第11回六甲縦走キャノンボールラン・復路編

ビヴィシートは思いのほか暖かかった。眠ってしまったら起きられなくなるのではないかと心配したが、寝入ることはなく、7時過ぎには起きて復路の準備を始めた。
持参した総菜パンとカロリーメイトを食べ、BCAA タブレットとヴァーム、気休めにとバッファリンを飲んだ。
定刻の8時に復路をスタートする。暑くなりそうだがウエアは往路のままで、上はノースリーブのドライメッシュシャツと長袖ジップシャツ、そして手袋。下は膝下までのスパッツとふくらはぎのストレッチストッキング。靴下は交換した。
スタート直後に狭い階段に入るので、極端な渋滞を避けるために少し前の方に並んだ。昨年は後ろからスタートしたので、ここでの渋滞がひどくて車道を大回りしたが、今年は階段をゆっくり上る。これくらいのペースがちょうど良い。
石段を登り切る頃にはすでに汗びっしょりという状態になっていた。今日の暑さはかなりのものになりそうだ。
高倉台の住宅街の歩道橋の登りは、昨年はジョグのリズムで上がったような記憶があるが、今日は走るだけの余裕が無い。ピーコックの自動販売機では早くもジュースか何かを買っている人が何人かいる。
400 段階段はちょうど往復で疲れている人がすぐ前にいたので、その人のペースでついて行く。道には前の人たちが落としたであろう汗のしずくが随所に残されている。昔はこの階段もジョグのリズムで上がりきったことなどを思い出しながら、何とか余裕を残して登り切った。
2カ所のショートカットはしっかりと利用して、須磨アルプスのエリアに入る。
今回の最大の失敗は、小石よけのスパッツを忘れたこと。往路でも途中から靴に入り込んだ小石が気になって、一度脱いで小石を出そうかと何度も思ったが、どうしても走れないほど大きなものは無かったので、何とか最後まで脱がずに走りきった。
このところ好天が続いているせいか、道が渇いていて小さな小石や砂などがさらさらと舞い上がりやすい。足を蹴った直後にカカトのあたりから小石が入るのがしばしば感じられて、特に風化した花崗岩の須磨アルプスのような場所ではそれが顕著だ。
靴の中が気になるが、どうせ脱いで小石を出してもすぐに同じような状態になるに違い無いので、走れないほどの大きな石でも入らない限りはがまんして行く。
妙法寺の住宅街では期待通りジュンマンエイドでコーラを2杯いただく。
大きな交差点はちょうど青信号だったので、ダッシュで何とか渡りきった。しかしそこ以外はスロージョグで、どんどん抜かれるばかりだ。車道では右股関節が痛い。
いつものショートカットで山道に入り、正式ルートに合流する。こういう登りになると周りとほぼ同じくらいのペースで、どちらかと言うと時々道を譲ってもらうようになる。
肉体的な疲労感は、スタートして4時間くらは徐々に疲労が蓄積してきて、その後はほとんど同じような状態がそのままずっと続く感じ。ペースは上げられないが、これくらいのペースならまだまだずっと歩き続けられる感じがする。
高取山の公園では水をたっぷり飲んだ。上に吹き出す水道だけなので、ボトルに補給することができない。
丸山の住宅街は須磨からだと迷うことは無い。安そうな自動販売機を探して、スポーツドリンクを買っておく。摩耶山くらいまでは今のもので行けそうだが、摩耶山の自動販売機は高そうな気がする。
水道局のエイドではおでんやフルーツポンチ、コーラ、お茶などをたっぷりいただいた。
この少し先で天然水をボトル満タンにして、いよいよ菊水山の登りにかかる。案の定、ハイカーの列に巻き込まれて先へ進むことができないが、止まってしまうほどの渋滞ではないので、まぁいいだろう。
しばらく行くとハイカー集団が道を譲ってくれて、また自分のペースで進めるようになった。六甲のハイカーはトレイルランナーに対して割と理解があるように感じる。このエリアは昔からそういうことをする人がめずらしくなかったせいもあるだろう。
菊水山はスタートから約3時間半で通過した。須磨スタートならおおむね3時間くらいなので、これくらいの遅れは想定内だ。
