大天井ヶ岳

日曜日(10/14)は大峰の大天井ヶ岳へ行ってきた。
実は大天井ヶ岳はほんの2ヶ月前に行っている。それなのにまた何故かと言うと・・・。
私が関西エリアで今一番行きたいのは吉野から高野山へ行く「弘法大師の道」。弘法大師が高野山を開く時に吉野から辿ったのではないかと言われている道で、全長約 55km。ただし史料として残っているのは「吉野より南に1日、西に2日。高野へ」ということくらいで、本当にこの道を辿ったのかどうかはまったくわからない。
しかし地形的に見るとこのルートはきれいに稜線を辿っており、谷筋を辿るということはまずあり得ないので、詳細はわからないにしても妥当なルートではないかと思う。
この道は長らく忘れ去れたような状態だったのだけれど、奈良県も絡んでこの道を再生しようと、ここ何年か毎年5月あたりにトレランのレースが開催されている。よくこんなルートでレースを開催するなぁという感じだけれど、一般登山者があまり歩かないような道だからレースが開催できるということかも。
レース前日は吉野の宿坊に泊まって、朝6時に金峯山寺をスタート。途中でいくつかの関門があって、ゴールのリミットは午後8時。トップ選手は7時間半くらいでゴールするようで、参加選手のレベルに若干の違いはあるけれど、おそらくハセツネよりも厳しい。
このルートはずっと稜線を辿るので途中で自然の水を得られる場所が無い。そういう意味ではこのレースに参加するのがもっとも安全に辿れる方法なのだけれど(途中にエイドポイントがあるので)、もはや今の私にはそれだけの体力も気力も無い。
個人的にやるとしたらテント泊の1泊2日ということになるだろうが、それも決して楽ではない。小辺路のようにはいかない。
いずれにしてもいきなり本番というわけにはいかないので、2ヶ月前の大天井ヶ岳もこのルートの一部下見が主たる目的だった。
地図を見ているとどうしても道の不明瞭な部分が気になるのだけれど、実は序盤の吉野から大天井ヶ岳までも重要ポイントである。道は大峰奥駆道なのでしっかりしているけれど、ルート上で最も標高の低い吉野から最も高い大天井ヶ岳まで、標高差で 1000m 以上登らなければならない。距離も 15km 近くある。
青根ヶ峰から吉野は一度下ったことがあるけれど、登ったことは無い。
そこでこの部分を肌で感じるべく、出かけることにした。

