いよいよスタート時刻が迫ってきた。
今回のウエアは昨夜の寒さを考えて上は登山の時に着る夏用長袖ジップシャツとメッシュの袖無しアンダー。下は七分丈のタイツにカーフサポーター、薄いミトンにもなる指無し手袋。シューズはもちろん HOKA Rapa Nui 2s で、泥よけのゲイターを着用した。
※バッテリー切れで尻切れトンボ。
10 秒前からカウントダウンが始まって、午後3時ちょうどにスタートの号砲が鳴った。
スタートゲートが狭いので、号砲直後は通勤ラッシュの電車以上の混雑。押し合いへし合い状態でゲートを通過したのはほぼ1分後だった。
ゲートを越えたすぐの所に鏑木さんがおられて、さかんにハイタッチされていた。
三浦雄一郎さんの姿は確認できなかった。
会場を出るとすぐに湖岸の遊歩道に出る。このあたりから少し走れるようになってきたが、幅が狭くなるとすぐに渋滞する。
そこそこスムーズに走れるようになったのはスタートして5分後くらいからだっただろうか。
しばらくはフラットな遊歩道なのでそれなりのスピードで進む。と言ってもせいぜいキロ5分半くらい。聞くところによるとこのあたりはトップ集団は 100 マイルの時でもキロ3分半くらいで行くらしい。
当初は今回は時計は GPS 機能を使わないつもりでいた。早々にバッテリー切れになるのは明らかで、そういうことに気を取られるのがわずらわしいので、単に時計として使うだけのつもりでいたが、49km に短縮されたので、GPS 機能を使うことにした。ただしゴールまではバッテリーが持たなさそうだ。
スタートして約 4.2km、27 分くらい経過した時に、例の渋滞箇所に到着した。
道路を渡るまでは結局 15 分くらいだった。しかし道路を渡った直後にトレイルに入って、ここがすぐにシングルトラックになるので、ここでも同じように渋滞していた。ここにはシンガーソングドクターでランナーの福田六花さんがおられた(写真右端にチラッと)。
結局、そこそこまともに進めるようになるまでトータルで 30 分くらいかかったように思う。
まずは最初のピークの足和田山(1355m)を目指す。河口湖畔が 800m 以上あるので、標高差で 500m くらいだ。
足元は濡れているけれど、登りなのでほとんど気にならない。
しばらく登ったところで何人かの人が立ち止まっていたので何かあったのかと思ったら、思いがけず富士山を眺めることができた。
足和田山のピークを4時 53 分に通過した。
下りは難渋した。とにかく滑りやすく、粘土の中に足を突っ込んでいる感じ。ゴボウ抜かれした。
転倒されたのか、道ばたで介抱されている女性がいたが、横目で見て通り過ぎた。どうせ止まっても何もできない。
鳴沢氷穴のウォーターエイド W1(13km)には5時 29 分に到着。しかし本当に水しかなかったので、歩きながらジェルを補給しただけでスルーした。そろそろ薄暗くなってきた。
薄暗い中、青木ヶ原樹海を行く。一人なら不気味かも知れないが、前後にランナーがたくさんいるし、単にフラットなハイキング道を走っているというだけ。
樹海を出るとしばらくはバスの走る車道(歩道あり)を行く。やや下り基調で、ペースはキロ6分を少し切るくらい。
しばらく行ってトレイルに入る所でヘッドランプを出した。
ここから精進湖民宿村エイド A1(20km)まではわずかで、6時 21 分に到着した。大会が想定する最も遅い人が4時間という所まで3時間 21 分だった。おおむね期待通りのペース。
エイドでは精進湖すい豚とバナナ、パンをいただいて、5分で出た。
しばらくフラットなトレイルを行く。走りやすい道なのに、何故か歩いている人がちらほらと出てきた。「まさかラン禁止区間?」と思ってしまったけれど、案内にはそういう記載は無かったはずだ。
そんなところを 30 分ほど進んだら、パノラマ台への登りにさしかかった。ここにはサックスでロッキーのテーマを吹いている人がいた。少なくとも私の耳に入る範囲では、まったく休むことなく吹き続けていた。つづら折れを登ってもいつまでも耳に入ってくるので、いささか耳障りだった。
パノラマ台は 1328m で、麓からの標高差は 400m 少々。上位の選手ならおそらく走って登っているであろうと思われる程度の傾斜だが、立ち止まって横に避ける人がちらほらと出てくる。
パノラマ台までは 45 分くらいだった。このあたりから時々雨脚が強くなってきた。
ここからは少し下って、その後は登ったり下ったりを繰り返す。雨脚が強くなってきたので雨具の上を着て、帽子をかぶった。
下りは泥沼状態の部分が多いので、慎重に下る。こんな所で転けてどろどろになったら精神的にがっくりきてしまう。
