百里ガ岳

昨日はカルチャーセンターのお手伝いで、朽木(滋賀県)の百里ガ岳へ行ってきた。

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先月行った三国峠の少し東側で、鯖街道で走った車道を挟んで西と東の位置関係になる。今回もチャーターバスの送り迎え付きで、快適登山だった。
入山は木地山の中小屋から。9月の台風の影響で、谷筋の道は特に下流で大きく崩れており、かなり難渋した。とても初級コースとは思えないルートになってしまったが、受講生の大半はリピーターで、中級レベルだ。2時間ほどかかってようやく木地山峠へ到着。
上部では紅葉もかなり進んでいるが、絶景というには今一歩というところ。
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元々入山者の少ない山域で、おまけに昨日は平日だったので、終日誰とも出会わなかった。
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木地山峠を少し過ぎたところで昼食を取って、それから1時間ほどで百里ガ岳へ到着。
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百里四方が見渡せるということが山名の由来らしいが、このあたりから見える山々は、この地域の1000m以下の山ばかりで、アルプスの山からの景観とはかなり違う。
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頂上を過ぎて少し行ったところで、比良山系の全貌を見渡すことができた。
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この山域もブナの大木が所々にあり、原生林の雰囲気が残っている。
トレイルランナーの鏑木さんが、滋賀県の何かのグループの依頼(?)で、このあたりのエリアでトレランのイベントを開催しておられるが、正直なところ、こういう山域には登山者でない人たちはあまり大挙して来てほしくないという気持ちがある。
地元の高島市は朽木の原生林を観光資源として活用したいようだが、我々のような者からすると(私はその時々で都合良く登山者になったりトレイルランナーになったりするのだ。スミマセン)、自然が荒れるようなことはあまりやってほしくないというのが本音だ。
鎌倉アルプストレイルランという大会が、今年の12月で第10回を迎える予定だったところ、地元からの強い要請で中止に追い込まれたらしい。自然破壊や一般登山との接触事故の危険性などがその要因で、登山道を使ってレースを開催すると、こういう声が出てくるのは致し方ないという気がする。
私自身も論理的には登山道でタイムを争うレースをやるのはあまり好ましいものではないと思っているが、はやりレースに出ないと自分の全力が出し切れないということで、たまにはレースに出場するようにしている。
登山道は、ロードレースと違って、一般の登山者を完全に封鎖することはできないので、どうしても接触事故の危険性がある。これまでに大きな事故の報告は聞いたことがないが(ランナー自身がアクシデントで死亡したという事故はいくつか発生している)、基本的にはあまり大人数でのレースはやるべきではないだろう。

困ったYouTube

私は子供の頃からずっと音楽に親しんでいる。
小さい頃にピアノを習っていたせいで、その頃はクラシックが好きだったが、徐々にポップス系を好むようになって、二十歳の頃にはジャズ、ブルース、R&Bなどの黒人音楽系がメインという、今の趣向の基本が出来上がった。
自分でレコードを買うようになったのは高校生になったくらいの頃からだったが、その頃はもちろんレンタルなどはなく、好きなものを好きなだけ聴きたいと思えばレコードを買うか友人に借りるか、もしくは FM 放送を録音するくらいしか方法が無かった。
その頃でもレコードはだいたい1枚2000円くらいだったので、高校生の小遣いでは月に1枚買えるか買えないかくらいで、新しいレコードを買ったら帰ってすぐに少なくとも2回は繰り返し聴いて、ちょっとこれは気に入らないと感じても、何度も繰り返して聴いて無理矢理好きになっていた。買って1週間もすれば、最初から最後まですべての内容を覚えてしまうというのは当たり前のことだった。
レンタルが普及してからも、好きなものは自分の手元に置いておきたいという気持ちが強く、レンタルでどんどん借りては返すというようなことはしなかったし、YouTube などのメディアが普及してからも、アルバム志向の私は数分程度の細切れ演奏などはあまり親しんでこなかった。
ところがいつの間にやら YouTube では2時間にも及ぶような長時間のものがアップされるようになっているではないか!! しかもレンタルにはあまり無いような、私好みの古いレアなものまでたくさんある。
これらを見つけた時は、最初はこれはありがたいと思って、いろいろと視聴したのだが、あまりにもたくさんありすぎて、どんどん目移りしてしまう。少しでも退屈な部分が出てくると、さっと次のものに移ってしまう。
こんな聴き方ではその音楽の本当の良さに触れることはできないだろうなと思いつつも、ついつい目移りしてしまうのだ。だって、そういうメニューがずらっと並んでいるのが目に入るのだから。
こんなものが簡単にタダでどんどん手には入っていいのだろうかと不安になってしまう。今時のミュージシャンはどうやって生活しているのだろうと、余計な心配までしてしまう。おそらくスタジオミュージシャンなどを使わずに、PC の打ち込みだけで CD を作ってしまうというようなこともたくさんあるだろう。
聴く方も、昔のように腰を落ち着けてじっくりと聞き込むというより、ざっと聞き流して、耳に残ったものだけを聞き返すというような聴き方になってしまうだろう。
私が聴く音楽は大半が 60 年代から 70 年代で、それ以降はぐっと少なくなる。演奏自体は新しいものでも、ベテランミュージシャンが古い曲をカバーしたりしているようなパターンがほとんどで、最近登場したミュージシャンはほとんど知らない。
決して新しいものに対して偏見を持っているわけではないのだが、新しいものは聴いても印象に残らないし、変に凝っているものが多く、シンプルなサウンドが好きな私としては、どうも生理的に受け付けられないものが少なくない。
YouTube からダウンロードしたものも古いものばかりだが、目についたものをどんどんダウンロードしてしまうので、それをじっくりと聴いている時間が無いというのが実態だ。
こんなことではいかんなぁ〜と思いながら、Miles Davis の古い映像をあさっているのだ。

