伯母ヶ峯、日本岳

台高山脈と大峰山脈は伯母峰峠でつながっている。大峰側の稜線には七窪尾根、笙ノ窟尾根という名前がつけられているが、どこで区切られているのかよくわからない。この稜線は吉野川と北山川の分水嶺になっている。

台高側には伯母ヶ峯というマイナーピークがあって、かねてより一度行ってみたいと思っていた。

調べてみると大台ヶ原ドライブウェイの駐車スペースがちょうど具合のいい場所にあるので、ここを基点にして伯母峰峠から伯母ヶ峯、そして尾根筋を通って大普賢岳まで往復してみようと思った。

6/7 の日曜日は快晴の予報だった。朝5時過ぎに家を出て、2時間少々で予定の駐車スペースに到着した。

7時35分に出発して、旧道に入って少し行った所に長い階段が設置されていて、これを上がる。

階段を上がってからしばらくジグザグに登るのだけれど、結構な急斜面で、足を滑らせたら間違いなく下の車道まで落ちる。帰りが心配。

ほどなく稜線に出た。しかし展望は無し。

まずは東の伯母ヶ峯に向かう。階段を下って伯母峰峠。

昔の人はここを南北に歩いて越えたのだろう。

道というほどはっきりした道ではないけれど踏み跡は明瞭。所々に古いテープがあるだけで、道標は皆無。

8時14分、出発して 40 分ほどで伯母ヶ峯(1262m)に到着したが、山名のプレートのようなものは何も見当たらなかった。三角点も無し。

木々の間からの台高山脈。

写真を撮ったら早々に引き返す。

伯母峰峠を越えて大峰へ。しばらくはアップダウンの少ない穏やかな尾根道が続く。誰にも逢わずに静かで快適。

ちょうど新伯母峯トンネルの上あたりのコルで今日初めての道標に出会った。

古いテープに導かれて進んでいると次第に傾斜が急になって、大峰らしい山容になってきた。

テープも見なくなり、もはや踏み跡とは思えない厳しい斜面を木の枝を支えに進む。

岩の突起を回り込んだら目の前が崖斜面になった。

崖の下までは 3〜4m くらい。頼りなげな古い細いロープが垂れている。その前のピークもかなり厳しそう。

ここから先に進むとまたここに戻ってこなければならない。ロープはところどころほころびていて、とてもこのロープに体重をかける気にはなれないが、ほぼ垂壁なのでロープ無しではとても下れない。

おそらくほとんど人の通らないルートだと思うので、ここで倒れたりしたら当分誰にも見つけてもらえないだろう。ココヘリ(ヘリ捜索用の電波発信器)は持っているけれど、家人が捜索依頼するとしたらおそらく夜になってから。

今日の主目的だった伯母ヶ峯とこの稜線はほぼトレースしているので、ここで引き返すことにした。10時17分。

今日、数少ない展望で、おそらく弥山、八経ヶ岳。

帰ってから gps のトレースを見てみたら、笙の窟(しょうのいわや)へは少し手前で斜面の南側へ下りなければならなかったのが、そのまま稜線伝いに来てしまっていた。結果的にはこの引き返した場所が日本岳(1505m)だったようだ。

やはり大峰は修験道の山だけあって厳しい。奥駆道はそれなりの登山者もあるのでわりと整備されているけれど、横道にそれるとこういう場所が随所に出てくる。京都の山を歩くような気分で適当に進むととんでもないことになる。

苦労して登った急斜面を慎重に下って、なだらかになってしばらくしたら行きには木の影で見えなかった和佐又山ヒュッテへの道標があった。ただしこの道はヒュッテまで下ってしまうので、当初の予定のルートではない。

もう少し進んだ所で今日初めて腰をおろしておにぎり休憩にした。

車道への階段の上の斜面を慎重に下って、11時52分、無事車道に降り立った。

ドライブウェイから大台ヶ原の山が望めたけれど、山名はわからず。

11時58分、駐車場に戻ってきた。

久しぶりに静かな山歩きが味わえて気持ち良かった。大普賢岳には行けなかったけれど、もともと今日のコースではおまけの位置付けだったので、それほどの残念感は無い。

それよりも、引き返した場所が実は日本岳だったというのがうれしかった。もし予定通りのルートを歩いていたら日本岳には寄れなかったので、すでに登ったことのある大普賢岳よりもこちらの方が値打ちがあった。

結果的には納得できる一日でした。