以前から気になっていた吉野の高原から四寸岩山(しすんいわやま)への道。高原の福源寺から稜線を辿って四寸岩山に出る。地形図には道は表記されていないが、登山地図には波線で記載されている。
記録を探るとわずかながら歩いている人もいる模様。しかしそれほどはっきりした道があるわけではなさそう。
先日の蝶・常念は登山者のマナーは予想以上に良くて、思ったよりは気持ちよく歩けたが、やはり人の多い場所は好みではない。
四寸岩山からは南へ行って林道を経由すると、周回して高原に戻ってこられる。しかしこれではちょっと物たらない感じがするので、大天井ヶ岳まで足を伸ばすことにした。ここなら人と出会うことは少ないだろう。
家からほぼ2時間で高原の福源寺に到着した。途中で一時小雨が降ったが、天気は良くなるはず。福源寺のすぐそばにちょっとしたスペースがあったが、ここにずっと停めておくのはまずそうな感じがしたので、少し戻った広場に車を停めた。
7時半に駐車場所を出発した。まずは福源寺へ。ここは役行者の開基で、聖宝理源大師の中興とあり、南朝皇胤の二宮忠義王(河野宮)の位牌があるらしい。惟喬親王の御所だったという伝承もある。
登山口はよくわからない。とりあえず本堂の裏に上がってみたら供養塔が立っていて、その後ろの斜面にかすかな踏み跡と古いテープがあった。
倒木や枯れ枝などで道は無いに等しいが、テープマークは次が見える距離で続いている。
取り付き直後は荒れていて歩きにくかったが、主稜線に上がるとすっきりして歩きやすくなった。と言ってもそれほどはっきりした道があるわけではないのだが。
足下にはヒカゲノカズラ。
8時38分、高原山(1087.5m)に到着した。
このあとしばらく歩きやすいなだらかな道(?)が続いていたが、尾根がカーブする所が一部急な下り斜面で方向がよくわからず、gps のおかげで正しいルートに進むことができた。が、岩がごろごろしていて歩きにくい。
正面の上に空がうかがえて、あと少し。
9時41分、四寸岩山(1235.9m)に到着した。
展望はまったく無し。
ここから先は奥駆道で何度も歩いた道。しかし昨今の豪雨のせいか、道に大量の水が流れたような痕跡が何箇所かあって、滑りやすくなったり、溝の横に踏み跡が付いたりしている。
足摺宿。きれいに整備されている。
走れそうなところは走る。久しぶりのトレランモード。
下山する予定の車道は一旦見送って、二蔵宿。ここの横のベンチでおにぎり休憩にした。
さて、最後の標高差 350m の登り。ここは急登が何箇所かあるが、高度が稼げるので都合がいい。
山頂の少し下にある祠。大天井茶屋の跡?
この先は古いロープのある崖斜面が何箇所かある。
11時26分、大天井ヶ岳(1439m)に到着した。
ここでも展望は無し。
早々に引き返す。すごい色のキノコ。
二蔵宿から下の緩い下りは軽く走って車道に出た。
ちょうど車道の横に山仕事であろうご夫婦の車が停まっていた。私が高原へ下りる方向に向かったところ、「どこへ行く?」との声。
吉野駅とは反対方向なので、間違っていると思われたのではないだろうか。
「高原へ下ります」と答えて、緩い下りの車道を走った。
少し下った所で「杉の湯」という標識が未舗装の荒れた林道に立っていた。「杉の湯」は高原の国道そばにあるホテルのこと。こちらに入る。
もはや車は走れない荒れた林道を下る。地形図では林道をショートカットする道が記載されているが、気がつかずに通り過ぎてしまった。一瞬、引き返して確認しようかと思ったが、あったとしてもおそらく荒れていると思われるので、遠回りと言ってもそれほど大した距離ではないので、このまま林道を下ることにした。その後、倒木に腰掛けて野菜バーを補給した。
分岐から30分ほど下って、高原洞川林道の舗装路に合流した。
この頃から小雨がパラついてきた。天気は良くなると期待していたが、逆に悪くなってきている。
次第に雨が強くなってきて、諦めてライトジャケットとザックカバーを着けたところ、案の定すぐに雨は止んでしまった。
車道を 35 分ほどで高原の集落に戻ってきた。
今回はもう一つ大きな目的がある。そこに向かって地図を手に方向を見定めながら進む。
ありました。「南帝王の森」。
「南帝王」というのは特定の個人ではなく、後南朝皇胤全体を称しているようで、宮内庁の陵墓参考地に指定されているが個人名は表記されていない。
すぐ隣には自天親王神社。自天親王神社は近くの金剛寺にもあるのだが・・・。
福源寺までの道があるのかどうかわからなかったが、お寺の方向に向かって歩いて行ったら、参道と思われる苔むした石段が出てきた。
そのまま上がると期待通り、福源寺に戻ることができた。
午後1時43分、無事戻ってくることができた。
さて今日は、これまで何度もすぐ近くを通りながら、ほんの少し横道に入るのが面倒で訪れたことの無かった丹生川上神社上社に寄っていく。帰り道の途中にある。
天武天皇時代(675年)の建立で、御祭神は高龗大神(たかおかみのおおかみ)。龍神にて水、雨を掌られる大神様だそうです。
ただし元々は吉野川畔にあったが、大滝ダムの開発のためにダム湖に沈んでしまって、現在の建物は平成 12 年に造営されたもの。
温泉は今月、大台ヶ原へ行った時に立ち寄った「あすかの湯」に行った。
今回は期待以上に満足感が大きかった。山歩きだけではなく、かねてから訪れてみたいと思っていた高原の歴史史跡を訪ねることができたのが良かった。
それと、久しぶりに山道を走った。もちろん登りは走っていないけれど、あの快感をまた感じることができて、とても楽しかった。
やっぱり私にはこういうスタイルが一番合っているのかなと思い直した一日だった。