淀川市民マラソン Did Not Start

朝、5時半に目覚ましで起きた。
新聞を取って、朝食の用意を始めたが、身体がレースを走ることを嫌がっていることがはっきりとわかる。しかし故障も無いので、止める口実が見つからない。空は曇天だが、天気予報では雨は午後から。
初マラソン以来、マラソンの前はモチと決めていたのだが、今回はあえていつも通りのパンにした。ただしいつもより1枚多い、6枚切り3枚。コーヒーを飲んで、少しゆっくりして、7時過ぎに家を出た。
乗り換え無しで守口まで行って、会場まで人波より少し遅れてゆっくり歩く。河川敷の堤防へ上がる階段で、これは今日はダメだと感じた。はやり超回復は起こらなかった。
まずは参加賞をもらおうと交換場所へ行ったところ、何かとんでもない列になっている。一瞬、走り終わってからにしようかと思ったのだが、まだスタートまで時間もあるので、蒸しパンを食べながら列に並ぶことにした。昨年はこんなことは無かったと思う。
トイレの列はそれほどでも無かったが、荷物預け用のビニール袋をもらおうと思ったところ、今度は参加賞よりもはるかに長い行列になっている。あまりの長さに、並ぶ気力が湧いてこない。こんなことも昨年はなかった。
私は人混みが嫌いなので繁華街などは滅多に行かないし、特に行列に並ぶというのは大嫌いだ。参加賞とトイレの列で、今日の行列待ち忍耐力はもう使い果たした。
どうしようかと一旦縁石に腰を下ろしていたら、少し小雨が落ちてきた。荷物は別に預けなくても走ることはできるが、今日は次第に雨になる。雨を防げるものは持ってきていないので、そのあたりに置いておくと戻ってきた頃には着替えが雨で濡れている可能性がある。
何とかギリギリで持ちこたえていた気持ちが、ここでついに切れてしまった。今日は走るのは止めよう。走り出したら調子が出てくるなんてことは、今日は絶対にあり得ない。折り返して戻ってきて、ちょうど会場のあたりがハーフ地点になるが、多分ハーフまですらまともに行けないだろう。こんなに参加人数の多い大会で、序盤からとぼとぼ歩いているのを抜かされていくのはあまりに忍びない。
最初から4時間以上のつもりで行けば走れるかも知れないが、ロードのフルマラソンではまだそれだけはやりたくない。とにかくスタートするだけはして、行けるところまで行くべきという気持ちも無くはなかったが、このところの数レースは結果はさておき、歩かずに完走するということだけはやり遂げてきたので、そこには拘りたいと思った。
会場に向かう人波がほとんど無くなるくらいの時間になって、早々に帰路についた。ちょうど守口駅のホームに上がった時に、9時40分のスタートの花火が上がったが、悔しいとか後悔とかの気持ちはほとんど湧いてこなかった。

