10 年くらい前は PRIDE(総合格闘技)の大ファンだった。
さいたまスーパーアリーナだけでも 10 回くらいは行ったと思う。
地上波テレビでも K-1 が人気があったし、大晦日は紅白のウラで格闘技中継が複数行われるというのが数年続いていた。
ところがある時期を境にして急速にブームが去ってしまった。
イベント主催団体の黒い噂などで一気にスポンサーが去ってしまったためだが、そのウラは日本での格闘技人気に対して本場アメリカの UFC が危機感を抱いたのではないかと思っている。
昨日(12/29)そして明日行われる RIZIN はまさに『PRIDE をもう一度!!』というノリの大会で、どうしてこの時期に突然こういうイベントを開催する運びになったのか、そのあたりの背景はまったくわからない。
PRIDE が熱かった時代を経験した人間からすると、かなり違和感を感じるイベントではある。
何を今さら、と言うのが正直なところだが、気になると言えば気にはなる。ただ、気になるのは勝敗ではなくて、明らかに力の衰えたベテランたちがどんな試合をするのだろうという、恐いモノ見たさのような感覚だ。
プロスポーツの世界で、力の衰えたかつてのトップ選手がいつまでも頑張っているのを見るのは楽しい。ただしそれはサッカーや野球、陸上などの競技の世界のことで、格闘技ではそうはいかない。
なんせこの世界では負けるということはリングに横たわるということ。シュートがはずれたり空振り三振したりするのとは随分印象が違う。
かつて輝いていた選手であればあるほど、そういう選手がリングに横たわっている姿は見たくないものだ。
個人的に、格闘技の選手で早く引退してほしい二大巨頭が長谷川穂積と桜庭和志。
彼らの全盛期にその試合を胸熱くして見ていた印象が強く残っているので、無様な姿は見せてほしくないのだ。
昨日の桜庭和志は予想を上回る無残さだった。10 年ほど前にヒカルド・アローナにボコボコにされた試合をさいたまスーパーアリーナで見た時のことを思い出した。
あの時と同様、今回もなかなかレフェリーがストップせず、結局セコンドのタオル投入で TKO という結果になった。
試合後に対戦相手だった青木真也選手が『もっと早く止めろ』というようなことをコメントしていたけれど、まったくその通りだと感じた。
桜庭選手のような特別なヒーローになると、試合で危ない状況になってもなかなかレフェリーが止めてくれない。おそらく早く止めるとファンからブーイングが出るだろうから、それを懸念しているのだと思う。
ヒカルド・アローナ戦は昨日よりももっと悲惨だった。頭部や顔面にヒザ蹴りを何発も入れられて、ドクターチェックで顔面が腫れ上がっているのに、それでもラウンド終了まで止められず、結局そこでタオルになった。
そう言えば連戦連勝を続けていた五味隆典がマーカス・アウレリオに敗れた時もそうで、肩固めを決められてもうほとんど失神状態なのに、なかなかレフェリーがストップしなかった。
五味隆典の時のように選手が全盛期の状態であればまだしも、昨日の桜庭選手のようにもはや往年の力はほとんど残っていないような状態であのような姿をさらさなければならないのは残酷だ。もちろん昨日の試合は本人も納得して受けたはずなので、誰の責任でも無いのだろうが。
青木真也選手が『後味が悪い』というようなコメントをしていたけれど、彼もあの状態で桜庭選手を殴り続けるのはつらかっただろうと思う。
かつて待望されながら実現していない青木・五味戦を青木選手がアピールしていたけれど、これももうタイミングが遅すぎる。桜庭選手ほどではないけれど、五味選手もかつての輝きはまったく無いし、おそらく本人のモチベーションももうあまり高くないのではいかと思う。
はっきり言ってこういうイベントはやってほしくないのだ。
往年の名選手の無残な姿は見たくないけれど、無料のテレビで放映されているとどうしても見てしまう。
さて明日、皇帝エメリヤーエンコ・ヒョードル選手がどのような戦いをするか、あまり見たくないけれどきっと見てしまうのだろう。