故障の不安を抱えながらの鯖街道ウルトラマラソン。やはり左膝の痛みに何度か襲われて、一時は途中リタイアも覚悟したが、何とかごまかしごまかしで完走することができた。
昨年より参加者が 150 名ほど増えているということで、公園のテントの場所があるかどうか少し心配だったが、土曜日の夕方6時前に到着した時はまだ十分にスペースがあった。
食事は持参してきているので、テントを張ったら早々に夕食にした。
夕食を終えたら早々にシュラフにもぐる。ちょうど睡魔が襲ってきたので、寝られるうちに寝てしまおうと思った。
このところレース前の車中泊などではあまりよく眠れないことが多いのだが、今回はしっかりと熟睡することができた。
朝はさすがに寒かったが、日中は好天で気温が高くなることが予想されるので、上は半袖のTシャツ、下はランパンにした。スタート場所までは捨てるつもりの長袖Tシャツを羽織って行く。
スタート地点では、以前にこの大会を2連覇したクラブの若手と、全盛期は過ぎたがまだまだトップレベルの実力者に出会う。私はとにかく故障が出ずに完走できることを祈るのみだ。とは言っても今回は2回目なので、そこそこは攻めてみるつもり。
スタートしてしばらくは平坦なロードを行く。キロ5分台前半くらい。運悪く何度か信号で止められたが、さほど大きなロスではない。
国道を渡って、いよいよ最初の峠への道に入る。徐々に上り勾配になって、最初のエイドは 9.5km あたり。54 分くらいだった。
次第に登りが急になってきて、このあたりでは歩き始める人も現れてくる。さすがにこの程度で歩く訳にはいかず、山道への入り口までは走り続ける。
山道へ入ったのは 1:43 くらいだった。昨年より攻めたつもりだったが、昨年は 1:35 でここまで来ていた。
ここからは渋滞するということを何度か聞かされていたが、昨年同様、今年も渋滞ではない。ランナーは続いているが、おおむね走力が同程度の人がかたまっているようで、ちょうどいいペースで引っ張られている感じ。
ジグザグになっている箇所は適当にショートカットして行く。
一旦、林道に出る。昨年はここにエイドがあったが、今年は無い。
稜線に出ると素晴らしい展望が開けるが、これからは滑りやすい下りなので、足元に注意しなければならない。
山道の下りはガンガン攻める。と言うか、流れに乗って走らざるを得ない。転倒するかどうかギリギリというスピードだ。
ようやく下りきって、小川を渡って車道に出る。昨年はここにエイドがあったが、今年は無し。しばらく言ってようやく百里のエイドに到着した。
久多までは 20km くらい、延々とロードが続く。単調でおもしろくない区間だ。
故障の不安をすっかり忘れていた頃、突然左膝に痛みが走った!!。思わず立ち止まり、ストレッチをして2〜3歩走ってみるが、痛みがひきそうな気配はない。この痛みが出ると、簡単には治まってくれないので、この時点で今回はここで終わりだと思った。
しかしリタイアするにしてもエイドまでは自力で行かなくてはならない。手前のエイドに引き返した方が近いかもと思ったが、とにかくしばらく歩いて先へ進むことにした。クラブのベテランの人に抜いていかれた。
しばらく歩いていたら、歩きでは痛みが出なくなっていることに気が付いた。そこで、少し走ってみた。ゆっくりなら何とか走れそうだ。歩いていたのは 10 分くらいだろうか。とにかくリタイア案は一旦却下して、行けるところまで行こうと思い直した。もし久多まで行ければ、登りは何とかなるはずだ。
なぜかヒザの痛みはすっかり消えて、またキロ5分半くらいのペースに戻っていた。さっき抜かれたクラブの人が、前に見えてきた。かなりペースダウンされている感じ。一声掛けて、抜いて行く。
半鯖との合流点が見えてきた。昨年は半鯖ランナーが来る前にここを通過したのだが、今回はすでに速いランナーが通過している。
久多のエイドには 4:30 くらいで到着した。昨年は 4:10 くらいだったが、ヒザのトラブルを考えればこの程度のタイムロスは仕方ないだろう。いずれにしても今回はタイムを追いかけるのはもうムリだ。
オグロ坂峠に到着したのは 5:27 くらい。結構体力を消耗している。八丁平からの下りはスピードに乗れなかった。
