ソチ・オリンピックも終盤になってきた。ウクライナの何人かの選手が、祖国でのデモ弾圧に対する抗議で棄権を表明しているが、懸念されたテロなどの事件は今のところ押さえ込まれているようだ。
オリンピックともなると政治と切り離して行うことなど現実的に不可能だが、何とか穏便に終わってほしいと思う。
それにしても耳にタコができそうなのが、多くの日本選手の発する『支えてくれた人たちへの感謝』という言葉。こうも何度も聞かされると感謝の大安売りのようで、『またか』という気持ちしか湧いてこない。
オリンピック選手ともなれば周囲のサポートも大変なものだろうし、選手個人に対して税金も投入されている。自分一人の成果のようには思ってほしくないが(思っていないとは思うが)、それにしてもこういうことをいちいち言葉に出す必要があるのだろうかと思ってしまう。
東北出身の選手からは『被災者を勇気づける』というような台詞も聞かれたが、こういうのもよくわからない。私自身、選手でもないし、被災者でもないので、理解できないと言うしかない。
オリンピックは、建前としては純粋な競技大会であって、興行ではない。興行であればお金を払って見に来てくれた人たちに感動を与えるようなプレーをすることは重要だし、プロとしてギャラをもらってプレーしている試合であれば、勝ちさえすれば良いというものでもない。
オリンピックで勝つということは、東北楽天イーグルスが日本一になって『被災者に勇気と感動を与えた』というのとは違うはずだ。
『自分で自分をほめたい』と言った有森裕子や、『チョー気持ちいい!!』と言った北島康介のように、本当に心に響く言葉を発してもらいたいと思う。