淀川ペース走

と言ってもほんの 2.5km ほど。
明日は淀川市民マラソンなのだ。
六甲縦走キャノンボールランの翌週にフルマラソンなんて、以前の私であれば太陽が西から出るくらいあり得ないスケジュールだったのだが、こんなことも平気になってしまった。その理由は二つある。
一つは今のクラブに入ったこと。ここでは月に2回マラソンを走るくらいの人はいくらでもいて、2週連続なんてこともさほど珍しくない。先週、大阪マラソンを走って、明日、淀川を走る人もいるし、昨年は福知山(11/23)と大阪(11/25)の両方ともサブスリーで走った人もいた。4週連続フルマラソンを走ったという人もいる。しかもそのすべてが2時間20分台だ。半端ではない。
こんなところにいると、以前はシーズンにフルマラソンは2回だけと決めていた私はいったい何だったのかと思ったりするが、それは自分の判断としては間違っていなかったと今も思っている。
もう一つは、フルマラソンにおいて好タイムを期待する気持ちがほとんど無くなったこと。どうでもいいとは思わないが、昨年度までの2シーズン、自分なりにはかなりいろいろと頑張ってきたつもりだが、求める結果にはほど遠いタイムしか得られなかったので、さすがに年齢も考えるとタイムに拘るのはもうこのあたりが潮時かという気持ちになっている。
そうは言っても4時間もかかるとあんまりなので、いつものように、レース前日は少し速めのペースで短い距離を走っておくことにした。
キャノンボールランの疲れは、表面的なものはほとんど無くなったが、少しペースを上げて走ると、身体の芯にはまだまだたっぷり残っていることをはっきりと感じた。結構なペースのつもりでもキロ5分を少し切る程度だ。
明日はキロ5分くらいで入るような走りにした方が良さそうだ。
実は。超回復で思いもよらない好タイムが出たりしないかという僥倖をちらっと期待していたのだが、そんなことはそれこそ太陽が西から出るくらいの確率だ。

川上監督

川上哲治氏が亡くなられた。93歳ということなので、天寿をまっとうされたと言ってもいいのではないだろうか。
私の世代では川上氏の現役時代は知らない。何と言ってもジャイアンツの黄金時代、V9を率いた監督としての川上氏だ。私がプロ野球を一番熱心に見ていたのがV9の後半くらいだったので、川上監督の存在は強く印象に残っている。ついでにヘッドコーチだった牧野コーチも。
野球は素人なので、采配や技術的なことはまったくわからないが、とにかく川上監督の勝利への執念というのはその頃も非常に強く感じた。『石橋を叩いても渡らない』なんて称されたこともあったように思うが、とにかく盤石の采配で、長島監督のようなひらめき采配は一切無く、定石を堅実に積み重ねて勝利をつかみ取るという戦い方だったように思う。
ジャイアンツという球団は川上監督の残した資産を、まだ何とか受け継いできているのではないかと思う。その当時に比べるとやはり徐々にそういう文化は薄まってきているとは感じるが、まだまだ根底の部分で残っていると思う。私にとってはジャイアンツ・イコール・川上監督だ。
それに反して、そういう勝利への執念というものが極めて希薄なのがタイガースだ。タイガースはジャイアンツがライバルということになっているそうだが、ジャイアンツは本音のところはタイガースをライバルとは思っていないのではないだろうか。ドル箱カードなのでそんなことは口には出さないだろうが。
闘志を前面に出す星野監督時代は少しは違った雰囲気が感じられたが、就任期間が短かったせいもあるのだろう、あっという間に元の負け犬タイガースに戻ってしまった。要するに、そういう文化が定着していないということだ。
コーチを変えてどうなるというものでもないだろう。何よりも、フロントが本気で強いチームを造りたいと考えているようには思えない。随分以前のことだが、江本投手が『フロントがアホやから野球ができん!』と言ってクビになった事件があったが、あれはまぎれもなく事実だったと思う。
さて、私でも注目している今年の日本シリーズ。思った以上に楽天が善戦しているが、最後はジャイアンツの勝利ではないかと思っている。本音は楽天に勝ってほしいのだが・・・。

