奥明日香逍遥

「奥明日香」とは明日香村の東部の山間部に点在する集落のあたりの総称で、このあたりはこれまでに何度も通過したことがある。いずれもなかなか味のある雰囲気で、いつかのんびりと散策してみたいと思っていた。
にほんの里100選」というのがあるそうで、この奥明日香もそれに選ばれている。ちなみに我が枚方市では穂谷が選ばれている。
明日香村では稲淵(いなぶち)、栢森(かやのもり)、入谷(にゅうだに)の3箇所を奥明日香の売り出しポイントとしているらしい。
私はこれまでに稲淵と栢森は何度か通っているけれど、入谷は行ったことが無い。そこで今回、この入谷と、以前に一度通ってなかなかいい雰囲気だった冬野(とうの)を再訪して、尾曽(おおそ)の威徳院(いとくいん)に立ち寄ってみようと思った。
今回はあまりルートを厳密に考えていないので、gps にルートは入れてきていない。予定している訪問地にもそれほどこだわるつもりは無く、ルート状況で適当にアレンジするつもりだ。

じつは先月、他の講座の下見で稲淵へ行ったばかりなので今回は稲淵は省いて、壷阪山から栢森に向かうことにした。以前に栢森から高取山の猿石のところへ行った時、途中の分岐にキトラ古墳への標識があって、ちょっと興味をそそられた。
地形図を見てみると確かにキトラ古墳のそばにつながっている道があるので、そこを辿って栢森へ行ってみようと思った。
小雨の中、壷阪山駅を9時15分に出発した。
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ルートがはっきりわからないので地図を見ながらそれらしいところから山道に入ったけれど、間も無く道はほとんど不明瞭な状態になってしまった。
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進んでいる方向も行きたい方向よりは南に振れているのでヤブを適当に北に向かったら、何やら工事現場のような場所で池のあるところに出た。そのそばに山に入っている道があったのでそちらに行ってみることにした。
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しかしこの道も結局南東方向に向かって、しかも車道に出そうになってしまった。結局あきらめて引き返して、最初に山道に入ったあたりに戻ってきた。その後、集落の道を注意しながら道なりに進んだけれど、うろうろした挙げ句、キトラ古墳の公園の裏側あたりに来てしまった。
もう山道はあきらめて車道で栢森へ向かうことにした。その前に展望台から大和葛城山(右)と金剛山(左)。
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何だかんだで1時間以上時間を浪費してしまった。ふと足元を見たら・・・。
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大根田の田んぼでは手作業で稲刈りをしていた。
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車道が終わって峠への山道へ入る。
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峠には高取山への道標が。あの標識の道はここに出てくるのかも・・・。
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ちょうど女綱のところで車道に出た。
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車道を進むと農家レストランの「さらら」。天武天皇の皇后だった鸕野讚良皇女(うののさららひめみこーのちの持統天皇)から取った店名に違いない。この道は持統天皇が30回以上行った吉野行幸で通ったと思われる。
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栢森の加夜奈留美命神社(かやなるみのみことじんじゃ)。式内社。
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車道を入谷の方に向かうと展望台への案内版。1.5kmはちょっと遠いなぁと感じたので適当な場所で引き返そうと思った。
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車道を10分ほど歩いて登って、入谷の入り口へ。
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坂を登って、入谷の集落を眺める。
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集落の入り口から10分で展望台に到着した。ここには大仁保神社(おおにほじんじゃ)がある。
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展望台からの眺めは絶景。望遠鏡が設置されている。椅子とテーブルがあったのでおにぎり休憩にした。
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下り始めた時にちょうど12時になって、おそらく12時の合図であろう音楽が集落に流れた。なんかマイナーなメロディで気分が落ちる感じ。これは変えた方がいいんじゃないだろうか。
また元に戻って、車道を北東に進む。少し行ったら「女淵」(めぶち)という標識があって、車道から少し下った所に案内版が見えたので、そこに行ってみた。
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なるほど、皇極天皇はここで雨乞いをしたのか。沢筋を見下ろすと、
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さらに車道を進んでいると道のそばにいたシカが驚いて駆け抜けて行った。
お次は何と道ばたでイノシシが水たまりに口を突っ込んでいた。私もすぐそばまで気が付かなかったので、お互いにびっくりした。もう少し進んだらまたもや道にイノシシが。これは早々に気付いて走り去って行った。
このあたりのイノシシは臆病なのだろうか。シカは襲ってくることはまず無いだろうけれど、イノシシは突進してくることがしばしばあるので結構恐い。いずれも小さかったけれど。
畑の集落への分岐を過ぎて、「男淵」(おぶち)の標識。
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車道をはずれて沢沿いにしばらく進んでみたがどこが男淵なのかわからずに戻ってきて、この近くから沢を見下ろしたところ、ちょっとした滝が目に入った。これが男淵に違い無い。
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さて、冬野に向かう道はこの少し先から左に入るはず。少し行くと車が何台か停まっていて、山仕事であろう人が一人おられた。
その少し先で北に向かう道があったので、それを行くことにした。
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ずいぶん荒れた道で、5分も進んだらもはや前進不可能な状態になってしまった。
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今日はこんなにワイルドな道を行くつもりは無かったので、冬野へ行くのはあっさりとあきらめて引き返すことにした。帰ってから gps のトラックで確認してみたが、ちゃんと地形図の道を辿っていた。地形図の道を頼りにして来たらすでに廃道になっていて痛い目にあったというのはこれまで何度も経験してきたのだけれど、今回もそういう結果になってしまった。
畑へ向かうハイキング道(車道)の案内があったのでそちらに入ったが、この道はぐるっと大回りしている。地図を見るとショートカットの山道があるようなので、それを探してみたところ、それらしき踏み跡が見つかった。しかしこの道もちゃんと続いているのだろうかと不安を感じる道だ。
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しかし10分少々で民家が見えてきた。
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さて、威徳院への道は残っているだろうか・・・。ありました。
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10分少々で無事、威徳院にたどり着いた。
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ここからは車道でも下れるのだけれど、ショートカットの登山道に向かったところ、またもや途中で少しウロウロさせられた。廃道になってはいなかったけれど、不明瞭な分岐があって何度か行ったり来たりして、何とか無事車道に下りてきた。
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明日香の棚田の風景も美しい。
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あとは勝手知ったる道で、石舞台古墳は上からだとタダで見ることができる。
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伝飛鳥板蓋宮跡。背景は甘樫の丘。
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入鹿の首塚。
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甘樫巫神社。祭をやっているようで、そばにおみこしが置いてあった。
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剣池。
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午後3時ちょうどに橿原神宮前駅に到着した。
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出だしからルート迷いまくりでどうなることかと思ったけれど、結果的にはほぼ予定の場所を訪れることができた。
朝は想定外の雨で、午後から晴れるという天気予報もずれて晴れたのは帰りの電車に乗ってからだったけれど、それなりに楽しい一日だった。