23日から26日まで随行で穂高周回の予定だったのだけれど、台風直撃で中止となってしまった。しかし台風は24日に通過したので土日の週末は大丈夫のはず。
天気予報では台風が過ぎても台風一過の快晴とはならないとのことだったので遠出は避けて、さりとて近場の 1000m 程度の山ではおそらく暑さが厳しいので、近すぎず遠すぎずの適当な場所ということで大峰を選択した。
吉野から高野山へ至る「弘法大師の道」というのが以前から気になっていて、そのコースで「Kobo Trail」というトレランレースがここ何年か5月に開催されている。このコースはその大半が登山地図には記載されていない不明瞭な道で、しかもずっと稜線を辿るので水場がまったく無い。
弘法大師が高野山を開く時、吉野から辿ったルートがこれではないかと推測されているのだけれど、正確な記録はまったく残っていない。
約 55km のコースで、もはやレースに参加しようという気にはならないけれど、今の自分では一気に駆け抜けるのはまずムリ。テントを担いで1泊2日なら何とか行けるかもと思うけれど、水場のことを考えるとなかなか思い切ることができない。
とは言っても少しくらいはどんなコースなのか味わってみたいという気持ちはあって、序盤にこのコースの一部を辿るルート設定にした。
朝5時前に家を出て、ノンストップ約2時間で洞川の母公堂(ははこどう)前の駐車場に到着した。ここは昨年3月に山上ヶ岳へ行った時に利用した所。
母公堂は役行者が、大峰で修行している自分を心配して追いかけてくる母親のために建てたと言われているもので、母親がこれ以上、山に近づくと危険なので結界門を設置して、それから大峰の女人禁制が始まったとか。
7時5分に駐車場を出発して、車道を一旦温泉街に戻って、スロージョグで小南峠(こみなみとうげ)へ向かう。
今回のルートで唯一不安なのが、小南トンネル脇から稜線へ乗り上げる所。地図には道は無く、はっきりした情報も得られなかった。しかし Kobo Trail では洞川温泉を出発して小南峠で稜線に合流するコースもあるので、何らかの標識が残っているのではないかと期待していた。
と思っていたところ、さっそく道ばたに残骸が出てきた。
そしてトンネル手前には期待通りの標識が。
おそらく Kobo Trail のために造られた道で、それ以外の時はほとんど誰も通っていないだろう。踏み跡も不明瞭で、所々に残るテープマークが唯一の目印。
わずか3分ほどで小南峠に出た。ちょうど8時。
道は不明瞭で、杉の枯れ枝がたくさん落ちていて、傾斜は緩いけれど足元が悪くて走れない。ただし稜線を辿るので大きくロストする心配は無さそう。
最初のピークの高山(1169.6m)。展望はまったく無し。「弘法大師の道」という標識が随所に設置されている。
小天井ヶ岳(1170m)には9時4分、出発してほぼ2時間で到着した。このあたりまで来ると足元の杉の枯れ枝はほとんど無くなっていた。
大天井ヶ岳が近づいてきて、ようやく奥駆道の稜線が眺められるようになってきた。
山頂直下でも木材搬出のためのレールが設置されている。
大天井ヶ岳(おおてんじょうがだけ、1439m)には9時43分に到着した。ここも展望は無し。
少し下って奥駆道に合流した。ここまでが Kobo Trail のコースの逆走。よくこんな道でレースをやるなぁという感じ。おそらくレースの時以外は歩く人は非常にまれだろうと思う。行くならレースが開催されている今のうちだ。今ならコースマークが随所に残っているけれど、これが無くなったら一段と道が荒れて、相当困難になるだろう。
ここからはガンガン下る。ここで今日初めて登ってくる二人パーティに出会った。
女人結界門の五番関に到着。ここで今日初めて腰を下ろしておにぎり休憩にした。
ここからの道は所々鎖場などがあるけれど、なかなか気持ち良くて楽しい道だった。
たまには南の方の展望も。
もちろんこんな箇所も。
法螺貝の音が聞こえてきて、11時22分に洞辻茶屋に到着した。
修行の集団がたくさんいて、運悪く数人グループの後になってしまったが、次の休憩所で止まってくれたので先に出ることができた。
前回来たのは積雪期だったので修行者には逢わなかったので知らなかったのだけれど、このあたりでは山中で人に出会うと「おまいり〜」と挨拶するようだ。
朝からずっとほとんど人に会わずに歩いてきたので、突然別世界に入り込んだ気分。
有名な「西の覗」にも寄っておく。
ここから身を乗り出します。体験料 500 円なり。
こんなロープで大丈夫なのか?
ようやく山門へ。
あとちょっと思ったらとんでもない障害物。前日の台風のせい?
