稲村ヶ岳

先週の週末はずっと雨で、その後は講座もなくて、2週間ぶりの山行きとなった。

稲村ヶ岳へはちょうど4年前の正月に行った

この時は目標は山上ヶ岳だったのだが、トレランシューズにチェーンスパイク、トレランポールという軽装で、レンゲ辻の手前で凍った斜面のトラバースに恐れをなして敗退した。

このことがずっと心残りで、いつか再挑戦したいと思い続けていたが、もちろん無雪期では再挑戦する意味が無い。

今シーズンは雪が多いので、いよいよチャンス到来と思って出かけることにした。もちろん今度は登山靴に 12 本爪アイゼンで。

1/30の土曜日、家から2時間ほどで観音峯登山口の駐車場に到着したが、天川村手前から道にも雪が出てきて、洞川へ向かう道は完全に雪道になっていた。こんなことは初めてだ。

こんな日にここへ来る人はいるのだろうかと思っていたが、意外とたくさん車が停まっていた。

雪がちらついていたのでヤッケにオーバーズボンの完全装備で7時半に駐車場を出発した。

まずは吊り橋を渡る。前回とはまったく様相が違う。こんな日に限ってワカンを持ってきていない。

先行者は一人。ただしすでに見えない。

少し登って観音の水。写真を撮っていたら後ろから人が来たので、先に行ってもらった。

暑くなってきたのでヤッケを脱いだ。

8時18分、観音平に到着。

少し登ると「お歌石」。大塔宮護良親王がこのあたりに身を隠している時に歌を読まれて、その歌が刻まれた石がこのあたりにあったそうだが、次第に風化してわからなくってしまったのでここに再構したというもの。

南朝の皇族が一時身を隠していたと言われている岩屋は少し道をそれる。時間があれば帰りに立ち寄ろうと思う。写真は帰りに撮ったもの。

急に周囲が開けて、観音峯展望台。今回も展望は無し。

先ほど先行された人がアイゼンを装着されているのを横目で見ながら先に進む。

9時8分、観音峯山(1347.7m)に到着した。先行者が前に見えた。

ここでアイゼンを装着した。

しばらく進んだら先行者が見えて、立ち止まって地図を見ておられる横を先に進んだ。今日のこのルートの先頭に出てしまった。しかしこの程度の雪なら歩きに差し障りは無いので、踏み跡の無いところを進めるのは気持ちがいい。

ガツンと下って10時18分、法力峠に出た。出発から2時間48分かかった。前回より 40 分ほど余計にかかっていた。

ここから先は踏み跡だらけ。緩い登りでトラバースが続くが、次第に斜面が厳しくなってきた。クサリも出てくる。

先行者を何人か追い越しながら進む。ここはクサリもロープも無く、ウィペットのピックを頼りに進む。

前回とはずいぶん状況が違う。このコンディションと時間を考えると、山上ヶ岳へ向かうのはムリだと思った。おそらくトレースも無いだろうし、レンゲ辻からの登りはラッセルになりそうだ。

11時43分、ようやく山上辻に到着した。やはり山上ヶ岳への道はトレースが無かった。時間も時間なので目標を稲村ヶ岳にする。

冬期の休憩スペースは誰もいなかったので、まずはヤッケを羽織っておにぎり休憩にした。中にあった温度計はマイナス9度を指していた。

オーバーミトンをはめて稲村ヶ岳に向かう。部分的に風が強くて急激に身体が冷える。末端冷え性で指先がじんじんする。

片側が壁になっている狭い場所で下山者とかちあわせてしまったが、たまたま壁の下部にちょっとした窪みがあったので、私がそこにもぐりこんで通過してもらった。

この光景はうっすらと記憶がある。前回はチェーンスパイクで恐る恐る通過した。

稜線に上がって、最後の登りにさしかかる。先行者のトレースは風で消えている。

12時40分、無事、稲村ヶ岳(1726.1m)に到着した。

今回も展望はなく、見えるのは樹氷だけ。

写真を撮ったら早々に下山する。

山上辻へ向かう途中で追い越した4人パーティが上がってくるのに出会った。

30分ほどで山上辻に戻って、立ち止まらずに法力峠に向かう。

往路で何人かの登山者を追い抜いたが、復路で出会ったのは先ほどの4人パーティのみ。他の人たちは途中で引き返したのだろうか。序盤にすれ違った二人もその後に出会うことはなかった。

法力峠の手前で観音峯への稜線を拝む。登り返しは 150m 程度だが、ずいぶん大きく見える。

山上辻から1時間ほどで法力峠に着いて、少し上がったところでどら焼き休憩にした。そしてヤッケと耳当てを脱いで、オーバーミトンもはずした。

しばらく急登が続くのでアイゼンは履いたままにしていたが、雪もやわらかくてわずらわしくなってきたので脱いだ。

登りなので暑くなると思って少し軽装にしたが、風が吹くと結構寒い。結局また耳当てとオーバーミトンを身につけた。

午後3時52分、ようやく観音峯山まで戻ってきた。

展望台では天候が回復して、大峰の冬景色を眺めることができた。真ん中左の突起が大日山。その右に稲村ヶ岳。さらにずっと右へいくとバリゴヤの頭。

真ん中が弥山だと思う。右が八経ヶ岳かな。

時間が無いので岩屋には寄らずに、観音の水を二杯飲んで、午後5時7分、ようやく登山口に戻ってきた。残っていた車は私のものだけだった。

こんなに時間がかかるとは思っていなかったが、gps のログによると 20km ほど歩いていた。9時間半ほどの行動時間だったが、登山地図の無雪期の標準コースタイムがちょうどこれくらいなので、それほど遅かったわけではないと思う。

やはり大峰は楽しい。日帰りでこれだけの充実感が味わえる山域は京阪神エリアでは他には無いと思う。周回ルートがなかなか設定しにくいという難点はあるが、もっといろいろな場所に行ってみたいと思う。