ダイトレ フルコース

今度の週末はダイトレのフルコースへ行ってみようと思っている。
大阪チャレンジ登山は何度か参加しているが、それ以外のコースまで足を伸ばしたことはまだない。コース案内によると全長45kmとのことだが、道の状況を考えると六甲全山よりは厳しいと思う。とにかく全コースほぼすべてトレイルだ。おまけに槇尾山のあたりは交通事情が悪く、登山口へのバスは1日数本のコミュニティバスしかない。
おそらく10時間以上はかかるので、始発で出発して南下コースを取ると、最終バスの午後5時には間に合わない。電車の駅までは4kmくらいなので、普通の状態であれば走れる距離だが、ダイトレのフルコースを踏破してからの4kmはかなりつらい。
北上コースにするとスタートが9時くらいになってしまい、終盤は日没後になって、最終電車までにはたどり着けるとは思うが、帰宅がかなり遅くなる。
と言うことで、明日の夜、夕食をたっぷり摂ってから、最終電車くらいで関屋駅から南下コースで行くことにする。
これまでアルプスのトレランで朝の2時や3時に出発したことは何度かあるが、キャノンボール以外でこういう時間帯にスタートするのは初めてだ。おまけに今回は大会ではないので一人きり。当然、エイドも無し。
おそらくコース上では明るくなるまでは誰にも会わないだろう。新調したPetzlのヘッドランプのデビュー戦だ。
ちょっとわくわくしている。

街歩き、そして宴会

火曜日の夜、『職場の宴会』なるものに招かれて、久しぶりに京都の街へ出かけた。この夏からスタッフを始めた登山講座を主催しているカルチャーセンターの職場の宴会で、アルバイトのみなさんや私のようなスタッフも含めてのものだった。
場所が四条烏丸の近くだったので、少し早めに出かけてスポーツショップや書店をまわってみようと思った。
京都の繁華街は路が狭い。これはおそらく、大地震で街が壊滅でもしない限り、広くなることはないだろう。平日とは言え、ちょうど帰宅の時間帯になるので、予想通りの混雑。人通りの多いメインストリートを避けて、細い脇道に入ったりしたが、それでもかなりの混雑だ。
歩き出して数分もしたら人混みにうんざりしてきた。目的の店はあまりはっきり場所を確認してこなかったので、少しウロウロする。なまじ京都は土地勘があるので、いい加減な気持ちで出てきてしまうのだ。
目的の店はどうもすでに無くなっているようだった。はやりしっかりと確認してから来るべきだった。ユニクロは見つかったが、目的のスポーツウエアは置いていなかった。
店はずいぶん入れ替わっていて、かつての目印だったような店がことごとく別の店に変わっていた。
あの狭い四条通りの車道を逆走する自転車を何度か見かけたのには驚いた。昨今の町の自転車のマナーの悪さは底なしの低下が続いているが、何十年か前、登山でアフリカや東南アジア、パキスタンなどのいわゆる第三世界でのこういう風景を見てから日本に帰ってくると、やはり日本の道は安心できると感じたのだが、今や日本もこういう状態になってしまっている。
ジュンク堂へ行って地図を買って、その近くにある宴会の店に入った。
今日の宴会は歓送会とのこと。アルバイトで数年勤めた方が退職されるのでその送別と、その後釜の方の歓迎、ついでに私も歓迎の対象ということで、参加費を免除していただいた。
かなり変わった年齢構成の宴会で、女性が全体の3分の2くらいだが、おおむね30台後半くらいの方々が多そう。変わっていたのは男性で、若い男性は一人だけ。あとは50台くらいが私を含めて2名。あとの何名かはみなさん70以上ということで、職場の宴会でこういう年齢層の方がいらっしゃるというのは初めての経験だ。
この方々はみなさん、屋外の講座の随行員で、ちょうど私と同じ立場の人たち。定年退職後のセカンドキャリアとして楽しみでやっていらっしゃるのだろう。みなさん若々しくて、実年齢よりはかなりお若く見える。
メンバーの中で私が面識のあるのは所長さんと事務担当の女性の2名だけだったので、どうなることかとかなり不安を感じての参加だったのだが、女性陣が楽しい方々ばかりで、年配の男性も気さくな方々だったので、思いがけず非常に楽しい時間を過ごすことができた。
私は会社員時代から宴会というものはあまり好きではなかったのだが、こういう雰囲気ならまたの機会があってもいいなと感じるような宴会だった。まぁ、正職員ではないという気楽さもあるのだろうが。