第9回六甲縦走キャノンボールラン・復路編後半

通常の片道の時は、摩耶山まで来ればゴールが見えてくる気分になれるのだが、往復となるとそこまでの安心感は無い。しかし大きな山場は越えたという安堵感はあった。
掬星台のエイドはいつもカップラーメンのサービスがあるので、ここでお腹を満たそうと楽しみにしていたのだが、何とまたしても品切れとのこと。周りにはカップ麺を食べている人が何人かいたので、ギリギリで終わってしまったようだ。
かなりがっくりきたが、幸いなことにおにぎりがいくつか残っていたので、それをいただくことにした。トレラン中のおにぎりはそのままではなかなかノドを通らないので、水を飲みながら無理矢理流し込んだ。
少しはお腹も満たされたので、10分くらいで重い腰を上げる。時間は午後2時少し前。通常の片道ならここからあと3時間半くらいだが、今日の場合はあと1時間くらいは余分に見ておく必要があるだろう。宝塚のゴール最終が当初の設定では6時半なので、かなりギリギリだ。スタートが少し遅れたのでその分、時間が延長されることを期待しよう(実は須磨のスタートで、ゴール最終は午後7時という案内がされていたようだが、私は聞きそびれた)。
登りでは結構汗をかいたが、上まで上がると以外と風が冷たくて寒い。アゴニー坂を下ってから少し行くと、想定外のエイドが現れたが、飲み物は水とワイン!!とのことで、パスする。このあたりは歩道の緩い下りなのだが、それでももうまともには走れない。かろうじて『歩いてはいない』という程度だ。
一旦、石段の山道に入ってしばらく登って、またドライブウェイに出る。ここからはしばらくやや登り勾配の車道が続く。早歩きが精一杯だ。
記念碑台でまたエイド。ここではコーラをいただく。
みよし観音というのを初めてしっかり見て、ガーデンテラスを通過。そして極楽茶屋のエイドに到着した。ザ・デストロイヤーが迎えてくれた。
だいぶ寒くなってきたので、暖かいスープをいただく。
ドライブウェイと登山道のショートカットを交互におりまぜて、本日最後のエイドの一軒茶屋に到着。ここでいただいた、具の入ったカレースープはおいしかった。かなり寒くなってきたが、これからは下りなので、上着は着ずに行くことにする。
時間は午後4時少し前。昨夜は登りでここまでほぼ2時間だったが、今日は下りでもそれ以上かかるだろう。元気ならガンガン走れる部分なのだが、今日はもうそれはムリというもの。いやらしいことに、距離はまだたっぷりある。おまけに、右足の親指から拇指球あたりにかなり痛みを感じてきた。まるでシューズがきつくてツメが当たっているような感じの痛みなのだが、実際のところはそういうことではなさそうだ。
東六甲縦走路に入ってすぐに3人のグループに抜かされてからは、誰にもあわない。前回は最後の2時間ほどは5人くらいのグループが自然にできて、ダベりながら歩いたのがかなり気分転換になったのだが、今回はまったく正反対の状況である。まるで八ガ岳スーパートレイルの関門手前の下りのようだ。ただ、今日は道を間違える可能性は極めて低いので、八ガ岳の時のような不安感はまったく無い。しかし急な下りでは右足が痛い。
そんなわけで、独りぽっちで淡々と歩いていたら、下から猛スピードのランナーが駆け上がってきた。何事かと思ったら、何と、今度は UTMF チャンピオンの原良和さんではないか。すぐ後ろはおそらく奥さんの朋子さんに違いない。完全な本気練習モードだったので、挨拶を交わしただけだった。
それにしてもこの時間に空身で上へ向かって、どういう練習スケジュールなのだろう。ドライブウェイまで上がってから折り返してくるのだろうか。
大谷乗越は5時10分くらいだった。まだ明るいが、秋の夕暮れはあっと言う間に真っ暗になる。塩尾寺まであと30分くらいだろう。何とかヘッドランプ無しで行きたいのだが。
しかしその期待もむなしく、塩尾寺近くの急な下りに入る前に、かなり暗くなってしまった。このあたりは樹林帯で陽もあたらないので、あきらめてヘッドランプを出した。しかし何とか6時半までにはゴールできそうだ。寒いが、もう少しなのでこのまま行く。
塩尾寺からは車道を下る。最初のショートカットは階段なのでそちらへ行ったが、次の山道急勾配ショートカットは昨夜と同様、車道をたどることにした。
一般登山者の何人かと前後しながら急な車道を下って行く。昨夜のようなムダな大回りも無く、左に曲がって川沿いの細い道を下る。ゴールはもうすぐそこだ。幸い、右足の痛みもあまり気にならなくなっている。
2回目となると前回のような感慨は無いが、それでもやはりこれだけの距離を時間をかけてたどって来ると、胸にこみ上げてくるものはあるし、終わってしまうのが少し寂しいという気持ちも多少は湧いてくる。こんな気持ちをしっかりと心に焼き付けようと強く意識しながら、ゴールを目指した。
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車道に出て、ローソンの角を右に曲がって、最後の階段だけは何とか走って上がって、湯本台広場のゴールに到着したのは6時20分だった。
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第9回六甲縦走キャノンボールラン・復路編前半

