おんたけウルトラトレイル

2年越しの目標だったおんたけウルトラトレイル。結果は、目標ではあったけれどまずムリだろうと思っていた 14 時間台で 14:55 くらいだった。機械の故障で完走証は後日郵送とのことで、正確なタイムはまだ不明。

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※gps 不調のため部分的にトラック欠落
天気予報では曇り時々雨、もしくは時々晴れというような不安定な感じだったが、快晴になると時間のかかるランナーには暑さが厳しいようなので、大雨でなればこれくらいがいちばんいいかも知れない。
土曜日は道中、一時土砂降りの大雨。現地に着いてからも一時かなりの雨だったが、夜には止んでくれた。
夜中の0時スタートなので、食事はノンアルコールで我慢する。食後、少しでも睡眠を取っておこうと横になったが、はやりまったく眠れない。しかし4時間ほど目をつぶって横になっていたので、身体は休めることができたと思う。一時会場の方向が騒がしかったが、20 時に 100 マイル部門がスタートした時だったと思う。
今回は自分としては真新しいスタイルで走る。上は暑さを想定してノースリーブのジップシャツ。ただし雨も有り得るのでインナーにファイントラックのメッシュシャツを着ておく。下は今ポピュラーなトランクスタイプの短パンにした。タイツではぴったりしすぎて暑そうだが、ランパンではちょっと・・・という気持ちだった。それにふくらはぎに圧着ストッキングをはいた。
OSJ の大会のエイドの貧弱さを想定して、ジェルや大福餅など、補給食はしっかり用意した。
スタート前のコース説明では関門通過のためのポイントのようなことがしっかり説明されて、こういうのを聞いていると他人事ではないという気持ちになってくる。アクシデントでもない限りは関門にひっかかることは無いと思っているのだが、なんせ初めて走るコースなので、起伏の程度などは走ってみないとわからない。
予定の午前0時に 1000 人余りで一斉にスタートする。昨年までの参加者のブログなどでは装備チェックがあったように書かれていたので、必須のものはしっかりと用意してきたのだが、そうは見えない軽装のランナーがたくさんいる。今回は装備チェックは無かった。
昨年まではこの会場から少し離れた場所がスタート地点で、そこまでバスで移動していたようだが、今年からはコースが変わったらしい。事前のバス移動は面倒なので、この方が断然良い。
しばらくは舗装道を行く。登り傾斜になって、しばらく行くと未舗装の林道に入った。横幅2〜3人分程度の道幅。少し小雨が降ってきた。ノースリーブなので少し寒いが、そのまま行く。
10km は 1:29。登りということを考えるとまずまずのペースだ。登りは適当に歩きで行こうと思っていたが、これまではずっとジョグのリズムで来ている。ちょうど息が上がらない程度の快適なペースだ。
10km を越えると下りになる。傾斜も適度なので、自然とペースが上がる。また登りになって少し行くと 20km ポイントだった。が、何と gps が止まっている。時間的にはこの 10km は 1:12 くらい。
再度 gps をスタートさせたが、この後何度も同様の現象に出会うことになってしまった。おかげて今回は全体のトラックやタイムがまったく得られなかった。
最初のエイドは何と水のみ。さすが OSJ!!。何人かが並んでいるのを見て早々に通り過ぎる。そして歩きながらジェルを補給する。今日、初めての歩きだ。
ついでにコース状況をチェックしようと思って、コピーしてきた小さな高低図を出そうと思ったところ、それが無くなっていることに気付いた。スタート前に見ていた後にザックに入れたとき、変な場所に入れてしまったようで、そこはポケットではなく底の抜けている箇所だったようで、走っている間に落ちてしまったようだ。
全体的な高低は頭にイメージが入っているが、関門の箇所の正確な場所までは記憶していない。仕方ない。
第1関門は 33km だが、関門に近づいたあたりから少しずつ疲れを感じてきた。それまでずっと登りもジョグのリズムで走ってきたが、このあたりで初めて歩きを入れる。奥熊野の時はエイドが頻繁にあったので、そのたびに自然と休憩することができたのだが、エイドが無いと止まるタイミングが無い。ペースは遅いとは言え、長丁場なので適度に休憩を入れないと持たないような気がする。
30km の標識は気付かず、第1関門のタイムも忘れてしまった(公式タイムが公表されたら記載されるはず)。
第1関門ではおにぎりがあったので、水で流し込む。ただの塩むすびだが、少し暖かさが残っていておいしかった。
5分程度の休憩で再スタートする。スタート前の説明によると、第2関門(65km)に引っかかるランナーが多いらしい。第1関門から第2関門の間はかなり走れるコースなので、ここをしっかり走るようにしてほしいということだった。
確かにしばらく下って、その後はわりとフラットな場所もあり、40km のタイムは忘れたが、50km は 7:04 くらいだった。このままのペースなら 14 時間台だが、コース状況を考えると後半はかなりペースが落ちると考えなければならない。しかしうまくいけば 15 時間台はいけるかもと思った。
三浦貯水池のそばの道は完全にフラットで、道も走りやすいおだやかなコースだったが、いかんせんすでに 50km 以上走ってきているので、気持ちとは裏腹に足は進まない。
池を離れると道はまた登り勾配になってきた。これでは 16 時間くらいかかってしまうのではないかという気持ちも浮かんできた。休憩も兼ねて、ゆっくり歩きながら大福モチをほうばった。