横浜国際女子マラソン

それにしても惨憺たる結果と言わざるを得ない。それは昨日の横浜国際女子マラソン。
まるで時代が 20 年以上遡ってしまったのではないかと錯覚するようなレース内容で、しかも日本人トップは5年ほど前に距離スキーからマラソンに移ってきたという野尻あずさ選手。
野尻選手個人の努力は素晴らしいとは思うが、陸上競技経験の無い選手。しかも 20 代の半ばを過ぎてからマラソンを始めた選手が、国内メジャー大会で日本人のトップになるなんて、いったいどういうことなのだろう。しかもこんな平凡なタイムで(2:28:47)。
一時期、男子マラソンがなかなか2時間10分を切れる選手が出なくて低迷していた時期があったが、今まさに女子がその状態に陥っている。男子は川内優輝効果で若干上向き傾向になっているが(世界のトップとはまだまだ差が大きいとは言え)、女子は地盤沈下に歯止めがかからない状態だ。
私自身は陸上競技の経験は無いので、現場の実態のようなことはよくわからないが、かつて世界のトップレベルで戦った選手や指導者に言わせると、今の選手は練習量がその当時に比べるとかなり少ないらしい。
マラソンの練習というのは量と質のバランスが大切で、単に距離ばかり踏めばよいというものでもない。世界的に見ると日本選手の練習量はかなり多い方で、ケニアやエチオピアの選手などは月間 1000km も走るようなことはあまり無いらしい。しかし練習時のスピードはかなり速いらしい。しかもクロカンのような不整地を走ることが多いようだ。
福士選手が初めてマラソンに挑戦した時、夏場にエチオピアへ行って、ゲブレシェラシエなどの練習に参加させてもらったらしい。その時の彼らの練習パターンを真似て、量よりも質を重視した練習で臨んだところ、終盤に大失速して惨敗したという話を聞いたことがある。
やはり民族によってその体力や筋力などは特性があるのだろう。かつて世界レベルで活躍した日本選手で、月間 1000km に及ばない程度の練習量だった選手というのは聞いたことが無い。強いて言えば川内選手がそれに該当するのかも知れないが、日本人としてはトップレベルではあっても世界との差はかなり大きい。
藤原新選手もオリンピック前はスピード重視の練習メニューにしていたようだが、本番では惨敗した。
これまでの実績を見る限りでは、日本人はたっぷり走り込まないと、マラソンをきっちり走りきれる脚は作れないようだ。逆に言えば、練習でしっかり走り込めば、スピードはそれほどなくても世界と戦えるレベルまで行ける可能性があるということになる。
渋井陽子はトラックでもスピードのある選手だったが、高橋尚子や野口みずきはトラックの 5000m は 15 分台前半のレベルだ。これくらいのレベルの選手は今でもいくらでもいる。
世界のマラソンが高速化しているということで、トラックでのスピード強化にも重点が置かれているようだが、マラソンに向いているような選手は若いうちからどんどんマラソンに挑戦させれば良いのではないだろうか。
あとは駅伝との兼ね合い。実業団ではどうしても駅伝重視にならざるを得ないので、このあたりを指導者がうまくスケジュール調整する必要があるだろう。
しかし最後に重要なのは、スター選手が登場すること。最近の選手は一度いいタイムを出しても、後が続かないので、日替わりメニューのように日本人トップが変わる。変わらなければタイムが平凡。
普段、トラックレースで競っている相手がマラソンで好結果を出すと、自分にもできるのではないかという気持ちになれると思う。そういう好循環が生まれてほしいと思うが、福士選手がまたマラソンを走るかどうかはわからないし、彼女ももう若くない。それに彼女はトラックではダントツだったので、他の選手から見れば別格と映るかも知れない。
新谷仁美選手がまたマラソンを走ればおもしろいと思うが、どうもまだあまりその気は無いようだ。ただ、トラックで世界のトップと戦うのは非常に厳しいと思うので、世界レベルでの勝負がしたいのであればやはり早めにマラソンに軸足を移すべきだろう。そうしないと弘山晴美のように、初マラソンが自己ベストで終わってしまう。