本堂の広場に到着。
お花畑には花は無し。
最高点の湧出岩(ゆうしゅついわ、1719.4m)。12時5分。出発してちょうど5時間だった。
目の前に稲村ヶ岳。後ろは弥山や八経ヶ岳あたり。
レンゲ辻方面への道がよくわからなくて少しウロウロしたけれど、ようやく分岐を発見。
ここからの下りはなかなかの道で、岩場や階段などがたくさん出てきた。昨年の正月に来た時にはレンゲ辻の手前で敗退したけれど、あそこで戻って正解だったと思った。積雪期にトレランシューズ、スパイク、ポールで歩けるような道ではない。
一気に下ってレンゲ辻へ。ここも女人結界門。ここで腰を下ろしてどら焼き休憩にした。
これで今回興味のあったコースはほぼ終了。あとは消化試合という感じ。で、これまでに歩いたことのある稲村小屋経由で母公堂に下りようと思っていたのだけれど、いざ歩き出すとなかなかの登りで、どうも気持ちが切れてしまった感じ。レンゲ辻から直接下る道もあるので、そちらに気持ちが揺らいだ。
実は今回、やりたかったことがもう一つある。それは、洞川温泉にはもう何度も来ているのだけれど、温泉にはまだ一度も入っていない。今回はぜひ温泉に入って帰りたいと思っていた。
レンゲ辻から沢筋を下ると終盤がずっと車道になるので、ずっと山道の稲村小屋コースを考えていたのだけれど、早く下って早く温泉に行きたいという気持ちが大きくなって、踵を返して沢筋を下ることにした。
しかしこの道もなかなかの難路だった。鎖場が随所にあって、しかも前日の台風のことを途中で思い出して、もしどこかが崩れていて下れなくなったらどうしようという不安の念が頭に広がってきた。
流れを何度も渡りながら下っていくのだけれど、下れば下るほど水量が多くなって、ルート取りを間違うと困ったことになる。テープマークが所々にあるけれど、元々そこにあったのか、流されてそこに来てしまっているのかわからない。
最後の方ではムリに石を飛んで転倒するよりも足が濡れるくらいの方がマシと思ってジャブジャブと渡った。こういう時はトレランシューズはいい。登山靴やトレッキングシューズではなかなかここまでは思い切れない。
レンゲ辻から約50分、ようやく車道まで下りてくることができた。
車道は当然走る。数分で清浄大橋に来て、ここの女人結界門にちょっと寄り道。
母公堂には午後2時ちょっと前に戻ってきた。これなら温泉でゆっくりできる。
これまで来た時はすべて冬だったので、休日でも温泉街は閑散としていて、これで営業が成り立っているんだろうかと心配になるくらいだったけれど、今日は結構な数の観光客で賑わっていた。何となく温泉は冬場の方が気持ちいいんじゃないかと思っているのだけれど、どうも世間ではそういうわけでも無さそうだ。
温泉そのものは可も無く不可も無くという感じで600円は妥当なところ。洞川は大峰講の宿場としての歴史は古いけれど、温泉が掘られたのはまだ30数年前くらいのことらしい。昔から温泉が湧いていたというのではなくて、観光資源として掘削して温泉を掘り当てたというのが実情のようだ。
帰りの道もスムーズで、6時前には家に帰り着くことができた。昔は大峰は交通の便が悪くて、大峰へ行くくらいなら白山にでも行った方がコストパフォーマンスがいいという感じだったけれど、高速道路のおかげで随分便利になった。
月: 2018年8月
夜叉ヶ丸
先の日曜日(8/19)は講座で福井岐阜県境の夜叉ヶ丸へ行ってきた。
夜叉ヶ池は龍神伝説で有名だけれど、夜叉ヶ丸はそのすぐ南にあるピーク。昨今は「夜叉ヶ池山」と呼ばれることもあるよう。
貸し切りのマイクロバスで3時間少々かかって登山口の夜叉龍神社へ到着。
鳥居をくぐって登山道に入る。
いきなり急登が始まる。
滝壺の大きな滝。
2回ほど沢を渡る。
なかなかの登りが続いて、池まであと 500m。
午後1時ころ、ようやく夜叉ヶ池に到着して昼食にした。
稜線間近にこんな大きな池があるのは不思議な感じ。ここには「ヤシャゲンゴロウ」という固有種が生息しているらしい。絶滅危惧I類。
昼食後は夜叉ヶ丸を目指す。左側が崩れたなかなかの難路。
ここを抜けると上部は深い笹藪で、山頂(1206m)はたぶんこのあたり。
中央奥に能郷白山。左端は三周ヶ岳。
いやらしい道を戻る。
目の前に夜叉壁。
午後4時過ぎ、無事登山口に戻ってきた。
夜叉ヶ池は昔から知ってはいたけれど、訪れるのは初めてだった。奥美濃の山は整備された登山道のある山が少なくて、どちらかと言うと山スキーのエリアという感じ。少し南にある土蔵岳は10年以上前に山スキーで行った。