須磨浦公園の駅前には片道コース(スピード)の参加者がたくさん集まっている。天気も良く、今日は暑くなりそうだ。
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復路は少し長めの報告になりそうなので、2回に分けて書こうと思う。
スタートの予定は7時半。休憩が1時間少々というのはちょうどいいくらいだ。足をマッサージして疲れを取って、復路スタートの準備をした。
いつものパターンで、復路スタートの時間が7時45分になるとのこと。おそらく宝塚到着は暗くなってからになるだろう。
集団の後ろの方からスタートする。結局、おにぎりは到着しなかった。蒸しパンを食べておいてよかった。
スタート直後に右側の階段のショートカットに行くのだが、ここが大渋滞になっている。参加者は300人少々くらいだが、二人は並べないくらいの狭い階段なので、しばらく待っていなければならない。いくらあせらないとは言ってもスタート直後にただ待っているのはあんまりなので、多くの人と同じく、大回りのヘアピンコースへ行った。次の階段からは幅が広くなるので、歩きのペースならスムーズに行ける。
思ったよりは楽に旗振茶屋まで上がって、ここからは少しトレイルを走る。スピードの人たちがどんどん追い抜いて行くが、気にせずに自分のペースで行く。目標は10時間以内だが、まずは完走できなければ話にならない。
高倉台の横断橋の緩い登りも走りのリズムで乗り越えて、いよいよ栂尾山への階段登りである。狭い階段なので、ここで一人遅れたりすると厳しい目に遭うのだが、何とか流れに乗って登り切ることができた。
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集団について走っていたが、詳しい人が前で先導しているようで、栂尾山の頂上は手前でトラバース。横尾山もやや細い道をトラバースして頂上をパスして行った。しかし私は集団からは徐々に遅れ気味になり、道幅の広い場所ではしばしば後続に道を譲ることになる。
渋滞が予想された須磨アルプスは以外とスムーズに通過して、馬の背での写真撮影もパスして先を急ぐ。
妙法寺住宅街の最初のエイドでコーラとスポーツドリンクをいただいて、交差点を越えてからはいつものショートカットで高取山への登りに入る。
丸山の住宅街あたりまで来ると、緩い登りでも走るのが厳しくなってきた。ジェルでエネルギー補給をする。
鵯越を過ぎて、水道局の前で二つ目のエイド。ここは往路にもあったところだ。往路の時は小さなおにぎりがあったのを覚えていたので、須磨で食べられなかった分を補給したいと思っていたが、すでに無くなっていた。往路の時よりは具の少なくなったスープとお茶をいただく。
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いよいよ復路最初の難関の菊水山への登りにさしかかる。登りは最初は苦しいが、5分くらいすると身体が慣れてきてリズムに乗れるようになる。こうなるとしばらくはそのまま登り続けることができる。ちょうどそういうリズムになってきたところ、前方が長い列になっていて、ゆっくりペースでしか登れなくなってしまった。3歩登ったら少しストップという状態でイライラする。しかし仕方ない。
結局、菊水山の頂上までずっとそのままで、復路スタートから3時間20分ほどかかった。できればあと10分くらいは早く着きたかった。
今度は頂上エリアはパスしてすぐに下りにかかる。例の横道への目印を逃さないようにと注意していたのだが、それでも見逃してしまって、無駄な下りと登りをやることになってしまった。ほんのわずかのことなのだが、こういうミスは精神的ダメージが結構大きい。
天王吊橋を渡って、第二の難関の鍋蓋山への登りに入る。こういう登りは嫌いではないのだが、このあたりからかなり疲れを感じてきた。どうもガス欠ぎみのようだ。ここを登って下ると次のエイドなので、何とかそこまでは頑張ろうと思うが、目に見えて身体が重くなってきた。
これはヤバイ!!。リタイアという気持ちがチラッと頭をかすめたが、今回は宝塚に荷物を預けているので、リタイアしてもまた宝塚まで行かなければならない。これは何としても避けたい。
いよいよ手持ち食料の最後の大福餅を食べるしかないと思い、何とか鍋蓋山の頂上までは行きたいと思ったが、そんなことに拘っている場合ではないと思い直して、道ばたが少し広くなったところに腰を下ろして、補給することにした。
頂上はそこからほんのわずかのところで、少し下って次のエイドに到着した。ここでは豚汁をいただいた。前回のここの豚汁は塩辛くて、おまけに水が無くて困ったのだが、今回はそういうこともなく、おいしくいただくことができた。ただ、本当のところは炭水化物がほしいのだ。次の市ヶ原のエイドに何かあることを期待しよう。
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市ヶ原のエイドまではわずかの距離だったが、期待した炭水化物はすでにおかゆが売り切れとのことでがっかり。しかし鍋を覗くと底の方に少し残っているので、ムリを言ってそれをお皿によそってもらった。ほんの二口程度だったが、それでも気分的には随分満たされた。
ここまでスタートから5時間。できれば掬星台まで5時間半くらいで行きたかったが、おそらく6時間を少し超えるだろう。宝塚到着があまり遅くなると、荷物を後から取りに行かなくてはならなくなってしまう。
これからいよいよ復路最後の難関、摩耶山への登りだ。ここを登り切れば完走が見えてくる。菊水山の登りのような渋滞を心配したのだが、それほどの渋滞は無く、おおむね自分のリズムで登ることができる。ガス欠状態もすでに持ち直していた。
もうあとひと踏ん張りかと思っていたところ、下りで道をゆずってくれた女性をふと見ると、何か見覚えのあるお顔。あの、佐藤光子さんだ。京阪神のトレイルならどこで出会っても不思議ではないが、六甲というのはこれまでホームページでも見た記憶が無かったので、非常に以外な気がした。
少しの間、お顔を見つめてしまったので、このまま黙って通り過ぎると『変なオッサン』と思われそうな気がして、思い切って『サトウセンセイですよね』と声をかけた。
ご本人にお会いするのは初めてだ。少しだけお話しさせていただいたが、『UTMF なんかは出場されないんですか?』とお聞きしたところ、『エイドがあるような大会はあまり好きではなくて、全部自分で背たろうて(ご本人の弁)行くのが好きなんです』とのお返事。
これは目から鱗というような視点で、この『背たろうて』というお言葉がその後ずっと、私の頭にこびりついている。
おかげさまで気分が高揚して、それから掬星台まではあっと言う間だった。スタートからほぼ6時間だった。