倦怠感

六甲縦走キャノンボールランが終わってから、心身とも倦怠感が抜けきれない。淀川市民マラソンを棄権したこともそれを後押ししているようだ。
3月のキャノンボールランの後も少し燃え尽き症候群のような状態になったが、それでも2週間後にはダイトレをレースで走った。
9月には八ガ岳スーパートレイルで、途中リタイアとは言え 97km まで行って、10月にはキャノンボールということで、もともとレース参加頻度があまり高くない私にしては、ビッグレースが続いたせいかも知れない。
冬場はトレイルレースはシーズンオフということで、当分トレイルレースの予定は無い。こういう時こそ一人でゆっくりとロングコースを楽しみたいのだが、高い山はそろそろ雪なので、行き先も限られてくる。
明日は久しぶりに競技場での練習会。日曜日はどうするか、いまだに予定が決まらない。

ボランティア

今日は淀川で開催された大阪リバーサイドマラソンのボランティアに参加してきた。あいにくの雨模様だったが、降ったり止んだりという感じで、予想していたよりはマシだった。
仲間内のような小さな大会は別として、千人以上も参加するような規模の大会でボランティアをやるのは、30年近いランニング人生でも初めてのことだった。
事前に詳しい事情を聞いておかなかったので、終了後は弁当でも出るのかと思っていたら、受け付け時におにぎりやパン、飲み物などの昼食セットが渡されて、仕事に差し支えのないような時に自由に摂るようにとのこと。実質的に制限時間の無いような大会なので、最終ランナーは午後2時を過ぎる。
私が配置されたのは3kmの折り返し地点。3km部門の時は折り返しのコース誘導を行うが、それ以外の時は通り過ぎるランナーへの声援が仕事だ。会場に近い場所なので良かったと思っていたのだが、実は仕事時間が非常に長くなるということに後になってから気が付いた。
それにしても10kmやハーフでは、スタート直後なのにすでに歩いている人がいたのにはちょっと驚いた。いくら何でも、と思ってしまう。
折り返してからは残り1.5km地点になるので、機嫌の良さそうな人はこちらを見て微笑んでくれたり、お礼の声を返してくれたり、中にはハイタッチをしようとしてくる人も何人かいた。
ハーフではスタートしてから2時間15分くらいになるとだいぶ疎らになってきて、大半のランナーが歩いている。みなさんに拍手して、声をかけるようにしたのだが、これがプレッシャーになったのか、私に近づくとそれまで歩いていた人がゆっくり走り出し、通り過ぎて少し行くとまた歩いているという光景を何度も見かけた。
正直、私自身がマラソンの終盤でつぶれて歩いてしまった時、沿道から声援をいただくのはあまりうれしくなかった。しかし今日はスタッフという立場なので、やはり声援を送らないわけにはいかない。
自分が走る時は、参加費を払っているとは言え、多くのボランティアの人たちのお世話になっているので、たまには自分がサービスを提供する側にもならなければならないとずっと思ってきたので、初めてとは言え、ようやくお返しが少しできて良かったと思う。
ゴールを目指して最後の努力をされている姿は、タイムの遅い速いとは関係無く、すべて美しいものだったと実感した。
今日、あまり良くない天候の元で走られたランナーのみなさん、どうもお疲れ様でした。

