このところ山へ行く回数は多いけれど、ほとんどすべて数百メートルからせいぜい千メートルくらいの山ばかりなので、そろそろ登り応えのあるスケールの山へ行きたいという気持ちが湧いてきた。
時期的に、以前から考えていた南アルプス南部の聖岳光岳トライアングルにトライするタイミングかなと思って情報を収集していたら、何と易老渡へ行く林道が昨秋に崩れて通行止め。開通は来年以降とのことで、これは諦めるしかなかった。
と言うことで、次に浮かんだのはこれも以前から漠然とイメージしていた白山北面の尾根の周回ルート。白山北面にはいくつかの登山道があるが、いずれもなかなかの距離があり、登山者もかなり少なそうだ。
そのうち、駐車場からあまり遠くなくて、周回できるルートを地図で探して、中宮(ちゅうぐう)レストハウスの駐車場を起点にして岩間道を登って大汝峰へ行って、そこから中宮道を下山して駐車場に戻るというルートを設定した。
駐車場の標高が約 600m で大汝峰が 2684m なので、標高差は 2000m を越える。距離約 35km。コースタイムでは 20 時間を少し超えるくらい。
これなら十分に満足できるだろうと思った。
日曜日の天気が微妙で、決行するかどうか金曜日の夕方まで迷ったけれど、昼くらいまでは持ちそうだったので、梅雨の時期にこういうチャンスはなかなか無いと思って行くことにした。
土曜日は早めに出かけて、中宮レストハウスには4時頃に到着した。
土曜日は好天だったので車の中は暑く、持参した夕食を外で食べた。
地図をしっかり見てみると、漠然とイメージしていたよりも厳しそうだ。数年前に市ノ瀬から別山、御前峰、大汝峰、白山釈迦岳を周回した時よりも時間がかかりそうだ。12 時間以上かかりそうな感じ。
早めに出発しようということで、1時に起きて1時 52 分に出発した。シューズはもちろん HOKA RAPA NUI。
今回、最大の懸念が最初の三又発電所の送水管脇の階段上り。
立ち入り禁止のチェーンを2カ所ほど乗り越えて、階段の登り口がよくわからなくて少しウロウロしたけれど、鍵がかかって立ち入り禁止になっているフェンスを乗り越えて、ようやく古びた石の階段を発見した。
こんなところが市販の登山地図にルートとして載せられていていいのだろうか。もし昼間で職員が見ていたらどういう反応をするのだろうか。
石の階段はかなり急で、コケもたくさん生えていて、歩く人は少なそうだ。
10 分少々で上の林道に出た。ここにも立ち入り禁止と表示されていた。
しばらく林道を行くと新岩間温泉の旅館があって、その少し上のゲートの所に案内の看板があった。
何と予定していた岩間道は一部崩れていて上へ行けないので、登山者は楽々新道を行くようにとのこと。
元々どちらの道でも良かったので、あっさりと指示に従う。
しばらくまた林道を歩いて、出発して1時間足らずで楽々新道に入った。登山者が少なそうな感じで、いきなり激登りが始まる。
今回は上部の北面にはまだ雪が残っているのがわかっていたので、アイゼンを持ってくるかどうか迷ったが、雪面を長く歩くようなことは無いと思ってアイゼンは持たず、そのかわりにポールを持参してきた。
このポールがさっそく威力を発揮してくれた。
路面が少し滑りやすい状態でもあったので、ポールが無かったら余分に体力を消耗させられたことは間違い無い。
木が倒れて道が完全に塞がれていて大回りさせられたりしたが、順調に高度を上げて行った。
4時を過ぎると空がうすら明るくなってきた。夜中から歩き始める登山で一番気持ちの良いのが夜が明けてくる時間帯だ。
樹林帯で、東側の展望の開ける場所がこれまであまり無かったが、4時 45 分にご来光を拝むことができた。
これは私でもわかるイワカガミ。京都周辺の山ではもう終わっているはず。
小桜平避難小屋。白山にはこういうタイプの避難小屋がたくさんある。
この先で岩間道と合流したが、分岐点には岩間道が通れないという表示は無かった。はたしてどの程度の崩れなのだろうか。
右の山の斜面のジグザグがこれから登る七倉山への道で、左が大汝峰。
