10/25(日)は大峰奥駆道南部の笠捨山へ行ってきた。
大峰奥駆道は釈迦ヶ岳までの北半分はごく一部を除いてはほぼ全コース歩いているが、南部は奥守岳までしか歩いていない。
さすがにこれより南部は日帰りでは難しいと思っていたが(玉置山だけなら可能)、上葛川までなら3時間くらいで行けそうだ。それなら奥駆道南部で最難と思われる地蔵岳や笠捨山に行ける。
いつかは奥駆道全コースを踏破してみたいと思っているので、このあたりは一度は歩いておきたいと思っていた。
途中でカップ麺とおにぎり、コーヒーの朝食をとって、3時間少々で上葛川に到着した。事前の情報では葛川トンネルの手前に駐車スペースがあるとのことだったが、上葛川にもありそうだったので集落の方まで行ってみた。
集落の手前にちょっとしたスペースがあったので、そこに車を置いた。運良く、奥駆道に上がる道のすぐそばだった。
準備を整えて7時55分に出発した。
20分少々で稜線の奥駆道に出た。ここは古屋の辻。
さすがに奥駆道はしっかりしている。ほどなく木の階段の急登になった。
ガンガン上がると目の前に大きな岩が現れて、「貝吹之野」というらしい。
何箇所かの急登を経て9時30分、出発して1時間35分で香精山(こうしょうやま、1121.9m)に到着した。
少し進むと送電線の鉄塔があって、そこから正面に笠捨山が望めた。送電線の左が地蔵岳。
少し進んで檜之宿跡。
お次は拝み返し。
そして四阿之宿(あずまのやど)。
ここから少し北へ行って、東屋岳(1230m)のピークを踏んでおく。
いよいよ地蔵岳の岩場が始まった。
しばらく鎖場が続く。鎖は新しいものも多くてしっかりしているので慎重に行動すれば危険は無いが、千年前はどんな状態だったのだろうか。
小さなコブをいくつも越えて、槍ヶ岳の岩の北側を巻く。地蔵岳のピークはどこだったのかわからなかった。
岩の上にはとても行けそうにない。
鎖場は 30 分足らずくらいだったろうか。ようやく道が穏やかになってきた。私がこれまでに歩いた奥駆道の中では一番厳しい場所だったように思う。
また送電線の鉄塔に出会って、笠捨山がちょっと近づいた。
11時7分、葛川辻に到着した。ここで腰を下ろしておにぎり休憩にした。
11時39分、笠捨山(1352.7m)に到着した。
真ん中奥の突起は大普賢岳。左の端の方のピークが釈迦ヶ岳。釈迦ヶ岳の右に八経ヶ岳。
この先で奥駆道と分かれて蛇崩山(だぐえやま)へ向かう。
「難路」と書かれているが危険というわけではなくて道らしい道が無いということ。たまに古いテープが出てくるだだが、稜線は明瞭で下生えもほとんど無いので問題なく歩ける。
笠捨山から 45 分くらいで上葛川への分岐まで来た。
まずは蛇崩山に向かう。
分岐から 20 分少々で蛇崩山(1172m)に到着した。展望は無し。
ここで腰を下ろして豆餅休憩にした。
先ほどの分岐まで戻って、稜線を辿って上葛川に向かう。途中で振り返ると蛇崩山が立派。
このあと稜線をはずれて西側の斜面を下らなければならないのだが、このあたりからルートがよくわからなくなってきた。元々かすかな踏み跡程度しかなかったのだが、倒木が増えてきていちだんと先が不明瞭になってきた。
ちょっと不安になってきたころ、またかすかな踏み跡に出会った。これで一安心。
うまい具合に踏み跡は斜面を集落の方に下って行っている。今日は会心の一日だったと満足感にひたりながら下っていたら、分岐のようなものが出てきた。
方向としては左の方なのだが、右の方が踏み跡が若干明瞭な感じがしたのでそちらに行った。ところが下るにつれて本来の方向から次第に離れてきた。
ここの下は川を橋で渡らなければならない。こんなところの川べりに道などあろうはずがないので、橋からあまりに離れた場所に下りてしまうと川の中を辿らなければならなくなる。
このままではまずいと思ったが、分岐に戻るにはかなり下ってしまっていたので、斜面をトラバースして元の方向に戻ろうと思った。
斜面は結構急なので、何とか進めそうな場所を選んでトラバースする。
しばらく進むと鹿除けネットが見えた。こういうネットのそばには踏み跡があったりするのでそちらに向かってみたが、残念ながら踏み跡は無かった。それどころかヤブが一段と濃くなって、おまけにイバラまで出てきた。この期に及んで泣きたい気分。
下の方に集落が見えた。しっかりした道ならほんのすぐそこなのだが、この状態ではあとどれだけ時間がかかるのかまったく予想できない。
橋からは少し離れているが、もうこのまま川まで下るしかない。ただし問題は川のすぐそばの斜面。上からは死角になっていてその状態が見えないので、下っていったら崖だったというのは最悪パターンである。昨年の白髭岳と同じパターンにはまり込んだ。まったく学習効果が無い。
もはや登り返す気力は無く、地形図で崖マークが無いことを確認してから慎重に急斜面を下った。幸い、川にはさほどの苦労も無く降り立つことができた。
橋まではわずかのはずで、橋を渡ればあとは車道を少し行くだけなので、浅瀬の部分をじゃぶじゃぶと進んだ。
左岸の河原の部分を進んだら橋が見えた。やれやれ。
車道は緩い下りなのだが走る気分にはなれずにとぼとぼと歩く。
こういう集落の人たちはどういう生活をしておられるのだろうか。バス便は通ってはいるのだが。
午後3時12分、無事駐車スペースに戻ってきた。
せっかく十津川村まで来たので十津川温泉に入って帰ろうと思ったが、二ヶ所ある公衆浴場はいずれも満杯状態。混んでいる温泉に待ってまでは入りたくないので、R168沿いの大塔温泉夢乃湯に立ち寄った。
あまり温泉ぽくなくてカルキの匂いがぷんぷんしていたが、すいていてゆっくりできて、わりと安め(660円)だったのでまぁ良かった。
家に帰り着いたのは午後8時前だった。
私の若い頃は大峰はとにかく交通の便の悪い所という印象があって、大峰へ行くくらいならアルプスへ行った方がマシというイメージが強かった。京都から奈良へはひたすら下道を辿るしかなかったので、車でも非常に時間がかかったし、道も狭くて走りにくかった。
上北山村や十津川村などはまだまだ遠いけれど、昔に比べると車道が整備されて広くなって、部分的に高速をうまく使うと日帰りできるエリアになってしまった。大台ヶ原もしかり。
あまり激しく山肌を削ったりするのは控えてほしいけれど、道路が整備されることのメリットは少なくないと言わざるをえない。