困ったYouTube

私は子供の頃からずっと音楽に親しんでいる。
小さい頃にピアノを習っていたせいで、その頃はクラシックが好きだったが、徐々にポップス系を好むようになって、二十歳の頃にはジャズ、ブルース、R&Bなどの黒人音楽系がメインという、今の趣向の基本が出来上がった。
自分でレコードを買うようになったのは高校生になったくらいの頃からだったが、その頃はもちろんレンタルなどはなく、好きなものを好きなだけ聴きたいと思えばレコードを買うか友人に借りるか、もしくは FM 放送を録音するくらいしか方法が無かった。
その頃でもレコードはだいたい1枚2000円くらいだったので、高校生の小遣いでは月に1枚買えるか買えないかくらいで、新しいレコードを買ったら帰ってすぐに少なくとも2回は繰り返し聴いて、ちょっとこれは気に入らないと感じても、何度も繰り返して聴いて無理矢理好きになっていた。買って1週間もすれば、最初から最後まですべての内容を覚えてしまうというのは当たり前のことだった。
レンタルが普及してからも、好きなものは自分の手元に置いておきたいという気持ちが強く、レンタルでどんどん借りては返すというようなことはしなかったし、YouTube などのメディアが普及してからも、アルバム志向の私は数分程度の細切れ演奏などはあまり親しんでこなかった。
ところがいつの間にやら YouTube では2時間にも及ぶような長時間のものがアップされるようになっているではないか!! しかもレンタルにはあまり無いような、私好みの古いレアなものまでたくさんある。
これらを見つけた時は、最初はこれはありがたいと思って、いろいろと視聴したのだが、あまりにもたくさんありすぎて、どんどん目移りしてしまう。少しでも退屈な部分が出てくると、さっと次のものに移ってしまう。
こんな聴き方ではその音楽の本当の良さに触れることはできないだろうなと思いつつも、ついつい目移りしてしまうのだ。だって、そういうメニューがずらっと並んでいるのが目に入るのだから。
こんなものが簡単にタダでどんどん手には入っていいのだろうかと不安になってしまう。今時のミュージシャンはどうやって生活しているのだろうと、余計な心配までしてしまう。おそらくスタジオミュージシャンなどを使わずに、PC の打ち込みだけで CD を作ってしまうというようなこともたくさんあるだろう。
聴く方も、昔のように腰を落ち着けてじっくりと聞き込むというより、ざっと聞き流して、耳に残ったものだけを聞き返すというような聴き方になってしまうだろう。
私が聴く音楽は大半が 60 年代から 70 年代で、それ以降はぐっと少なくなる。演奏自体は新しいものでも、ベテランミュージシャンが古い曲をカバーしたりしているようなパターンがほとんどで、最近登場したミュージシャンはほとんど知らない。
決して新しいものに対して偏見を持っているわけではないのだが、新しいものは聴いても印象に残らないし、変に凝っているものが多く、シンプルなサウンドが好きな私としては、どうも生理的に受け付けられないものが少なくない。
YouTube からダウンロードしたものも古いものばかりだが、目についたものをどんどんダウンロードしてしまうので、それをじっくりと聴いている時間が無いというのが実態だ。
こんなことではいかんなぁ〜と思いながら、Miles Davis の古い映像をあさっているのだ。