風が強くなってきたのでジャケットを羽織った。
ぼたもち休憩していたら、上から下りてくる単独行者に出会った。今日、初めて出会った登山者だが、私のようなトレランスタイルだった。
七倉山を越えて大汝峰を向かう時にちょっとした雪渓のトラバースがあって、少し緊張した。雪渓の下がどうなっているのか見えなかった。このポールでは滑落停止はできない。
大汝峰が近づいてきた。
5時間くらいで行けるのではないかと思っていたが、すでに5時間を超えている。
しばらく行くと数人のパーティに出会った。いかにもお花目当てという感じの中年パーティ。
もう少しと思ったけれど実際はなかなか遠く、7時 40 分、スタートからほぼ5時間 50 分で大汝峰(2684m)に到着した。
風が強くて寒かったので、祠にお参りをして早々に南に下山した。
室堂への道から分かれて東の中宮道へ向かう。ここからは初めての道だ。
少し下ると道標があり、中宮温泉まで 18.5km とあった。気持ちが萎える。
このあと、何度か雪渓が出てきた。傾斜はそれほどではないし、滑っても滑落するような箇所ではないので、不安は無いけれど、やはりこういう箇所はトレランシューズでは歩きにくい。ある程度の堅さがないとキックステップもうまくいかない。
雪面を見ると、うまく靴スキーで滑った跡があった。とてもこんなマネはできないと思ってふと思い出した。ついこの前の水曜日にYASUHIRO先生がここを歩かれているのだ。おそらくその時のトレースに違いない。
高山植物がいろいろと出てくるのでしばしば止まって写真を撮るが、名前はまったくわからない。帰ってから調べようと思う。
山頂から標高で 500m ほど下ると雪はほぼ無くなる。しかしここからはしばらく緩いアップダウンの繰り返しで、歩いても歩いてもなかなか標高が下がってくれない。
地獄覗からの地獄尾根の眺めは圧巻。地獄尾根の向こうの尾根は岩間道。
途中でおにぎり休憩。標高が下がって気温が上がってきたのでジャケットを脱ぐ。
山頂から2時間 40 分ほどかかってようやくゴマ平避難小屋に到着した。中宮温泉まであと 10km。
こういう避難小屋に一人で入るのはあまり好きではないので、外で腰掛けてジェルを補給した。
どうもカメラを入れたり出したりしているうちに、同じポケットに入れていた gps 用の地図を落としてしまったようだ。登山地図は持っているのだが、gps を見てぱっと現在地点が見えないのが困る。
今回はバッテリーがへたってきた garmin fenix をやめて、etrex 20 だけにした。最近、この etrex を腕時計のような位置で装着できるホルダーを購入したので、それのデビュー戦でもあった。
この重さ(155g)を手首につけるのはちょっと煩わしいかと思ったが、歩きの登山で、おまけに今日はポールを持っているので、ほとんど気にならなかった。
この gps は地図を入れていて、白山のようなメジャーな山だと今日の登山道も入っていたので、等高線も表示されるので非常に具合が良かった。
とは言っても現在地が全体のどのあたりになるのかというのを確認しようとすると、地図の画面をズームアップしたりズームダウンしたりしなければならないので、やはり紙に出力した地図がほしい。が、もう仕方無い。
と言うことで、登山地図を眺めていたら、雨がポツポツと降ってきたので、早々に腰を上げて下に向かった。
雨は微妙な強さで、基本は小雨程度で雨具を着るほどではないけれど、時折本降りくらいになる。しばらくそのまま歩いていたけれど、本降りレベルがしばらく続いたので致し方なくジャケットを上だけ羽織って、帽子をかぶった。天気予報では下り坂だ。
ところが雨具を着ると雨が止む。どうせまた降ると思ってしばらくそのまま歩いていたけれど、何と空が明るくなってきた。
もう大丈夫だろうと思って雨具を脱いだところ、ほんの数分でまた雨が降り出してきた。
おまけにこのあたりも道は登ったり下ったりの繰り返しで、なかなか標高が下がらない。