5時3分の始発電車に乗って、吉野に到着したのは8時前だった。電車を降りたのはほんの数人程度。
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駅前のベンチで準備を整えて、8時13分に出発した。
ロープウェイ駅を過ぎて階段を上がった所に鳥居があって、そばに「近道」という案内が出ていた。青根ヶ峰から下った時はほとんど車道をそのまま下ったように記憶している。
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その案内の方に行ったところ、ほとんど車道をショートカットして、12分くらいでロープウェイの上の駅まで来た。
そのまま進んでまずは黒門。
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そして銅製の鳥居。
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メインストリートはまだ朝が早いせいか、閑散としている。いずれにしても吉野に観光客が訪れるのはほとんど桜のシーズンだけのようだ。
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今日はあまり寄り道はせずに行くつもりだけれど、金峯山寺の蔵王堂は寄っておく。
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しばらく進むと Kobo Trail のテープマーク。
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金峰神社はパス。
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この先から登山道になって、青根ヶ峰から下った時に休憩した東屋のある所。
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高城山もパスして、前回、青根ヶ峰から下りてきた所。昔はここが女人結界だった。
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前回、青根ヶ峰に登った所を過ぎて、そこから先は初めてのルートになる。少し車道を行くと右の山道に案内表示が出ていた。
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少し登って、また下って、結局先ほどの車道に出た。しばらく車道を進むと、左に道標が。ここから四寸岩山(しすんいわやま)への登りになる。
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四寸岩山の山頂に近づいた頃、エンジン音が聞こえてきた。何と、登山道を整備されている方がおられた。こんなところまで草刈り機を運んでこられたのだろうか。
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このすぐ横が四寸岩山の山頂(1235.9m)だったので、ここから左に入った。10時51分。出発から2時間40分だった。展望はまったく無し。
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山頂から少し下りた所でまた登山道を整備されている方がおられた。「ありがとうございます」とお礼を言って通り過ぎた。
やや下り気味に進むと足摺宿。なぜか管理者は滋賀県の方。
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このあたり、登山道の右側は杉の植林で、左側は自然林(ブナ?)という対照的な風景。
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標高で 1050m くらいまで下った頃、また車道に合流した。
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すぐにまた登山道になって、結構な急登もあったりして、二蔵宿。ここは中にはストーブもあって、きれいに管理されている。ここも管理者は滋賀県の方。
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そしてここに分岐があった。まっすぐ道なりが山上ヶ岳で、大天井ヶ岳は右に上がることになっている。奥駆道はずっと一本道と思っていたので、あわてて地図で確認したところ、道なりに進むと大天井ヶ岳をトラバースして五番関に出るようだ。そう言えば五番関にそんな道標があったような気がする。
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次第に登りの傾斜が急になってきて、木を切り出すレールが出てきた。先日、大天井ヶ岳の山頂直下にあったものに違いない。
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トリカブト? ピンボケ。
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山頂に近づくと道も厳しくなってきて、滑りやすい岩肌に古いロープが垂れ下がっているような場所が何カ所かあった。
12時28分、出発から4時間15分で大天井ヶ岳の山頂(1439m)に到着した。ここも展望は無し。
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大天井ヶ岳は知名度では山上ヶ岳や八経ガ岳などには劣るけれど、登りごたえのある立派な山だ。
今日、初めて腰を下ろしておにぎり休憩にしたとたん、10人くらいのパーティがやってきた。そそくさと下山に移る。
実は12時までに到着したら小南峠を経由して北側に周回しようかと思っていたのだけれど、思ったよりも距離があったので来た道を戻ることにする。
下山開始から40分くらいで車道のところまで戻ってきた。さてこれからどうするか? 登山道だとまた四寸岩山までまた標高差で 200m ほど登り返さなければならない。部分的には急坂もあったのを覚えている。地図を見ると車道は若干大回りにはなるけれど、ほぼ同じくらいの標高で青根ヶ峰まで続いている。
かなり迷ったけれど、もう消化試合なので車道を走ることにした。所々にススキ。
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ちょうど四寸岩山の下あたりにワゴン車があって、登山道の整備をされていたと思われる二人がおられた。横の斜面には階段が設置されていて、ここから登ってこられたようだ。車は滋賀県ナンバーだった。
今日、初めての展望らしい展望。水墨画のような幻想的な光景だ。どれかが高野山。
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振り返ると、山頂に雲がかかっているのがおそらく大天井ヶ岳。右の三角が山上ヶ岳?
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行きに登山道に入った箇所まで、車道に出てから40分ほどで戻ってきた。登りは山道で1時間20分くらいだったので、もし山道を下っていたら1時間10分くらいはかかったと思う。良かった良かった。
ちょうどここの後ろに掘っ立て小屋があって、そこがトロッコレールの起点だった。
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下りは登山道部分以外はほとんど走って、花矢倉展望台にはちょっと寄り道。
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手前は吉野の集落。奥は金剛葛城山系。二上山は見えにくい。
別の場所からは北に龍門岳。
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メインストリートはそれなりの観光客もおられたので早歩きくらいで通過して、午後3時16分に駅に戻ってきた。車道を走ったせいで大天井ヶ岳からの下りは2時間半ちょっとくらいで、トータル約30km、ほぼ7時間だった。
駅のホームには「青の交響曲」が停まっていた。もちろん私は普通の急行で阿部野橋へ。
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さて、2ヶ月前と今日の下見を踏まえて、本番をどうするか・・・。一番感じたのは、重荷を背負っての縦走は避けたいということ。途中に給水ポイントがあればいいけれど、水をたくさん背負っての歩きは今の私には難しい。
妥当な手段はかつてダイトレ全コースを行ったやり方だろうか。終電前の電車でスタート地点に着いて、夜を徹して走る(歩く?)というもの。
しかしダイトレをやったのはもう5年前のこと。その頃の経験はもはや参考にはならない。いや、そんな経験に頼ってはいけない。
ただ、ここ2年ほどテント山行を何度かやった経験から考えると、重荷を背負うよりは軽装で走り(歩き)続けるスタイルの方が自分には適しているとは感じている。
大天井ヶ岳までは夜間行動でも問題無いので、6月くらいの、4時を過ぎると薄ら明るくなってくる季節であれば、弘法大師の道に入る頃は少し明るくなっているだろう。
やるとするなら来年というのが妥当なところだけれど、果無山脈を敗退した時と同じように、思い立つと我慢できなくなるところがある。ダイトレも11月後半という夜の長い時期に行っている。
さて、どうするべきか・・・。

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