川上監督

川上哲治氏が亡くなられた。93歳ということなので、天寿をまっとうされたと言ってもいいのではないだろうか。
私の世代では川上氏の現役時代は知らない。何と言ってもジャイアンツの黄金時代、V9を率いた監督としての川上氏だ。私がプロ野球を一番熱心に見ていたのがV9の後半くらいだったので、川上監督の存在は強く印象に残っている。ついでにヘッドコーチだった牧野コーチも。
野球は素人なので、采配や技術的なことはまったくわからないが、とにかく川上監督の勝利への執念というのはその頃も非常に強く感じた。『石橋を叩いても渡らない』なんて称されたこともあったように思うが、とにかく盤石の采配で、長島監督のようなひらめき采配は一切無く、定石を堅実に積み重ねて勝利をつかみ取るという戦い方だったように思う。
ジャイアンツという球団は川上監督の残した資産を、まだ何とか受け継いできているのではないかと思う。その当時に比べるとやはり徐々にそういう文化は薄まってきているとは感じるが、まだまだ根底の部分で残っていると思う。私にとってはジャイアンツ・イコール・川上監督だ。
それに反して、そういう勝利への執念というものが極めて希薄なのがタイガースだ。タイガースはジャイアンツがライバルということになっているそうだが、ジャイアンツは本音のところはタイガースをライバルとは思っていないのではないだろうか。ドル箱カードなのでそんなことは口には出さないだろうが。
闘志を前面に出す星野監督時代は少しは違った雰囲気が感じられたが、就任期間が短かったせいもあるのだろう、あっという間に元の負け犬タイガースに戻ってしまった。要するに、そういう文化が定着していないということだ。
コーチを変えてどうなるというものでもないだろう。何よりも、フロントが本気で強いチームを造りたいと考えているようには思えない。随分以前のことだが、江本投手が『フロントがアホやから野球ができん!』と言ってクビになった事件があったが、あれはまぎれもなく事実だったと思う。
さて、私でも注目している今年の日本シリーズ。思った以上に楽天が善戦しているが、最後はジャイアンツの勝利ではないかと思っている。本音は楽天に勝ってほしいのだが・・・。

祭りだ、ワッショイ!!

いよいよ六甲縦走キャノンボールランが始まる。ワクワクしている!!
今年の3月に初めて参加した大会だが、こんなに純粋にワクワクするような大会に出会ったのは、これまでの30年近いランニング生活でも初めてのことだ。
しかしその理由は、これまでそういう大会に出会えなかったということではなくて、30年近い経験がそういう気持ちを素直に受け入れられるようにさせてくれたということだと思う。
ロードレースだとまだまだタイムに対するこだわりがあるし、トレイルでもダイトレや生駒チャレンジなどはやはりタイム第一だ。鯖街道はロード部分が多く、特に最後に賀茂川の河川敷を5kmほど走るので、きっちりと走りきりたいという気持ちが強く出る。
しかし六甲往復となるとさすがにそういうこだわりは少なくなる。もちろんタイムに対するこだわりが無いわけではないし、もし20時間以上もかかったらさすがにガックリくると思うが、この大会に関してはまず楽しみたいという気持ちが一番前面に出てくる。
片道のタイムトライアルではかつてそこそこのタイムを残しているので、もはやそんなものを目標にしても仕方ないという開き直りもある。
とにかく本当に楽しい大会なのだ。それがすべてである。