かなり後方にいるせいもあるのだが、この路面の荒れ方は相当なものだ。天候が回復してハイキングに来られた方はびっくりされるのではないだろうか。「トレランレースは環境破壊」と言う声をしばしば聞くけれど、確かにその通りだと思う。自分でやっていてこんなことを言うのも何だけれど・・・。
佛峠を越えて最後の下りはかなり悲惨な状態だったが、何とか転倒せずに本栖湖エイド A2(32km)に9時 19 分に到着した。大会想定の最も遅い人が7時間 30 分という所まで6時間 19 分だった。
ここでは水を補給して、ゆば丼とみのぶまんじゅう、バナナ、コーラをいただいた。
ここの掲示板に希望者は翌日の STY に出場可能と書かれていたが、私はそういうつもりはまったく無し。ただしスタート地点のこどもの国までは自力で移動すること。ただ、それならなぜスタート時に案内しなかったのかという疑問は感じた。
※その後、短縮 UTMF に完走した人だけが権利があるというアナウンスがされた。案内が後手後手に回っている感じは否めない。短縮 UTMF を走らずに STY で優勝されるとまずいということだろうけど。
それとフィニッシュ地点を道の駅あさぎりに変更するという案内も出ていた。麓エイドのさらに手前だ。
もうあとはロードだけだろうと思いながら、8分の滞在でエイドを出た。外は本降りになっていた。
雨の夜はヘッドランプの光が乱反射して非常に見えにくい。特に舗装道路では路面の雨の反射もあってさらに見にくい。
この道路は所々小さな窪みがあるようで、一瞬くぼみに足を取られてバランスを崩した。雨水が溜まっているのでわかりにくい。
これは足元を注意していないと危ないと思って慎重に走っていたところ、少し前を行く人が突然バランスを崩してへたりこんだ。おそらく例のくぼみに足を取られたのだろう。女性だったが、今度もそのまま通り過ぎた。
A2 からは 12km くらいとのことだったので、ロードなら1時間半くらいだろうかと思って走っていたら、またトレイルに入った。車道のすぐ脇のハイキングロードのようだ。
しかしこのトレイルが足元ぐちゃぐちゃで、ほとんど走れない。すぐそばを走る車の音が聞こえる場所で、これくらいなら車道を走らせてくれた方がいいのにと思うくらいだった。
また車道に戻ってしばらく行くと、「あと 3km」と案内している方がおられた。やれやれと思ったと同時に、最後までしっかり走ろうという気持ちになった。
そこから 1km くらい進んだかなと思う頃、車道を離れて横道に入らされた。路面の荒れた細い林道のような道で、さらに進むとトレイルになって、しかもスネまで水につかるほどの水たまりをバシャバシャと通過するはめになった。
ところが、どういう訳か前からランナーが戻ってくるではないか。
何事かととまどっていたら、どうもロストしているようだとのこと。しかしマーキングは付いている。
直前にコース変更になったので、マーキングが正しく設置されていないのではないかとのことで、あっと言う間に 100 人くらいの集団ができてしまった。
取りあえず引き返すが、その後も後ろからどんどんランナーがやってくる。
そのうち誰かが事務局に電話で確認されたようで、実は最初に走っていたルートをそのまま進むのが正しいということがわかって、またまた元に戻ることになった。このあたり、同じ道を行ったり来たり3回も走ることになった。
スネまでの水たまりを3回目通過して、さらに先に進む。
少し前まで張ってきた気持ちが一度切れてしまったけれど、何とか最後はしっかりと締めようと気持ちを立て直した。
このあたりは牧場なのか、動物の臭いがする。
後から考えると、「あと 3km」と言われた方は、正式なコースを知らずにそのまま車道を進んだ距離で案内されたのではないかと思う。
緩い登りを少し上がって、車道を渡った所がフィニッシュの道の駅だった。
ゴールゲートの先では福田六花さんが迎えて下さった。
こういうことをやるのはこれが最後かなと思いながら、いつもの自分のセレモニーとして、大会関係者の皆さまへの感謝の気持ちを込めて、ゴールゲートに向けておじぎをした。
タイムは8時間 31 分 42 秒。完走者全 1342 人中 1083 番だった。ちなみに優勝タイムは男子がアメリカの Dylan Bowman で 3 時間 46 分 37 秒、女子がブラジルの Fernanda Maciel の 4 時間 51 分 03 秒(総合 31 位)だった。
大変なレース展開だったようですね。
お疲れ様でした!
ken さん、コメントありがとうございます。
雨男なのでこういうコンディションで走ったことは何度かありますが、レースが短縮されたのは初めて経験しました。
それでも途中で中断になった STY よりはまだましだったかも知れません。
おかげでプレミアもののフィニッシャーズベストをもらえることになりました。