一時の猛暑もようやく峠を越えた感じで、それほど汗まみれになることなく歩けた。
江文峠、薬王坂から鞍馬へ
水曜日(8/8)は京都一周トレイルの講座で前回解散した戸寺から江文峠、静原、薬王坂を越えて鞍馬まで歩いてきた。
戸寺のバス停から江文神社に向かう。
左の山は翠黛山(すいたいさん)。真ん中奥は焼杉山(やけすぎやま)。
江文神社に寄って行くのだけれど、手前の分岐にトレイルルートの「迂回路」の標識が。
まずは江文神社へ。
拝殿は入れなくなっていた。
偵察したところ迂回路に回らなくても行けそうだったので、正規ルートを行くことにした。どうも沢を渡る所が一時崩れていたようだ。
車道に出て江文峠に到着。
荒れた土道と車道を通って静原へ。
静原神社のそばの公園で昼食にした。今日も昼はいなりとぶっかけそば、そしてアイスコーヒー。
薬王坂への急な舗装路を上がって山道へ入る。
薬王坂弥陀二尊板碑。説明板には南北朝時代後期と書かれているけれど、真偽のほどは不明。
薬王坂に到着。
時間があるので希望者のみで竜王岳へ寄り道する。
二日前に鞍馬寺から竜王岳を眺めたのだけれど、今日は反対に鞍馬寺を眺める。前回来たときに比べると木が茂って見えにくくなっていた。
そして鞍馬寺へ。
陽が陰っている時間帯が長くて、思ったよりも過ごしやすい一日だった。
鞍馬山
月曜日(8/6)は講座で鞍馬山へ行った。週末の立山からの連チャンだけれど、受講生でも連チャンの方が一人おられた。
叡電の鞍馬駅に集合して、鞍馬寺に入る。愛山費 300 円なり。
今日は時間的に余裕があるので、見所をゆっくりと味わいながら行く。
火祭りで有名な由岐神社。
立派な杉。
義経公の供養塔。
坂道をジグザグに上がって、本殿金堂。パワースポットとして人気があるらしい。
ここから東南方向の眺め。手前は竜王山で奥は比叡山。
こんなところに何故かオクラの花が。
そして奥の院に向かう。
峠に着いて、義経公背比べ石。
本当の鞍馬山はここから尾根を北の方に行くのだけれど、立ち入り禁止になっている。道は荒れている感じ。実は3年前の冬に歩いたことがある。
少し横にそれて大杉権現社へ。
ここのそばでちょっと早めの昼食にした。爽やかな風が通って結構快適だった。さすがに今日はカップラーメンはやめて出来合いのそうめんにした。コーヒーもアイス。
昼食後、まずは義経堂。
そしてようやく奥の院魔王殿。
少し下るとほどなく貴船に出た。
月曜日だというのに観光客でごったがえしている。貴船神社の本殿は参拝客でいっぱい。
さて、最後は車道を貴船口駅まで歩く。道ばたにキツネノカミソリ。
2時前に駅に到着して、解散となった。
思ったよりは暑さはマシで、特に昼食時は風があって快適だった。これならカップラーメンでも良かったかも・・・。
立山
先週末は恒例の夏山登山で立山へ行ってきた。好天のせいで暑さを覚悟して行ったのだけれど、山の上は思いのほか涼しかった。
貸し切りバスのおかげで室堂までバスで行くことができた。もっと暑いかと思ったけれど、以外と涼しい。
正面に立山三山と、右には今日(8/4)行く浄土山。
室堂を出発したのは3時前くらい。浄土山への石段を登る。
チングルマ。
後ろに剱が見えてきた。
イワギキョウ。
1時間半ちょっとで浄土山(2831m)へ到着した。
明日登る立山三山。
5時半過ぎに宿泊地の一の越山荘に到着して、大部屋でゆっくり就寝した。実はほとんど眠れなかったのだけれど・・・。
日曜日(8/5)は朝食を弁当にしてもらって、4時半過ぎに小屋を出発した。西から冷たい風が吹きつけて寒い。気温は 15 度くらい。
大きな石がごろごろしていて歩きにくい。
1時間ほどで山頂(2991.8m)に到着した。
雄山の山頂(3003m)は500円いるので私はパス。
朝方は曇っていて御来光は拝めなかったのだけれど、山頂に着いた時は晴れていて、槍ガ岳まで見渡せた。
ここで弁当を食べて、お次は立山三山最高峰の大汝山へ向かう。
大汝山は標高 3015m。
剱の絶景。八ツ峰の稜線がくっきり。
そして富士ノ折立へ。
無事、山頂(2999m)に到着しました。
逆光で見えにくいけれど後立山連峰。真ん中の鋭鋒は針ノ木岳。
あとは雷鳥沢に向けて下山。
ようやくキャンプ場が近づいてきた。ここまで下ると風も収まって暖かくなってきた。
少し登り返して、山崎カール。
ミクリガ池。
12時過ぎに室堂に戻ってきた。
その後、立山山麓温泉で温泉に入って、暑い京都に帰ってきた。
立山へ行ったのは何十年ぶりだろうか。懐かしいという気持ちも湧かないほど記憶が無い。はたして再訪はあるだろうか・・・。