食品偽装

某大手ホテル系のレストランで、メニューの不適切表示があったという事件が、世間を賑わせている。食品偽装は何年か前に大きな話題になって、その年の漢字に『偽』という文字が選ばれたことがある。
最近でもコメの混ぜものやうなぎの産地偽装などの報道をよく見かけるし、表面化しているだけもこれだけ頻繁にあるということは、実態はその10倍以上はあると見ていいだろう。
私はこういう手合いのレストランに行くことは無いし、行きたいとも思わないので、どちらかと言うと冷ややかな目で見ている。消費者が苦情を呈するのはわからないではないが、その時においしいと思って食べたのであれば、もういいのではないかと思ったりする。少なくとも身体に害があるようなものを食べさせられた訳ではないはずだし。それに、こういう苦情を言うということは、実はその人は本当は味の違いがわかって選んでいたわけではないということになるのではないか。私が被害者ならむしろ黙っておきたいくらいだ。
もちろん今回の件に関してはホテル側に問題があることは明らかで、それなりの対処が求められるのは当然のことだが、それにしても料理に限らず、バッグやアクセサリーなどでも、『ブランド』に対して多くのお金を消費する人たちがこれだけたくさんいるというのはいったいどういうことなのだろう。私にはよく理解できない心理である。
もちろん私も何かを購入するときに、どこの会社の製品化というのは重要な要素の一つである。街で居酒屋などに入る時も、大手チェーンのような店であれば一応はその店のイメージを考える。
しかしその時の心理は、物品購入の場合は訳のわからないメーカーの安物で損をしないようにということがメインだし、居酒屋の場合はあやしげな食材と従業員の過酷な労働を強いて安くしている某チェーンのような店は避けるという、どちらかと言うと付加価値を求めるのではなくてマイナス要素をできるだけ排除したいということが主眼になっている。
食材にしても料理にしても物品にしても、一般的なイメージで平均的レベルのものであれば、今はそれほど大きな価格差は出ない時代になっていると思う。ごく一握り、付加価値を高めて高くなっているものと、逆になんらかの手法で非常に安く提供しているものがあるが、私はごく平均的レベルのもので十分なのだ。
ただ一度だけ、会社員時代に出張でアメリカへ行ったとき、帰りの空港の免税店で、たまたま使いやすそうな財布が目についたので、それを買った。それには値札が付いていなかったのだが、ブランドなどは知らないので、そのあたりに一緒に並んでいたものと同じくらいだろうと勝手に思ってレジへ行ったところ、実はそれらの倍くらいの値段でぎょっとしたのだが、すでにカードも出してしまっているので今更いらないとも言えず、致し方なく買って帰った。
それはカルチェの財布だったのだが、使えば使うほど味が出て手に馴染んで、10年くらいは使い続けたと思う。小銭入れや札入れも内側は布なのだが、10年経ってもすり切れもせず、この時はさすがにブランド物は値打ちがあると思った。
皮の薄いタイプだったので折れ目などが次第にすり切れてきて、買い換える時にも同じ物がほしいと思ってネットで探して同じようなタイプのものを購入したが、微妙にサイズが違って、結局1年も使わずにお蔵入りとなってしまった。やはりこういうものは手にとってさわってみないとダメだと思った。
それ以来、いわゆるブランド物には手を出したことは無い。

スポーツ中継の理想型

クライマックスシリーズなんてアホらしいと言いながら、楽天とロッテの試合は何度かテレビで観戦した。つい先ほど無事、楽天が優勝を決めたところだ。
クライマックスシリーズはシステムとしてはアホらしいと思うが、やっている選手は完全に本気モードだ。しかしそういったヒリヒリする雰囲気を味わおうと思うと、やはり会場に足を運ばなければならない。
しかし、それに近い雰囲気を味わえるテレビ中継が一つだけある。それは、
NHK BS プロ野球中継の副音声である。解説無しの会場音声のみ。
もう随分以前からやっているが、これはテレビのスポーツ中継の理想型だ。NHK なのでコマーシャルも入らないし、もうこれ以上求めるものは何も無いという理想の姿。
民放のスポーツ中継は試合かコマーシャルかどちらが主役なのかわからないくらいのコマーシャルが流れるので、耐えられなくなって切ってしまうことが多いし、何とかそれに耐えてもアナウンサーの不快な絶叫に気分が悪くなって、たいがい音声を消して画面だけを見ている。
それに較べるとこの NHK BS のプロ野球中継副音声は本当に素晴らしい。これならあまり興味の無いクライマックスシリーズでも見てみようかという気になる。
しかし日本シリーズはジャイアンツと楽天の対戦になって本当に良かった。これで NHK BS で中継があれば見てみたいと思う。ぜひ初戦、おそらく楽天は田中の先発だと思うので、NHK BS で中継してほしい。
余談だが、やはり星野監督の采配は私にはよくわからない。かなり浪花節的な性格の人なんだろうか。ファンは喜ぶかも知れないが、こういうところで田中を出すのはいかがなものか。レギュラーシーズンの優勝決定試合もそうだったけれど、こういう1イニングはいろんな意味で疲れが大きいと思うし、元来が先発完投型のピッチャーなので、やはり普段通りの押さえのピッチャーで締める方が、押さえのピッチャーにとっても良いと思うのだが。