念ながら展望はあまり無し。

しばらく下ると礼文西漁港(鉄府)が望めた。

エゾカンゾウの生き残り?

鉄府の集落を抜ける。ここは車道が通じているので人に出会った。

集落をはずれるとトレイルの激登りになる。

激登りのあと激下りで、鉄府から 20 分ほどで澄海(すかい)岬に近づいた。ここは観光地のようで観光バスが停まっていた。

観光客が多いのでマスクを着用して岬へ。

駐車場のそばに売店があったので、アイスクリームがあれば食べようと思ったが、売っていたのは焼きウニやホタテなどで、こんな暑い時にそんなもの食べる気にならない。

ここで岬コースから8時間コースに入るのだが、しばらく相前後して歩いていた男性につられて車道を進んだところ、本来のコースをはずれてしまっていた。

しかしここは近年の大雨でトレイルの一部が崩壊して通行止めになっているポイント。ただ、記録をさぐると強行通過している人もいるようだ。

気がついて車道の対岸の斜面を見てみたら山路が見えた。そしてよく見たら件の崩壊箇所も見える。

あの道に入るためには少し戻らなければならないし、それにあの崩壊箇所は結構危なそう。

地図を見るとこのまま車道を進むと本来の8時間コースの道に入れるようで、多少大回りにはなるけれどそれほどのタイムロスではなさそう。こんなところで無用なリスクはおかしたくないので、大回りの安全ルートで行くことにした。

本来の分岐に近づいてきたが、ヘアピンカーブになっているので、分岐の少し手前のヤブに突入してショートカットした。大した距離ではないのだが何となく得したような気分になれる。

10時20分。8時間コースはここから。

チシマフウロですか?

ずぅっとこんな感じ。

10時50分、召国分岐でそばに腰掛けられる木があったのでそこに腰を下ろして惣菜パン休憩にした。

スコトン岬を出発してからずっとこういう景色で歩いてきたのだが突然、樹林帯に突入した。

実は礼文島というのはもともとこういう原生林に覆われていた島だったのだが、明治時代に大きな山火事が幾度もあったり、大規模な伐採が行われたりして、これまで歩いてきたササ原のような景観になってしまったらしい。

このあたりは昔の植生が残っているわずかなエリアとのこと。

何の木なのかは私にはわかりません。

水音の聞こえる沢がすぐそばにあって、一部路面がドロ沼状態になっている場所があって、端の方に避けたつもりが足がずぶずぶともぐってしまい、あわてて置いた反対側の足はさらにひどいドロ沼で、シューズは濡れるわ、はねたドロが顔にかかるはでひどい目にあってしまった。

道が荒れていて際どい場所もある。

小さな沢に出会ったのでここで顔と手を洗って、おいしい水をガブ飲みした。

まさかのヤブ漕ぎ。

12時半過ぎ、ようやく海が見えてきた。

この先がこのコース最大の難関箇所で、滑りやすい急な斜面を海辺まで下らなければならない。反対向きに歩いた人の記録ではここが登りで良かったと書かれていた。

斜面の上部に休憩している男性がいたが、挨拶して斜面の下りに突入した。

小石でガラガラの急斜面で、おおむねロープが張られている。それに助けられながら慎重に下る。

10分足らずで何とか無事に下までたどり着いた。写真では大した傾斜には見えないけれど、なかなかの急斜面です。

久しぶりに海沿いを歩く。

ほっとしたのも束の間で、今度は大きな石がゴロゴロの超歩きにくい海岸線を行かなければならない。昨年の前常念岳からの下りを彷彿させる。

決まった道などないので適当に歩きやすそうなところを見定めて進んで行く。

まぁでも 20 分くらいで宇遠内(うえんない)の漁港まで辿り着いた。

地図によると集落に売店があると書いてあるが、そんなもの見当たらない。トイレはあったけれど。

漁港と言っても車道は通じていないので、ここの住居で漁業を行う人たちはそもそも船でやってくるのではないだろうか。

さて、8時間コースも最終盤にさしかかってきた。あとはキャンプ場に向けて山路を進むだけ。道のそばにあった板に腰を下ろしておにぎり休憩にした。ちょうどその前を単独行の男性が二人通り過ぎて行った。

ここから林道出会いまではどちら向きもコースタイムが同じなので、平らな道をのんびり行けるのかと思っていたら、地図を正確に見ると結構な峠を越えなければならなかった。標高差にして 180m くらい登らなければならない。

