6/29(日)は深浦へ向かう。
深浦は太宰が「津軽」執筆のために津軽半島を旅した時に泊まっており、疎開のための帰省の時にも再訪しているところで、ここにはぜひ泊まってみたいと思っていた。
移動距離は少ないので、途中で時間潰しをしながらゆっくり向かう。
ホテルは朝食付きだったが、コーヒーはインスタントしかなかったので駅のコンビニで買ってコンコースのベンチでゆっくり飲んだ。

時間潰しに八郎潟へ立ち寄ってみる。

かつて湖だったあたりに向かって歩いて行く。

町役場の建物は立派。パリ・オリンピックでバドミントンのダブルスで銅メダルを取った志田千陽(しだちはる)選手は八郎潟の出身らしい。

見渡す限りの田んぼ。

かつての湖の場所まではまだかなりあるので、このあたりで引き返すことにした。
八郎潟駅から東能代駅まで奥羽本線に乗って、東能代駅で五能線に乗り換える。
五能線はリゾート列車の「しらかみ」がメインで、普通列車は本数が少ない。今日は日曜日なのできっとリゾート列車は団体客で混んでいるだろうし、そもそも今回の旅の目的にはそぐわないので、数少ない普通列車で深浦に向かう。

白神山地への入り口の駅でたくさんの人が降りていったが、その3倍くらいの団体客が乗り込んできた。まさかこんな普通列車にツアー客が大勢乗り込んで来るとは思わなかった。
日本海の海岸線は時たましか見えない。

12時過ぎに深浦駅に到着した。

例の団体ツアー客も深浦で下車したが、駅に迎えに来ていたバスに乗り込んでいた。
駅の近くに焼肉とラーメンの店があった。この先、昼食を取れる店がどのくらいあるかわからないので、ここで食べておくことにした。ラーメンと小どんぶりのセットにしたが、満腹になった。
目的地の「ふかうら文学館」に向かって、おそらく深浦町のメインストリートであろう車道を歩く。商店街のようなものはまったく無し。
ここの町役場も立派。

左側に「深浦町歴史民俗館・美術館」があった。

今日は深浦のホテルに泊まるので、まだまだ時間はたっぷりある。どうやって時間を潰そうかと考えていたところだったので、ちょっと覗いてみることにした。
入り口に看板があって、深浦の3つの施設に入れる共通券が600円(個別だとそれぞれ300円)とのことだったので、それを買って入ることにした。主目的のふかうら文学館もそれに含まれている。
美術館はまったく知らない人の作品。正直、絵画を楽しむ素養は持ち合わせていない。
博物館は昔の生活用具などが並べてあるだけで、あまり興味を惹かれるものはなかった。
唯一、おもしろいと感じたのは、古い新聞のこの広告。

戦前にはこんなものが市販されていたのだ。戦前は売春は合法だった。
ここで深浦の観光案内パンフレットをもらったので、それを眺めながら歩いて行く。
少し行くと猿神鼻洞門。

昔はこのすぐそばまで海だったようで、向こう側へ出るために掘られたトンネルのあと。向こう側は、

深浦港。

目指すふかうら文学館はかつて太宰が泊まった「秋田屋旅館」だった建物。
駅から1km少々だが、疎開の時は駅に到着したのが夜で、太宰の奥さんの津島美知子さんの「回想の太宰治」には、
「・・・・、まだかまだかというほど遠い。家並も見えぬ暗い夜道を、太宰は、同じ列車から降りた中年の人と道連れになって、元気よく先立って歩いてゆくが、そのあとに赤ん坊を背負い、四つの子の手をひいてとぼとぼ従いながら、私は次第に恨みがましい気持になってきた。」
と書かれている。

文学館は2階のみで、この建物は地元の人たちの図書館も兼ねている。

隣の部屋には自筆の手紙や葉書がいくつか展示されていた。10分ほどのビデオもなかなかいい内容だった。
他に大町桂月の間、成田千空の間というのがあったが、いずれも私はまったく知らない人で、さらっと眺めただけ。
お次は風待ち館。

入るまで何のための施設なのかわからなかったのだが、北前船の歴史を展示した施設だった。

深浦は北前船の寄港地として栄えた。
展示内容もビデオの内容も充実していた。特にすごかったのがこれ。


以前にテレビの番組で少し見た記憶があるのだが、今はこんな立派な仏壇を作れる職人はいないという話だったと思う。
予想外の充実した内容に満足して、ロビーで缶コーヒーで休憩してから、すぐ隣りの円覚寺に行った。

このお寺のことは太宰の「津軽」で紹介されている。
宝篋印塔。

本堂。

本堂の裏側に寺宝館があって、有料(500円)で解説付きの案内があるのだが、どうも先客があるようで、まぁいいかなという感じ。
まだ3時半だが、意外と時間潰しができたのでホテルに向かう。
少し歩いたら右手に岡崎夕陽展望所という案内があったのでそちらに向かったみたが、閉鎖されていた。

ここから海の方を見ると弁天島という突起があって、上の方に手すりのようなものが見えるので行けるはず。
海岸の方に降りられる道があったので海岸に出てみたら、弁天島に行けそうに見えた。

もうすぐそこ。


上に上がって海を眺めてみた。
ホテルはこの近くだった。

チェックインしたらさっそく温泉で汗を流した。
 
					





































































































































