夜の冷え込みはそれほどではなくて、持参した中綿ジャケットやダウンパンツは着用する必要は無かった。
朝は6時5分に出発した。まだしばらく車道で、空が開けているのでもうヘッドランプは不要。10分ほどでようやく古道になった。
この先、沢筋のスペースに二張りのテントがあった。
しばらく進んで車道に下りて、前回迂回路だった場所に出る。今回も迂回路にまわる。
この迂回路はしっかりした登りがしばらく続いて、結構しんどかったのを覚えている。特に前回はバスの時刻に追われていたのであせった。
峠を越えて下ると林道に出る。林道をしばらく進んで、蛇形地蔵に向かう道も迂回路を行くようになっている。このことは事前の情報で知っていた。前回は蛇形地蔵の前を通ったのだけれど、今夏の大雨でその先が崩れているらしい。蛇形地蔵は前回通っているのでいいだろう。
わずかな距離の所を北側に大きく迂回して、前回出てきた場所に合流した。
湯川王子の前で腰を下ろして休憩した。出発して2時間少々。すでに肩が痛い。
このあと20分ほどの登りで三越(みこし)峠に到着した。
しばらく下って、また林道に出る。そしてこの先がまた迂回路。単調な林道歩きは肩の痛みが一段とこたえる。
9時48分、ようやく発心門(ほっしんもん)王子に到着した。ここはすぐそばまでバスで来られるので、突然観光客だらけになった。
ボランティアのような案内人が何人かおられて、ガイド付きの団体ツアー客もいる。欧米系の外国人客が多い。
少し戻って物陰で荷物を下ろして休憩した。
ここまで来ると熊野本宮大社がかなり近づいてきた感じがする。前回はここでようやくバスの時刻に間に合いそうという安心感を得た。しかし今回は熊野本宮大社はゴールではなくて、実質的なスタート地点である。ここで安心するわけにはいかない。
ここからしばらくは舗装道路で、ハイカーと観光客が一気に増えた。
水呑王子で水を補給しようと思っていたが、観光客でごったがえしていたので諦めた。
このあとはトレイルになる。今回唯一見かけた花らしい花。このあたりから翌日にかけて随所で見かけたけれど、名前はわからず。← アサマリンドウ(11/8)
三軒茶屋跡にはまたもや団体客。ここに来るのは三回目だけれど、こんなに人がいるのは初めて。
11時45分、ようやく熊野本宮大社に到着した。せっかくなのでお詣りをしていこうと思ったが、いずれも参拝者の行列ができていたので諦めた。こんなことは初めてだ。
表参道の長い石段を下りて、街のコンビニでコーラと菓子パンを買った。本当はおにぎりか総菜パンが食べたかったのだけれどいずれも無かった。橋のたもとに下りて休憩した。
今回はここが本当のスタート地点。しばらくは請川に向けてチョーつまらない車道歩き。
熊野本宮大社からほぼ1時間かかって午後1時2分、ようやく小雲取越の登山口に到着した。
熊野古道によくあるパターンで、民家のそばの細い路地を抜けて山に入っていく。
山に入って最初の頃にこちらに下ってくる何人かの人に出会ったが、1時間も進むと人にはまったく出会わなくなった。
なだらかな歩きやすい道で、しかも静かで気分がいい。
小雲取越に入って1時間40分くらいで小雲取越最高地点(おそらく。標高450mくらい)の百間ぐらに到着した。
中辺路では随一の絶景ポイントで、北西には果無山脈が見える。写真では霞んでいるけれど。
午後4時37分、ようやく小雲取越を越えて小口の赤木川にたどり着いた。
小口の集落の中の道は非常にわかりにくかった。ここも民家の軒下のような所をくねくねと通り抜ける。実は車道をそのまま行っても良かったようだが、案内に従って横道に入ったらよくわからなくなった。
大雲取越の登山口まで何だかんだで30分くらいかかった。
本当は大雲取越に入って最初の休憩所くらいまで行きたかったのだけれど、時間的にもうタイムリミット。このあたりでテントを張るしかないけれど、水が無い。
案内には大雲取越の登山口のそばで水が得られると書いてあったけれど、そんなものは見あたらない(後から考えたらあそこだったのかもというのはあった)。
ここから数分程度の所に「小口自然の家」という施設があって、そこなら水が得られるということだったのでそちらの方に向かったところ、民家の前におそらく湧き水であろう水が流れているのを見つけた。飲んで大丈夫かどうかはわからないけれど、おおむね湧かして利用するので、それを拝借することにした。
そしてそばに流れている川の河川敷に下りて、そこの河原で砂地の所にテントを張った。
昨日と同じく、真っ暗になる直前だった。時刻は午後5時半くらい。
約11時間半、37kmほど歩いた。疲れました。
残りの距離と帰りの電車の時間を考えると、明日はもっと早く出発しなければならないだろう。熊野古道をヘッドランプで歩くというのは避けたかったけれど、そうも言っていられない。明日は今日より1時間早く、5時には出発するようにしようと思う。