この終末は天候もそこそこで、絶好の遠出のチャンスだったのだけれど、残念ながら月曜日に講座があるのであまりムリはできない。
で、土曜日(10/5)に吉野へ行ってみることにした。
吉野はこれまでも何度も訪れているけれどいつも奥駆道ばかりで、横道はあまり歩いたことが無い。
前登志夫氏の「吉野紀行」によると、このあたりは周辺の集落などもいろいろと見所がありそうで(と言ってももう50年以上も前の書物なのだけれど・・・)、一度歩き回ってみたいと思っていた。
そこで、まずはこれまで何度も近くまで来ていながら訪れる機会が無かった桜木神社に立ち寄って、それから吉野の山へ上がって、西側に一度下りてからまた戻ってくるという周回ルートを設定した。
5時3分の始発に乗るべく5時前に家を出て、早朝のせいで天王寺からはずっと各停で、家から3時間かかってようやく吉野神宮駅に到着した。
8時5分に出発。しばらく吉野川の左岸を走る。この道は2年前にも走った。
40分少々で宮滝の手前へ。夢のわだ。
ここからは今日が初めての道。出発して1時間足らずで桜木神社に到着した。天武天皇が祀られている。
万葉集でも読まれている像(きさ)の小川。
このあと10分ほどで車道が終わって、ようやく近畿自然歩道の山道になった。
このあたり、そばが広い駐車スペースになっている。ちょうど左の斜面に上がる階段があって、そのままの道は駐車スペースに行く道なのかと思って、その階段を上がった。
なかなかの急な階段で、階段が終わってからの山道はさらに険しい急斜面だった。
本当にこれが近畿自然歩道なのだろうかと訝ったが、一応踏み跡はある。
次第に手を使わないと登れないほどの斜面になってきた。これは変と思って gps で確認したところ、本当は沢筋を行かなければならないのが尾根に入り込んでしまっているということがわかった。
下りも苦労するような斜面だったけれど、下るしかない。何とか元に戻って、本来の道を進んだ。20分少々のタイムロスだった。
学生の10人くらいのグループと3つほど出会った。何かの学校行事のようだ。それ以外にも何人かのハイカーと出会って、無事吉野の車道に出た。
ちょうど花矢倉の少し下のあたりで、普段は登山道を歩いて車道をショートカットしている場所なので、こういう道が合流してきているということは知らなかった。
今日は余裕があるので展望台へ寄っておく。正面に金剛山(左)と大和葛城山(右)。おそらく先ほどの学生グループの関係者だろう、おにぎりや軽食、飲み物などを並べて待っている人たちがいた。
しばらく慣れた道で、吉野水分(みくまり)神社。もう何度も入っているので中には入らず。
時間があるので高城山(たかぎやま)にも寄っておく。左の一番奥の霞んでいるのが二上山。その手前のなだらかな尾根が高取山で、その右が先週行った芋ヶ峠。
反対方向の南には大天井ヶ岳。
お次は金峯(きんぷ)神社。吉野山の総地主の神。世界遺産。
隠れ堂にも寄っておく。大峯修行堂の一つだが、義経がここに隠れたという謂われもある。
お次の目的地は西行庵だが、一旦上がって宝塔院跡から下ることにする。ここから先は初めての道。
そして西行庵。今の感覚ならよくこんな場所にと思うけれど、その当時は近くに寺院がたくさんあったはず。すぐそばには湧き水が流れていて、それは今も流れている。
鳳閣寺への道に戻ってしばらく快適な道を進むが、百貝岳(ひゃくかいだけ)へ向かうべく、不明瞭な尾根に入る。
ここが百貝岳かと思っていたら、鎌倉岳という表記。
百貝岳はまだ先でした。
12時13分、百貝岳(863m)に到着した。ここで今日初めて腰を下ろしておにぎり休憩。
道標に従って「石の廊塔・鳳閣寺」を目指すが、どんどん南の方に下って行く。鳳閣寺はもっと西のはずで、どんどん離れていく。石の廊塔というのは地図に載っていないのでどこにあるのかわからない。
しかし道はしっかりしているし、さほど古くない道標もあるので、そのまま下ることにする。もはや戻る気にはならない。
10分少々で石の廊塔に出た。理源大師聖宝の墓所と伝えられている。理源大師は醍醐寺の開祖。
この後、道はヘアピンカーブで北に向かった。10分足らずで無事、鳳閣寺に到着した。
車道を少し下ると鳥住春日神社。
この神社の前の細い道を下って、地蔵峠へは向かわずに県道を目指す。無事、県道に合流できた。
そして今日最大の不安要素はこのあと。県道をしばらく北上してから沢沿いに岩倉に向かう。分岐には真新しい車の轍があって一安心。このあたりは松茸山らしい。
しかし林道を進んで行くといつの間にやら変な方向に向かっていた。このまま東に向かいたいのに、南寄りの沢に入り込んでいる。
このまま進んで車道に出ればいいけれど、往々にしてこういう林道は突然終わってしまうことが多い。
県道まで戻ってさらに北へ行ってしっかりした車道で上に戻るしかないかと思って戻ったところ、ロープが張られた分岐に気がついた。実は来た時もこのロープには気がついていたけれど、その先がヤブだったので無視した。
思い切ってそこに入ってみたところ、かすかな踏み跡が残っていた。どうもこれが行きたい道のようだ。さらに進んだところ、またもや先週と同様に踏み跡は消えて、沢筋に入り込んでしまった。
ここまで来たらもう戻るわけにはいかない。「またかよ〜」とぼやきながら倒木を支えにして登ったら、民家の庭先に飛び出した。そしてほどなく車道に合流した。やれやれ。
下り基調の車道を走って、竹林院のそばに出た。何度も歩いている車道を少し行って、いつも上に上がる分岐を下に行って如意輪寺に向かう。
道標に導かれて午後2時47分に如意輪寺に到着。
そして後醍醐天皇陵へ。かつて後醍醐天皇足跡マラニックという大会に何度か参加したので、たったそれだけの理由で後醍醐天皇には近親感がある。
役行者の像もあります。
これで今日の目的地は予定通りすべて訪れることができた。少し戻って吉野駅に向かう。
吉野駅まではもうさほど時間はかからないと思うけれど、ここで一息入れたい気分になって、道ばたでどら焼き休憩にした。
スマホで電車の時間を確認したところ、次の電車まではあと30分。時間的には十分間に合うはずだけれど、乗る前にはやはり着替えたい。その時間を考えるとあまり余裕が無い。30分に1本なので何とか間に合わせたい。
ちょっと気合いを入れて走って、午後3時20分、次の電車まで17分を残して吉野駅にゴールした。
きれいな公衆トイレで着替えて、近くの売店で缶ビールを買って、電車に飛び乗った。
車道が多かったせいもあって、全行程約 31km でした。