第9回六甲縦走キャノンボールラン・往路編

台風の影響もあまり無く、無事、第9回六甲縦走キャノンボールランが開催された。今年2回目で、私自身にとっても2回目となる。
第7回までは毎回必ず天候が荒れるという大会だったが、前回初めて雨の降らない大会となって、今回も好天が期待される条件だった。しかし台風が過ぎ去った後なので、北からの寒気で寒くなりそうだ。
とは言っても3月よりは暖かいだろうと思って、上は前回と同じくファイントラックのノースリーブシャツに鯖街道の参加賞の長袖ジップシャツ。下は八ガ岳の時と同じストレッチハーフスパッツに薄い膝下までのストッキングという出で立ちで行くことにした。
今回は着替えなどの荷物は宝塚に預けて行くことにする。防寒対策は半袖Tシャツ1枚とウルトラライトのジャケットとパンツのみ。3月は摩耶山に上がってから風が強い中でもライトジャケットだけで大丈夫だったので、これでいいだろうと思った。
今回は、少しでも助けになるならと最初からポールを使うことにした。そしてヘッドランプは以前使っていたペツルにする。これは光量はGENTOSより少ないが、GENTOSがどうも今イチなので、再登場してもらうことにした。両手にポールを持っているので、ハンドライトはザックに入れておく。
今回はスタートが2部制になっていて、9時と10時のどちらか好きな方を選択できる。須磨ではある程度は休みたいが、休みすぎるとだれるので、なかなか選択の難しいところだが、安全を考えて9時スタートにした。
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予定時刻を少し過ぎた9時10分に湯本台の広場をスタート。前日までの雨でショートカットの山道の急登は登りにくいと思ったので、あえて遠回りして車道を行くことにした。しかしこちらに曲がったのは私だけ。
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こちらのルートは久しぶりで、おまけに宝塚からここに向かうのは初めて、さらに夜間ということで、必要以上に大回りしてしまったが、無事本来の道に合流できた。息が上がらずに来られたので、まぁまぁ良かったと思う。
おおむね前回の試走と同じくらいのペースで進む。本音はもう少し良いタイムを期待していたのだが、体感ほどにはペースは上がっていない。ヘッドランプもやはり光量が少なくて暗い。おまけにベルトが横の輪だけで、頭頂部には無いので、走ったり下ったりするとずれてくる。サングラスがあるのでどうにか止まっているが、やはりこのヘッドランプは失敗だった。
30分もすると身体が暖まってちょうどいいくらいになってきたが、高度が上がるにつれて風が強くなってきた。幸い、このあたりはまだ樹林帯なので、風が直接当たることは無いのだが、ドライブウェイに出たらちょっと厳しいかも知れない。
試走とほぼ同じの約2時間で一軒茶屋のエイドに到着。あと10分くらいは良いタイムを期待していたのだが、仕方ない。ここではサンドイッチを二切れもらって、そのまま食べながら歩き続けた。幸い、風は直接当たることはほとんど無い。神戸の街の夜景がきれいだ。
