大日ヶ岳

今月は駅伝や随行が続いて、個人山行は1日の鈴鹿以来の3週間ぶり。

ようやく雪の季節がやってきた。やはり雪をまとった山は美しい。花を愛でるようなタイプではないので、山が一番魅力的なのは冬だと思っている。

一昔前は山スキーにいそしんだものの、末端冷え症がひどい体質で、手の指先は何度か軽い凍傷にやられた。今も多少は後遺症が残っていて、指先の感覚にちょっと違和感がある。

それが原因でしばらく山スキーからは離れていたが、やはり雪山への思いは捨てがたく、今年の冬には何度かゲレンデスキーへ行って、ゴールデンウィークには白馬乗鞍岳へ行ってはみたものの、あまりの無残な結果にひどく落胆して、もう山スキーはムリと断念した。

そうは言っても雪山を完全に諦めるわけにはいかない。諦められるはずもない。

しかしスノーシューはどうしても手を出す気になれず、さりとて今さらワカンというのも芸が無い。

実はここ2〜3年前から気になっていたのがこれ。

Altai skis The Hok。スノーシューと山スキーの中間のようなもので、スキーシューとも称されている。

ただ、利用者の評判を見ると滑りは非常に難しいという感想ばかりで、それでこれまで購入に思い切ることができなかった。しかし山スキー復活を断念した今となってはもはや他に選択肢が見あたらなかった。

ほしいモデルが国内で入手できる業者が見つからなかったが、アメリカの amazon からなら直輸入できて、しかも配送料と関税を含めても国内の業者で買うよりも少し安いくらいだったので、勢いで注文してしまった。

今月初めに到着したので、先の週末にはデビュー戦に出かけようと月初めから考えていた。

この冬はもとより暖冬予想だったが予想以上の雪不足で、当初予定していた取立山は断念して、岐阜の大日ヶ岳に向かうことにした。

片道3時間少々なので早朝発で何とか日帰りできる距離ではあるけれど、久しぶりに車中泊を楽しんでみたいという気持ちもあったので、土曜日の午後から出かけた。

登山口の駐車場に到着した時はすでに真っ暗で、ナビがなければとてもたどり着けないような道だった。他には誰もいなかった。

明るくなってから出発するつもりだったので朝は6時に起きた。カップ麺とおにぎり、コーヒーで朝食をとっているうちに後続車がやってきたようで、二人パーティが出発して行った。

準備を整えて7時15分に出発した。汗をかきそうなのでジャケットとオーバーパンツはザックにくくりつけておいた。もちろんスキーも。

高島トレイルなみの気持ちのいいブナ林だが、ちょくちょく急登が出てくる。

高鷲スノーパークがそばにあるせいで、スキー場からの騒音が耳障り。これさえなければ本当に快適なのだけれど・・・。

木々の間から大日ヶ岳が望める。今日は登山靴で来ているので、以外と遠く感じる。

標高1300mあたりから雪が出てきて、出発して1時間15分ほどで一ぷく平。

そろそろスキーを履きたいところだけれど、ちょくちょく倒木や段差が出てくる。

もう少し進んだ所でスキーを履いた。

しばらく山スキー気分で頑張ってみたけれど、やはりと言うか、ほんのちょっとした下りでもまったく制動できずに転倒しまくり。何度かスキーを履いたり担いだりを繰り返しているうちにちょっと先に溝のような登りが見えたので、もう断念してスキーは担ぐことにした。

山頂が見えてきた。左が山頂かと思っていたが、実は真ん中の方でした。

上の写真で見える溝のような道を直登して、10時8分、大日ヶ岳の山頂(1709m)に飛び出した。途中で先行していた二人を追い抜いたので、おそらく今日の一番乗り。

今日はあまり天気が良くない予報だったけれど、展望は素晴らしかった。

御嶽山。

槍穂高連峰。

左端はたぶん剣岳。真ん中は黒部五郎かな?

反対側に目をやると真ん中に白山御前峰。右端が大汝峰で、左端は別山。

そうこうしているうちに後続の登山者がぞろぞろとやってきた。

今日はショートコースなので、北西にある天狗山まで足を延ばしてみようかという考えもちょっとあったのだけれど、わざわざここよりも低いマイナーピークに向かうのも面倒くさいという気分になって、おにぎりを食べて早々に引き返すことにした。

時間があるので高鷲スノーパークへ行って、ゲレンデの下の方で練習してみようかと思ったけれど、スキー場へ行くと駐車料金を取られそうなので、一ぷく平でしばらく練習することにした。

登りは深雪斜面で傾斜がそれほど急でなければ気持ち良さそうだけれど、下りは使える場所がかなり限られそう。最初からシールが貼り付けられているのでテールをスムーズにずらすことができず、エッジもあまりうまく使えない。

緩い下りならテレマーク姿勢の方が良さそう。YouTube の映像を見ると、物干し竿のような長い棒(Tiakというらしい)を使って体重を後ろにかけて滑っているシーンがたくさんあった。

メーカー名の Altai というのは中国内陸部のアルタイ地方のことで、このあたりでは冬場の狩猟のためにこういうスキーが昔から使われていたらしい。広大な草原のような地形なので、日本の山のようなボコボコの地形とはまったく自然が異なる。

美ヶ原のような雪原歩きなら楽しそうだけれど、汎用性から言えばスノーシューかワカンの方が良かったかなというのが正直なところです。

これでの滑りを練習するくらいなら山スキーの復活を目指した方がまだマシではないかという感じ。

とは言っても、せっかく買ったのでこれからも使ってみるつもり。軽いワカンを買って両方持っていけば、深雪の登りはスキー、急登や下りはワカンという使い分けもできそうだ。

一ぷく平で 30 分ほど練習して、12時40分に駐車場に戻ってきた。駐車場には10台近く停まっていた。

そして湯の平温泉へ。ここは初めて。露天風呂もそこそこの大きさで気持ち良かったけれど、水風呂が無かったのが残念。

めずらしく高速の渋滞もまったく無く、6時前には家に帰り着くことができた。