白山 転法輪の窟敗退

今月(8月)中旬はずっと天気が悪くて、山へ出かける気分ではなかった。

そうこうするうちにコロナ感染も一段と悪化してきて緊急事態宣言地域も広がる一方で、不用意な遠出は憚られる状態にもなってきているが、ようやく天候が回復してきて、そろそろストレスも満杯。

来週はまた天候が不安定とも伝えられているので、このチャンスを逃してはならないと思って、白山に向かうことにした。まだまだ残暑が厳しいので近場の低山に向かう気にはなれない。

白山最高峰の御前峰のそばに「転法輪の窟(てんぽうりんのいわや)」と呼ばれる窟があるということを知ったのはわりと最近のことで、たまたま図書館で借りた修験道の本に記載されていた。

登山地図の拡大図には記載されているが道は無いとのことで、いくつかの情報を検索してみたが確かに踏み跡すらない模様。しかも結構危ない斜面を経由していかなければならないようだ。

白山を開山した泰澄(たいちょう)がここで修行をしたと伝えられている。もう 1300 年以上前のことだ。写真で見ると大峰の「笙の窟」くらいの大きさがありそう。

これはぜひ訪れてみなければということで、ここ数年恒例となっている白山詣でに出かけることにした。

週末は別当出合まで車で入れないので平日に出かけることにした。いずれにしてもこの時期の週末の白山は大混雑する。

8/26(木)の午後に家を出た。福井に入ったあたりから雨が降り出して、一時は本降りになった。ちょっと不安になったが、天気予報では明日は晴れることになっている。

別当出合に着いた時は雨はほぼ止んでいた。平日だが駐車場には車がいっぱい。やはりこの時期の白山は人が多い。

車中泊の準備を整えて夕食の準備に入ったところ、何とコンロを間違って持ってきていたことが発覚!! 先月の北海道行きに購入したカセットコンロ用のものを持ってきたつもりが登山用の方を持ってきてしまっていた。外箱の形状がほぼ同じなのだが北海道から帰ったあとに片付けておいたものをそのまま確認せずに持ってきたのが間違いだった。

一瞬青ざめたが、冷静に考えたら今日は火を通さなくても食べられる惣菜や寿司などばかりで、朝食もパンとジュースにしている。胸をなでおろした。白山では以前、朝にコンロが使えなくてカップ麺が食べられなかったことがある。

朝のコーヒーが飲めなかったのがちょっと残念だが、4時 45 分、まだ暗い中をヘッドランプで出発した。

休憩舎ではすでに多くの人が準備をしていた。

いよいよ山道へ。今日は久しぶりに吊り橋を渡って砂防新道へ行く。

出発して 30 分くらいでほぼ明るくなって、まずは中飯場に到着。ここも休憩している人がたくさんいた。

休憩場所で人が多いわりには登山道ではあまり人と出会わない。おかげで自分のペースでじっくり歩ける。

サラシナショウマ。

やはり出てきました。

シモツケソウ。

出発して1時間半少々で甚之助避難小屋に到着した。休憩している人はわずかだった。

ノリウツギ。

右奥に別山。

トリカブトの群生。

昨日の雨のせいで登山道も所々水が流れているのだが、なぜか延命水は枯渇している。

きっと人が多いだろうと思っていたのだが、甚之助避難小屋を越えてからはまったく人に出会わずに黒ボコ岩まで来た。

弥陀ヶ原もまるでオフシーズンのよう。

このあと下山者に少し出会ったが、7時 36 分、出発して2時間 50 分ほどで室堂に到着した。

誰もいないベンチに腰を下ろしてジェルを補給した。

ようやくスタート地点についた感じ。

イワギキョウ。

ハクサンフウロ。

高天ヶ原。

御前峰の手前で登山道をそれる。

適当に進んでみたが、ハイマツ帯が多くてなかなかすんなりと進めない。

ちょっとした目印のように思える小石が積まれているものがあったりして、そのあたりの斜面を下ってみた。

かなり際どい下りだが、いよいよ行き詰まってしまった。

この下あたりにあると思われるが、ここは下れない。危なすぎる。もっと手前から回り込むルートがあるのかも知れないが、このあたりは横はハイマツに覆われていてちょっと入る気にならない。

時間はあるので戻ってルートを探してみようかと思ったが、登り返すのも結構苦労した。もういいかなという感じ。あきらめの良さには自信がある。

このまま上に上がれそうだったので直接ピークに向かう。

ちょうど奥社の裏側に飛び出した。

8時 45 分、御前峰(2702.1m)に到着した。

翠ヶ池と大汝峰(真ん中)。

槍穂高連峰と乗鞍岳(右)。

もっと人が多いだろうと思っていたのに予想外に人が少なかったので、山頂で腰をおろしてバナナ風味饅頭で休憩した。御前峰で一人でこんなにのんびりするのは初めてのことだと思う。

さて、このあとどうする? すんなり引き返すのはあまりにももったいないし物足りない。しかしまた白山三峰では芸が無い。

そこで、このあたりの登山道ではまだ歩いたことのない、アルプス展望台を経て南竜へ行く道を行って、それから砂防新道に戻ることにしようと思った。

室堂からラジオ体操の音楽が流れてきた。9時に流しているようだが、ちょっと遅すぎるんじゃないですか?

室堂に向けて下りていくと登ってくる登山者とたくさんすれ違った。そして室堂の手前で平瀬へ向かう道へと別れた。

お花畑にはハクサンフウロが咲き乱れていた。

イブキトラノオ。

まだ少し雪が残っている。

ナナカマド。

平瀬への道を見送って南竜へ向かう。

「展望歩道」とうたっているのに視界は無し。

アルプス展望台ではアルプスが望めたけれど、御前峰で眺めてきたばかりなので感動はない。

それよりもこの白水湖の眺めの方が美しかった。

ミヤマキンバイ(ミヤマダイコンソウ?)。

10時42分、南竜山荘まで下りてきた。ここは以前に随行で来た時に泊まった。

ここのそばのベンチに腰掛けて惣菜パンを食べた。

アキノキリンソウ。

足下に甚之助避難小屋が見える。

あとは淡々とノンストップで吊り橋まで下りてきた。

白山の神様のおかげで無事に下りてくることができました。

12時50分、駐車場に戻ってきた。

白峰総湯は平日のせいかガラ空きだった。

帰ってから調べたところ、転法輪の窟へのルートはペンキのマークがあるという情報があった。さほど古い情報ではないのでしっかり探せば見つかるかも知れないが、再挑戦するかどうかはちょっと微妙。その気になれば行くし、これで最後になるかも知れない。

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