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六甲山ホテルのあたりで、10時にスタートしたトップランナーが駆け抜けて行った。異次元のスピードだと思ったが、おそらく片道5時間少々くらいだろう。しかしよく考えてみると、私も20年ほど前にはタイムトライアルで須磨から塩尾寺の下まで5時間1分で駆け抜けたことがある。昔はあれと同じか、ひょっとしたらもう少し速いくらいのスピードで走っていたのだと思うと、何とも情けなくなると同時に、こんなになってもまだ続けている自分をちょっとほめてやりたい気持ちにもなる。
3時間半で掬星台に到着。これも試走とほぼ同タイム。ここのエイドでカレーライスをいただく。試走の時にここでパンを食べて、天狗道の下りでお腹の調子が悪くなったので、カレーなんか食べて大丈夫だろうかと思ったが、はやりできるだけカロリーを補給しておきたい。
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試走の時はこれから先が5時間半近くかかってしまったが、何とかそこを5時間くらいで行きたい。
幸い、お腹は大丈夫で、道を間違えることもなく市ヶ原へ。そして大竜寺への車道を登る。
鍋蓋山の下りもポールのおかげて試走の時よりはスムーズに下りられた、菊水山はうっかり頂上に出てしまったが、止まらずにそのまま通過する。
菊水山を下りたところの水道局のそばにエイドがあった。あたたかい具だくさんのスープをいただく。おいしい。
鵯越を越えると難関の丸山住宅街に入る。駅のそばのショートカットはしっかり利用して、その後も順調に進んだが、信号を渡ってすぐに右折するところであやうく真っ直ぐ行ってしまいそうになった。ここは前回も間違ったところだ。何となくおかしいと感じた瞬間、後ろから声をかけてもらったので、交差点を過ぎてすぐのところで車道を渡ることができた。
このあたりまで来るとどのくらいのタイムが適切なのかよくわからなくなってくるのだが、どうも期待したほどのペースではなさそうだ。試走の時とあまり変わらないような気がする。試走の時はこのあたりから結構疲れてきて、おにぎり休憩やコーラ休憩を取ったので、なんとかその分でタイムを稼ぎたいと思う。
須磨アルプスではコルからの登り返しで少しルートをはずれてしまった。前に誰もいなかったので自分のヘッドランプだけを頼りに真っ直ぐ登ったところ、実は左側をトラバースぎみに行かなければならなかったのだ。もろい岩場を無理矢理登ってきたので戻ることもできず、何とか下れそうな斜面を見つけて事なきを得た。
もう須磨まではエイドが無いので、淡々と足を進める。試走の時にコーラを買ったスーパーのあたりでは、ひょっとしたら試走の時よりもタイムが落ちるのではないかと感じてきた。ただ、そのためにペースアップということはやらない。と言うよりは、できない。
しかしこのあたりの山道、まだ暗いと言うのにライトを持って登山に来ている人が結構たくさんいる。よくやるなと感じるが、我々の方がもっと変わっているのかも知れない。
そろそろうすら明るくなってきた。旗振山からは明石大橋がしっかり見える。しかし前回のような感慨はまったく無い。
すっかり明るくなった6時20分に、ようやく須磨浦公園の駅に到着した。何と9時間10分もかかってしまった。しかし体力的には試走の時よりもはるかに余裕があるので、何とか宝塚まで戻れるだろうと感じた。
予定のおにぎりがまだ到着していないということで、暖かい紅茶をいただいて、持参したパンを食べた。
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祭りだ、ワッショイ!!