この先、例年のコースが昨秋の台風による道の崩壊で、林道を迂回するコースに変わっている。おかげで 1km ほど長くなるらしい。
林道はしばらくゆるい登りが続く。このくらいなら走りのリズムで行きたいところだが、もう体力の余裕が無い。下りになって山道に入ったら、瞳孔がしっかりコントロールできずに目の前が白くなる症状が現れた。かつて、マラソンのラストでこういう経験をしたことが何回かあるが、低血糖で頭にも十分なエネルギーが供給されなくなってきているのだ。
このまま下りを走る続けるのは危険なので、うしろにランナーが来たらどんどん先行してもらうようにした。と同時に、これから先の行程に不安を感じた。まだまだ 20km 以上残っているのだ。
コース脇の小さな小川で顔を洗って水を飲んで一息ついたら、ようやくエイドが現れた。ここではパンやバナナ、キュウリにオレンジなどをたっぷりと補給した。
気分も少し落ち着いて、やや食べ過ぎぎみで再スタートした。胃が重いが、おかげでずいぶん体力が回復した。またそこそこまともに走れるようになっていた。
しばらく荒れた林道を行って、大見尾根のだらだら登りに入る。最後の登りだが、なかなかつらい箇所だ。平坦な箇所では走るようにする。
約 57km の杉峠エイドにようやく到着した。この後、鞍馬までの急な下りが最後の難関だが、もう登りは無い。久しぶりに時計を見てみたら、いつの間にかバッテリーが切れていた。先月のウルトラに続いて、またもや時計無しの走りとなった。
ロードの急な下りというのはヒザに一番こたえる。しばらくするとやはり左膝に違和感が出てきた。爆発寸前という感じ。何とか持ちこたえて、鞍馬のエイドまであと 1km という表示が出たところで、ついに爆発。たまらず歩く。
少し歩いていたら、道の右側に女性が一人で私設エイドを置いておられる。そこに消炎鎮痛剤のスプレーのようなものが見える。それに惹かれて立ち寄ったところ、やはりエアサロンパスのスプレーだった。
ここでスイカを一切れいただいて、おまけにスプレーをいただいてしまった。サンプルの小さいもののようだが、これなら持っていてもほとんどじゃまにならないし、非常にありがたかった。
ヒザにスプレーをかけるとまた少し走れるようになって、鞍馬のエイドに到着。ここまで来れば、ペースさえ間違えなければおそらく完走できるだろう。後はヒザがこれ以上ひどくならないことを祈るのみだ。
交通量の多い狭い道をしばらく行って、市ヶ原のエイドへ。ここから少し緩い登りを上がって、賀茂川へ向かう。このあたり、昨年は無かった私設エイドがいくつかあって、そのたびに立ち止まって休憩した。
エイドで時間を聞こうと思いながら、エイドを出てからそれを思い出すということの繰り返しで、タイムがまったくわからない。おそらくゴールタイムは9時間から9時間半くらいだろうと思う。
いよいよ賀茂川の河川敷に入ってきた。残り約 4km。
天気が良いので家族連れなどたくさんの人で賑わっている。そんな人たちが、さかんに声援を掛けてくれる。ありがたいのだが、正直言って返事を返すのがしんどい。
橋を渡って、残り 1km。昨年はこのあたりはヨレヨレ状態だったが、今年はまだまだしっかり走れている。ラストはギアチェンジしてトップスピードに上げてゴールしたが、時計の 9:30 という数字を見た瞬間、がっかりした。
昨年の 8:38 に較べると1時間近くタイムが落ちた。今年はコースが少し長くなっているので、その分を考慮すると落ち分は 45 分くらい。ヒザ痛で歩いた分も除くと、実質的な落ち分は 30 分くらいだろう。
この原因は明らかで、昨年に較べると練習量がぐっと少ない。昨年は年明けからほとんど毎月 500km ほど走っていたが、今年は平均でも 400km に満たないくらいで、先月は故障もあって 300km ほどしか走っていない。
それでも先月のウルトラ 100km,昨日の鯖街道 77km が完走できたのは、これまでの貯金が少しはあったからだろう。
次のターゲットは7月のおんたけウルトラ 100km。これは自分としても今年のメインターゲットにしている。目標タイムは 14 時間以内。
もうそれまでは大会の予定は何も無いので、今後はこれまでの練習不足を取り返すつもりでじっくり走り込んで行きたいと思う。