頭突き、肘撃ち

私はかつて格闘技の大ファンだった。特に好きだったのは総合格闘技で、PRIDE が流行っていた頃はさいたまスーパーアリーナなどへ 10 回以上観戦に出かけた。
総合格闘技というのは主催者によってルールが様々で、公式の統一ルールというものは存在しない。できるだけ制限を少なくした方がおもしろくなる可能性が高いが、行き過ぎるとただのケンカの凄惨な試合になってしまうので、そのあたりのさじ加減が難しい。
立ち技の場合、タイ式キックボクシングでは肘撃ちがあるが、K-1 では禁止されていた。肘撃ちは出血を伴うケガにつながりやすいので、テレビ中継を想定していた K-1 ではそういうシーンを少なくするためのルール設定だった。
総合格闘技の本家本元の UFC(Ultimate Fighting Championship)は発足当初はほとんど何でもアリで、素手で殴り合う激しいルールだったが、次第に制限が増えてきて、現在では肘撃ちは許されているが、頭突きは禁止になっている。
PRIDE では肘撃ちも頭突きも禁止だったが、グラウンドポジションでの頭部への膝蹴りは許されていた。これは当初は禁止されていたが、途中から解禁されるようになって、その頃から当時スーパースターだった桜庭和志が勝てなくなってきた。
何でこんな話題になるかと言うと、このところテレビのニュースで頭突きや肘撃ちのシーンをしばしば見かけるからである。
それはサッカーのワールドカップ。
私はサッカーには興味は無いので試合を見ることは無いし、日本代表の結果にも感心は無いのだが、テレビのニュースではワールドカップのニュースが頻繁に出てくる。
それにしてもこれほど頻繁に反則が当たり前のように繰り返されるスポーツというのは他では見たことが無い。ほとんどのスポーツでは反則を犯すと明らかなデメリットが発生するのだが、何故かサッカーでは単にその場のボールの所有権が得られるだけで、犯した選手も平然とプレーを続けている。
もちろんひどいと退場になったりするのだが、ひどくなければ何度やっても構わないらしい。
こういう点に関して言えば、日本選手はクリーンに戦っているのではないかと感じる。
随分以前に、日本代表だった選手が引退後、新聞のコラムで『ファールが必要な場合もある』というようなことを発言して物議をかもしたことがあったように思うが、それがサッカーというスポーツの本質なのだろう。
もちろんどんなスポーツでも大金のからむトップクラスになれば見えにくい不正はいろいろと行われているとは思うが、サッカーはそれが特にひどいように感じる。
正々堂々と戦った結果が負けたということであったとしても、相手のユニフォームをつかんで倒して勝つよりもよほど値打ちがあると思う。
選手は最後まで精一杯のプレーをやってほしいと思う。