いよいよ六甲縦走キャノンボールランが始まる。ワクワクしている!!
今年の3月に初めて参加した大会だが、こんなに純粋にワクワクするような大会に出会ったのは、これまでの30年近いランニング生活でも初めてのことだ。
しかしその理由は、これまでそういう大会に出会えなかったということではなくて、30年近い経験がそういう気持ちを素直に受け入れられるようにさせてくれたということだと思う。
ロードレースだとまだまだタイムに対するこだわりがあるし、トレイルでもダイトレや生駒チャレンジなどはやはりタイム第一だ。鯖街道はロード部分が多く、特に最後に賀茂川の河川敷を5kmほど走るので、きっちりと走りきりたいという気持ちが強く出る。
しかし六甲往復となるとさすがにそういうこだわりは少なくなる。もちろんタイムに対するこだわりが無いわけではないし、もし20時間以上もかかったらさすがにガックリくると思うが、この大会に関してはまず楽しみたいという気持ちが一番前面に出てくる。
片道のタイムトライアルではかつてそこそこのタイムを残しているので、もはやそんなものを目標にしても仕方ないという開き直りもある。
とにかく本当に楽しい大会なのだ。それがすべてである。

食品偽装

某大手ホテル系のレストランで、メニューの不適切表示があったという事件が、世間を賑わせている。食品偽装は何年か前に大きな話題になって、その年の漢字に『偽』という文字が選ばれたことがある。
最近でもコメの混ぜものやうなぎの産地偽装などの報道をよく見かけるし、表面化しているだけもこれだけ頻繁にあるということは、実態はその10倍以上はあると見ていいだろう。
私はこういう手合いのレストランに行くことは無いし、行きたいとも思わないので、どちらかと言うと冷ややかな目で見ている。消費者が苦情を呈するのはわからないではないが、その時においしいと思って食べたのであれば、もういいのではないかと思ったりする。少なくとも身体に害があるようなものを食べさせられた訳ではないはずだし。それに、こういう苦情を言うということは、実はその人は本当は味の違いがわかって選んでいたわけではないということになるのではないか。私が被害者ならむしろ黙っておきたいくらいだ。
もちろん今回の件に関してはホテル側に問題があることは明らかで、それなりの対処が求められるのは当然のことだが、それにしても料理に限らず、バッグやアクセサリーなどでも、『ブランド』に対して多くのお金を消費する人たちがこれだけたくさんいるというのはいったいどういうことなのだろう。私にはよく理解できない心理である。
もちろん私も何かを購入するときに、どこの会社の製品化というのは重要な要素の一つである。街で居酒屋などに入る時も、大手チェーンのような店であれば一応はその店のイメージを考える。
しかしその時の心理は、物品購入の場合は訳のわからないメーカーの安物で損をしないようにということがメインだし、居酒屋の場合はあやしげな食材と従業員の過酷な労働を強いて安くしている某チェーンのような店は避けるという、どちらかと言うと付加価値を求めるのではなくてマイナス要素をできるだけ排除したいということが主眼になっている。
食材にしても料理にしても物品にしても、一般的なイメージで平均的レベルのものであれば、今はそれほど大きな価格差は出ない時代になっていると思う。ごく一握り、付加価値を高めて高くなっているものと、逆になんらかの手法で非常に安く提供しているものがあるが、私はごく平均的レベルのもので十分なのだ。
ただ一度だけ、会社員時代に出張でアメリカへ行ったとき、帰りの空港の免税店で、たまたま使いやすそうな財布が目についたので、それを買った。それには値札が付いていなかったのだが、ブランドなどは知らないので、そのあたりに一緒に並んでいたものと同じくらいだろうと勝手に思ってレジへ行ったところ、実はそれらの倍くらいの値段でぎょっとしたのだが、すでにカードも出してしまっているので今更いらないとも言えず、致し方なく買って帰った。
それはカルチェの財布だったのだが、使えば使うほど味が出て手に馴染んで、10年くらいは使い続けたと思う。小銭入れや札入れも内側は布なのだが、10年経ってもすり切れもせず、この時はさすがにブランド物は値打ちがあると思った。
皮の薄いタイプだったので折れ目などが次第にすり切れてきて、買い換える時にも同じ物がほしいと思ってネットで探して同じようなタイプのものを購入したが、微妙にサイズが違って、結局1年も使わずにお蔵入りとなってしまった。やはりこういうものは手にとってさわってみないとダメだと思った。
それ以来、いわゆるブランド物には手を出したことは無い。