御坂峠、天上山、甲府

6/23(金)はいよいよ太宰治ゆかりの地探訪の実質最終日。

まずはレンタカーで御坂峠に向かう。

できれば公共交通機関を利用したかったのだが、御坂峠へのバスは河口湖から1日1便のみ。しかもその運行時刻は信じられないもので、午前中に河口湖を出て御坂峠の天下茶屋まで行って、即刻折り返すというもの。つまりバスで来たら御坂峠で時間を使うことができないし、滞在したらその日には帰ることができない。しかも天下茶屋は宿泊はできない。富士急はいったいどう考えているのだろうか。

河口湖へ向かう R137 の途中から旧道に入る。この道は太宰が天下茶屋に滞在した頃には甲府からバスが走っていて、老婆と乗り合わせた時のことが「富嶽百景」で述べられている。

甲府から1時間ほどで御坂峠へ着いた。

10時前で、まだ天下茶屋は開いていなかった。

本当の御坂峠へ向かう山道を少し登ると太宰の碑が見つかった。

「富士には

月見草が

よく似合ふ」

残念ながら富士山はまったく見えず。

お次は 30 分足らずで河口湖へ。河口湖は 2016 年の UTMF 以来。ただしその時、滞在した場所からは少し離れているけれど。

天上山にある太宰の碑を見ることが目的で、時間によってはロープウェイで上がってもいいと思っていたのだが、とんでもない混雑ぶり。

大半が中国人の観光客の模様。レンタカーが最短でも6時間だったので時間があるので歩いて登ることにする。

細い登り坂があったのでチラッと見てみたらハイキングコースの案内板があった。

少し登ると眼下に河口湖。あの橋は 35 年くらい前に河口湖のマラソン大会で走って渡ったことを覚えている。

道はしっかり整備されている。

麓から 20 分くらい登ったところで前方に何やら気になるものが目に入って、まさかと思ったら目的の太宰の碑だった。

「惚れたが

  悪いか」

太宰の作品の中で私がもっとも好きなのは「お伽草子」で、中でも「カチカチ山」がお気に入りだ。その最後の方の出てくる有名なセリフ。人気のある「人間失格」や「斜陽」、「走れメロス」などはあまり好きではない。

それにしてもこの碑は天上山の公園にあるものとばかり思っていたのだが、もし歩いて登らなかったら出会うことができなかったし、麓とロープウェイの山上駅の中間くらいの場所にあるので上から下るにしてもそこそこ歩かなければならない。おまけに案内板のようなものはまったく見かけなかった。

今回の旅の目的で大きなものの二つだった御坂峠の碑と天上山の碑が見られて、安堵感と満足感にひたりながら登り続けた。

20分足らずでロープウェイの山上駅が見えた。

公園にはこんな看板が。

このあたりは大変な混雑で、観光客のほとんどは中国人のよう。

やぐらは閉鎖されていた。

公園から数分で天上山の山頂(1139.9m)に着いた。標高 1000m を超える山だが登山口が 800m くらいはあるので登りは大したことはない。

展望は無いので早々に下山する。

レンタカーの利用時間を1時間以上残して、午後1時半頃に甲府に戻ってきた。途中で「天下茶屋営業中」という看板が目に入った。

駅のそばのモスバーガーでハンバーガーを食べて、甲府市内を巡る後半戦へ。

まずは太宰治僑居(きょうきょ)跡へ。

字の読み方がわからなくてあとからスマホで調べた。

ここで過ごしたのは8ヶ月間くらいとのこと。

結婚するまでのあいだ下宿していた寿館という家のそばにある清運寺。

太宰のパネルが置かれていた。ちょっと不気味。

なぜか加藤清正を祀った清正公堂がある。

寿館はこのあたりと思われるが、昔の建物は戦災で焼けてしまっている。

よく通ったという銭湯の喜久之湯。

このあたりをよく散歩したという御崎神社。

どう見てもお寺にしか見えないのだがやっぱり神社なのです。

最後に湯村温泉へ。

20分くらい歩いてようやく湯村温泉へ。兵庫県の湯村温泉とは関係ありません。

そして太宰がよく行った「明治」に到着。

少し戻ったところにある資料室は閉まっていた。

駅まで帰るのに 30 分くらいかかった。

これで今回の旅は完了した。明日は帰るのみである。