この先の走りやすいルートも、前のランナーがそこに入ってくれたおかげで間違わずにすんだ。昨年はここを見落として直進してしまった。距離的にはほとんど変わらないが、こちらのルートだとずっと緩い下りで行けるのだが、本道を行くと一度どんと下って、また登り返さなければならないのだ。
往路にあったエイドは復路では無かった。そして天王吊り橋を渡って鍋蓋の登りへ。
昨年は鍋蓋の登りでくたばってしまって、頂上手前の道ばたで腰を下ろしてしばらく休憩した。今回はそういうことにはならなさそうだ。
復路では大竜寺にはエイドは無く、次のエイドは市ヶ原。昨年食べそこねたおかゆをいただく。しかしスプーン数杯くらいなので、あまり食べた気がしない。
ここでは地元の女性演歌歌手が生でオリジナルのキャノンボールテーマソングを披露していた。ここで買えば CD が 100 円とのこと。
いよいよ復路最後にして最大の難関、摩耶山の登りに入る。約1時間の登りだ。自分はこういうパートは得意だと自分に言い聞かせて、止まらないように一歩一歩足を進める。
上部になるにつれて大きな石を大股で登るような箇所が多くなり、一段と足が疲れる。立ち止まって一息入れている人もしばしば見かけるが、何とか止まらずに歩き続ける。
最後のヘアピンのショートカットが見えた。これでようやく登りが終わる。広い道を少し行って、掬星台のエイドに入った。スタートからほぼ6時間だった。
昨年はカップラーメンを食べ損ねたが、今年は残り二つのうちの一つにありつけた。具無しのチキンラーメンだが、お腹が空いてきていたので本当にありがたい。ついでに小さなあんパンも二ついただいた。
ラーメンを食べていたら、そばにおられたハイカーの方が話しかけてこられた。気さくないい感じの方で、こちらも楽しくしゃべっていたのだが、あまり長居もしていられないのでそろそろリスタートしたい。
適当に話しを切り上げて、水道で水を補給して先へ向かった。30 分近く休憩してしまった。
車道部分はできるだけ走りたいのだが、ここまで来るともはや緩い下りでもスロージョグ、登りは早歩きが精一杯だ。昔、タイムトライアルの大会に出ていた頃はおそらく、このあたりはキロ5分かもう少し速いくらいで駆け抜けていたのだと思う。
次のエイドはすぐに現れた。お腹は一杯状態だったが、ピザまんがあるということでそれをいただいて、歩きながらほうばる。
登山道をしばらく上って車道に出ると、またまたエイド。小ぶりのハンバーガーをいただいてザックに入れて先へ進む。
おそらく最後のエイドであろう一軒茶屋で何かをいただいて(何か忘れた)、いよいよ長い東六甲縦走路に入る。おそらくゴールは18時半くらいになるだろう。
東六甲縦走路は緩いアップダウンの繰り返しが多く、なかなか高度が下がらない。下ったと思うとまた登りで、疲れた身には本当にイライラさせられる。
樹林帯に入るとそろそろ暗いので、サイドポケットに入れておいたハンドライトを取り出す。いつの間にか前後には誰もおらず、完全な単独走状態になっていた。しかしこういうのは好きだ。
東六甲縦走路では数人くらいに抜かれたが、みんなかなりのスピードで下って行って、それだけの走力があるのなら何故こんな位置で走っているのだろうと不思議に思った。
塩尾寺に近づくと少し急な部分がある。ハンドライトを持っているとこのような場所では不便だが、ヘッドランプは電池が切れかかっているので仕方ない。
ようやく車道に出て、ショートカットの階段を下って、さらにショートカットの山道を下った。この山道は急な上に足元が悪いので、要注意だ。ここまで来てつまらないケガはしたくない。タイムよりも安全第一で慎重に下りて、ようやく住宅街まで下りてきた。
前方にローソンのある交差点の明かりが見える。関係者が何人かいるようだ。何とか今回も完走できそうだが、やはりと言うべきか、3回目ともなると感動のようなものはほとんど無い。あるのは安堵感、それだけだ。
湯本台広場のゴールゲートをくぐった時は、スタートから10時間53分が経過していた。

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