登りが続くと右股関節に痛みが出てくる。下りが続くと左膝が怪しい。これを繰り返しながらも何とか爆発はせずに持ちこたえていた。
第2関門(65km)に入ったのは 9:48 くらいだっと思う。ここの制限時間は 12 時間なので、たっぷり余裕を持って入ることができた。
ここではドロップバッグを受け取って、コーラを飲んだ。晴れていないおかげでそこそこおいしく飲めるくらいの温度だった。この時、このところ不安だった腰の痛みを感じたが、それほど強いものではない。
それにしても大きなポイントになる関門のエイドだと言うのに、飲み物は水のみ。あとはバナナとオレンジ、パワーバーを小さく切ったものだけ。
水を補給して、一度靴を脱いで入り込んだ砂を出して、10 分少々の休憩で出発した。出発前のコース説明で第2関門から第3関門が結構厳しいというようなことが言われていたような気がして、それが頭にこびりついていたのだ。
実際のところはそれほど厳しくはなかった。これまでとほとんど同じような感じで、80km の通過は 12:02 くらいだったように思う。あと 20km を3時間で行ければ 15 時間を切れる。この時に初めて 15 時間切りを少し意識した。
左膝、右股関節、腰と次々に違和感が襲ってくるが、何とか小康状態を保っている。
第2関門から第3関門までは 2:10 くらいだった。事前の説明でこの間を2時間半はかなり厳しいという言葉があったので、3時間くらいを想定していたのだが、どうもこれは第2関門を制限ギリギリくらいで通過した人の場合のようだった。
第3関門のエイドではそうめんがあったので、2杯いただいた。しかしこれもネギすらない、ただのそうめんとダシだけ。
第3関門のすぐあとの登りはこのコースでもっとも厳しいものだった。ここで 15 時間切りはもうムリと観念した。おまけに陽が差してきて暑い。しかし残りの距離を考えると 15 時間半くらいはいけそうに思った。うまくいけば 15 時間台前半もいけるかもと思った。これなら十分満足できるタイムだ。
干し梅やジェルなどを補給しながら緩い登りは何とかジョグのリズムで上がった。
以前から薄々とは気付いていたが、今回はっきりと認識したのは、とにかく私は登り坂の歩きが遅いということ。緩い坂で多くの人が歩くような場所でもゆっくりジョグで上がれるのだが、それ以上の傾斜になって歩きになると、一気に周囲よりも遅くなる。ダベりながら歩いているような人たちにも簡単に抜かれていくのだ。
90km までの 10km はエイドでの休憩やエイド直後の登り坂などのせいで、1:40 少々というところだった。しかし残り 10km で 15 時間までは 1:10 分ほど。ここからはずっと下りで、終盤はロードに出るということを考えると、15 時間切りも不可能ではないように思われた。
ここで気持ちが切り替わった。と同時に、突然強い雨が降ってきた。しかしこの雨がさらに私の気持ちにスィッチを入れてくれた。近くの人たちはみんな雨具を出しているが、雨具を着る時間が惜しいので、止まらずに進む。いずれにしてもこれからは下るのみで、ゴールすればそれで終わりだ。濡れたって構わない。
しばらく行くと最後のエイドが現れた。ぱっと見たところここも水のみ。残りの距離を尋ねたところ、あと 7km 弱とのこと。時計と見比べると、残り 7km としてキロ6分で行くとちょうど 15 時間だ。行くしかない。幸い、雨も止んでいる。
しかしこの直後、緩い登りになった。走れる程度の傾斜だが、どう頑張ってもキロ6分以上はかかる。ちょっと気持ちが萎えたが、何とか気持ちを切らさずにゴールを目指す。このあたりではもう頭の中は 15 時間切りということだけで、これまですでに 90km 以上走ってきたことなどすっかり忘れてしまっていた。
ちょうど昨年の鯖街道の最後がこんな感じだった。賀茂川の河川敷に下りて残り 4km になって、予想外の快調さでどんどんペースアップした。が、この時は残り 2km になって持ちこたえられなくなり、最後の 1km はフラフラ状態に陥ってしまった。
ついに車道に出た。残りの正確な距離はわからないが、時間はまだ 30 分近くある。ほぼフラットは道が続き、前方にランナーが何人か見える。私を抜いて行く人もいるが、追えるだけの余裕は無い。
さすがにこのあたりになるとラストスパートの疲れが出てきて、ちょっと弱気な気持ちもちらついてきた。見通しのきく場所でずっと前にランナーが見えると、諦め気分も湧いてくる。
前方に登り坂が見えた時はもうダメだと観念した。残り時間はあと 10 分ほど。会場に入る橋はまだ見えない。
登り坂を上がり切ると、待望の会場への橋が右前方に見えた。この橋の入り口がちょうど 100km 地点だった。と言うことは、実際は 100km 少々あるということ。100km なら 15 時間を切れていたということにしておこうという気持ちが頭をよぎったが、ここで 14:52。15 時間を切れる可能性を大きく感じた。
橋を渡ると右に曲がって、駐車場への登り坂になる。残り距離がよくわからないのだが、あと 1km は無いはずだ。15 時間を切れると思ったが、必死の思いで登り坂でギアチェンジして、本当のラストスパートに入った。
この時点でこんな走りができていることが自分でも信じられなかった。キロ4分台まではいっていないと思うが、5分少々くらいにはなっているはずだ。最近はマラソンのラストでもキロ6分くらいかかると言うのに。
奥熊野の時と同じく、最後は帽子とサングラスを取って、両手を挙げてゴールした。ゴールゲート上のタイマーは 14:55:?? だったと思う。