それよりも熊が出てきそうな雰囲気で、非常に不気味だ。さっき道に大きな糞が落ちていたけれど、おそらく熊のものだと思う。まだそれほど時間が経っていない感じだった。木の幹を激しく引っ掻いた跡もあった。
とにかく前方に注意して、もし熊に出会ったらどうするかということだけを考えながら歩いた。もう花の写真どころではない。
そうしていたら前で単独行の人が休んでいるのに出会った。人で良かった。今日、人に出会うのは3回目。
うんざりしながら雨具を脱いだり着たりしながら、12 時 40 分にシナノキ平避難小屋に到着した。
登山地図のコースタイムで中宮温泉まであと3時間。それから駐車場まで車道を行かなければならないので、まだ2時間以上はかかるだろう。
少し進んでから道ばたでぼたもち休憩していたら、さっきの単独行の人が追いついてきた。60L くらいありそうな大きなザックを背負っている。
いよいよ下りが急になってきた。道も結構荒れている。所々にはロープが張られている。
登山者が少ないようで、草が覆い茂って道がわかりにくい。足元の草についた水滴でシューズはびしょびしょだ。
ゴールが近づいたのが感じられて気持ちに余裕が出てきたのか、ササユリに気が付いた。
ようやく足元に中宮温泉の建物が見えた。
2時半にようやく登山道の入り口に降り立った。ちょうど例の単独行の若者も一緒だった。
このあと車道を 1km 少々走って(ここが走れたのは HOKA を履いていたおかげだ)、2時 50 分に駐車場にゴールした。ほぼ 13 時間の修行だった。
帰りに発電所の送水管を眺めてみた。
十分に満足しました。
カテゴリー: 登山
深山
今月4日から1日おきに続いた登山教室もようやく今日が最終回。天気予報は曇りのち雨とのことだが、何とか昼食が終わるまでもってほしいと祈って出かけた。
今日、行ったのは北摂の深山(みやま)。剣尾山のほぼ北側で、昨年末にヘルニア手術後のカムバック初戦で行った半国山のすぐ西の山だ。
山そのものは大したものではなく、まじめに歩けば登山教室でも登山口から往復2時間くらいで行けるくらいのところだったが、交通の便が極めて悪く、バスの時間に合わせるために朝4時半起き、6時前の出発となった。
亀岡からバスを2便乗り継いで、土ヶ畑(どんがはた)に到着したのは9時だった。
しばらく車道を行く。
車道脇にササユリや、
ノアザミ。
30分ほど歩いて登山道に入る。
最初は樹林帯でところどころ急な登りもあったが、30 分も登ると草原状の眺めのいい場所に出てきた。
曇っているので助かる。こんなところで快晴だったらたまらない。
背後には剣尾山。
深山雨量レーダー観測所が見えてきた。
観測所に入って、
そのすぐ先が山頂(790.6m)だった。まだ 11 時前。
林道がすぐそばまで上がってきていて、はっきり言ってあまり趣のない山頂だ。
ただし展望は 360 度の絶景で、かなりのエリアを見渡すことができた。
これは神戸方面。
一般的な登山道はこの道しかないので、来た道を下る。
ヤマボウシ。
エゴノキ。
この2つは最近立て続けに見かけたので、さすがに覚えた。はたして来年まで覚えていられるだろうか・・・。
少し下って眺めのいい場所で早めの昼食にした。
登山口まで下山して、車道を歩いてるり渓に向かう。今日の後半はるり渓の散策が予定のメニュー。
まずは通天湖。堰止め湖だ。
そしてここの堰堤の下からるり渓が始まる。
まるで箱庭のような美しい渓谷で、こんな自然が車道のすぐそばに広がっているのは不思議な感じがするが、昔々は秘境だったのかも知れない。ただ、そんな昔は通天湖の堰堤は無かったはずなので、その頃のこの渓谷がどういう風情だったのかは今となってはわからない。
滝やナメなどの景勝ポイントには難しい漢字の名前がつけられている。
雨は時たまぱらぱらと降る程度で、まだ何とか持ちこたえている。
一旦、車道に出て少し進むと、鳴爆(めいばく)。
まだ2時過ぎだったけれど、今日はここで解散ということになった。
さて、問題は電車の駅までどうやって戻るか。
行きに乗ったコミュニティバスは午後は4時台の1本のみ。