先ほど前を通り過ぎた二人の男性はあっさりと追い抜いてしまった。

おにぎり休憩後に出発してから 40 分ほどで林道に合流した。

そして林道を 10 分ほどで舗装道路に出た。キャンプ場まではあとわずか。

午後2時半、キャンプ場に戻ってきた。

キャンプ場にはママチャリの自転車が2台あって、温泉とコンビニ目的に限って無料で借りることができる。つまり早い者勝ちで、夕食を食べに行くということには使えない。

まずはテントのそばで残った行動食を食べて一服した。そうこうしていたら隣のテントの若い男性が帰ってきた。さっき終盤で出会った男性だった。

そして自転車を借りてフェリーターミナルへ向かった。行き先はもちろん「うすゆきの湯」。

脱衣場ののれんをくぐったら熱気があふれてきた。ここもクーラーは無し。

休憩室では缶ビールを飲んで一人打ち上げした。

そしてセイコーマートで夕食と翌日の行動食を買って、キャンプ場に戻った。

今日は礼文島の北部のハイキングコースを辿ったので、明日は南部を南端まで行ってみようと思う。

ペシ岬、そして礼文島へ

4泊したキャンプ場を後にして、今日(7/21)は礼文島へ渡る。

フェリーは昼過ぎなので時間はたっぷりある。時間潰しに温泉のすぐそばにある高山植物園に寄ってみる。

こじんまりしたエリアだが手入れはしっかりされている感じ。早朝だが(朝の7時半くらい)二人の男性が作業をされていた。

ただしこういう場所に咲いている花は概して勢いが無くてしょんぼりした感じ。本来の場所ではないところに連れてこられて元気を無くしているのではないかと思ってしまう。

フェリーターミナルのコインロッカーにザックを預けてペシ岬に向かう。

適当に歩いていたら登り口があった。

少し登ったところに会津藩士の墓。

こういう云われだそうです。

ノコギリソウ。

最後の登りは結構急です。

登り口から 10 分少々でてっぺんへ。

フェリーが泊まっている。利尻山がうっすらと。自転車道路の高架橋も見える。

向きを変えると鴛泊灯台。

こちら側をぐるっと廻って車道まで下りた。

WiFi のつながるフェリーターミナルでタブレットを開いたりして時間をつぶして、13時15分のフェリーで利尻島に別れを告げた。

今度のフェリーは椅子が並んでいるタイプだった。

午後2時に礼文島の香深港に到着した。

礼文島でも観光客誘致キャンペーンをやっていて、宿泊施設に泊まると費用の半額、最大5千円まで補助されるというもの。最長3泊まで。

これなら民宿にでも泊まってみたいと思ったが、翌日から四連休というタイミングに当たってしまって、飛び込みで泊まれるような宿はまったく無し。

礼文島は利尻島に比べるとかなり不便で、キャンプ場はフェリーターミナルから 5km くらい離れている。バスは一日数便しかない。

唯一のセイコーマートもフェリーターミナルから 2km くらいの中途半端な場所にある。

それならば自転車を借り切れないかと思ったが、翌日からの連休で予約でいっぱいとのこと。

次のバス便まで1時間以上あるので、覚悟を決めてまずはセイコーマートに向けて歩くことにした。

礼文島は利尻島のように島を一周するような車道は無く、実質的に東海岸を北から南まで走る1本のみ。あとは東西に走る新桃岩トンネルくらい。

重い荷物をかかえてとぼとぼと車道を歩き出したが、驚いたことに大型ダンプがひっきりなしに走り抜ける。

こんなに小さな島で一体何をやっているのだろうか。あきれるくらい何台も次から次に爆走していく。仕事で走っているのだろうが、本当にがっかりした。

30分くらい歩いただろうか、ようやくセイコーマートに到着して、今晩と翌日の食料を調達した。キャンプ場はまだまだ先だが、ここまで来たらもう歩いて行くしかないが、肩甲骨のあたりがとても痛い

歩道の無い道の横を大型ダンプが次々と走り抜けていく。陽がさしていないのがせめてもの救いだ。

周囲の景観にまったく似合わない見内神社。

フェリーターミナルを出てから1時間半くらい歩いただろうか、ようやく緑ヶ丘公園キャンプ場に到着した。

ここはキャンプ場としてはなかなか快適。これなら雨が降っても大丈夫そう。

当初はまずは礼文岳と考えていたが、礼文岳は半日行程なので、最後に登ってからその日に稚内へ戻るという行程にしようと思い直して、明日は8時間コースへ行くことにする。