来た道を戻ってるり渓温泉に入って、温泉の送迎バスを利用するという手もあったけれど、ここから 3km ほど車道を歩くと路線バスの時間に間に合いそうとのことだったので、皆さんは早々にそちらに向かわれた。
私はどうするか少し迷ったけれど、この近辺で短時間で楽しめるような山は見あたらないし、もしあっても下山後の交通機関に困る。おまけに天候は下り坂ということで、私もその路線バスを目指して車道を行くことにした。
みなさんより数分遅れて追いかけた。すぐに追いつくだろうと思っていたが、あにはからんや、いくら行っても誰も見えない。
しばらく行くと道が分かれていて、目指すバス停がどちらなのかはっきりと自信の持てない場所に出てしまった。
道路標識から判断してこちらではないかと思った方向に向かったところ、随分先に歩いている人が一人見えた。ほっとした。
しかしその人にもなかなか追いつかず、正確なバスの時刻も知らないので不安になってきて、ちょうど峠を上がって下りになったあたりから走り出した。
前の人にはすぐに追いついたが、バスの時間に間に合うか不安なので、その人を置いて一人でさらに走った。
少し行くと前の方に数人が見えて、ようやく後方集団に追いついた。
時間は間に合いそうとのことだったので、そこからは歩いて、無事バスの時刻の数分前くらいにバス停に到着した。
みなさん、解散後の車道歩きが一番しんどかったとのことでした。
それは私も一緒でした。
行市山
昨日の登山教室は湖北の行市山(ぎょういちやま)。
これで今月は4日から1日おきの4回目で、明日(6/12)の5回目でようやく一区切りになる。
この山は4日に行った大黒山のすぐ近くで、北国街道(R365)をはさんで反対側(西側)に位置する。
ここももちろん初めてで、名前すら聞いたことの無かった山だ。
今回は登山口が公共バスの便があるところなので、JR 木之本駅から便数の限られたコミュニティバスに乗って、今市停留所で下車した。
停留所から行市山が正面に望める。
まずは毛受(めんじゅ)兄弟の墓へ向かう。
この横からフェンスを開けて登山道に入る。
ずっと気持ちのいい樹林帯なので気分良く歩ける。
中之谷山。と言っても標識があるだけで、山頂の雰囲気はまったく無い。
たまに眺望の得られる場所がある。これは昨年登った横山岳。
このあたりには賤ヶ岳の戦いの遺跡がたくさん残っている。
コアジサイ。
このあたりからしばらく登山道が急登になった。日陰になっているので助かる。
左が横山岳で右は金糞岳。
エゴノキ。
12時前に行市山山頂(659.7m)に到着して、昼食にした。
真ん中の少しぼやけているのは伊吹山。
昼食後は北の柳ヶ瀬山へ向かう。
歩き出してからしばらくは背丈を超えるくらいの密集したヤブで、昔の北山のヤブこぎを思い出させるような道だった。足元は苅られた跡があるので整備はされているようだ。
ヤブ地帯を抜けたら大きなブナ?
少し急な下りで久々坂峠へ下りたって、
少し登り返して柳ヶ瀬山(439.1m)に到着した。
三角点があって山名がついてはいるけれど、ここも山頂とは思えない地形の場所。
このあとさらに北へ向かうと玄蕃尾(げんばお?)城跡。
このエリアは草がきれいに刈られていて、非常に整備されている。久々坂峠の北側は峠のすぐ近くまで林道が延びているので、ここを車で上がって整備作業をしているのだろう。
本丸跡でしばらく休憩したが、残念ながらまわりは木が生い茂っていて展望はあまりきかなかった。
下山はなだらかな道を柳ヶ瀬に向かう。
柳ヶ瀬はかつては宿場町としてかなり栄えたそうだ。
数少ないコミュニティバスに乗って(実は先日の大黒山で椿坂から乗ったのと同じ時間のバス)、余呉駅に出た。
駅のホームからは行市山、そしてその向こうに大黒山を望むことができた。
南側は余呉湖と賤ヶ岳。
なかなか楽しい一日でした。
京都一周トレイル嵐山、のち烏ヶ岳から保津峡
今月から文化センターの新しい講座を担当することになった。
京都一周トレイルコースを分割して歩くというもので、実はこの文化センターの登山教室では最も古い講座で、始まってから数年が経過していて、すでに何周も繰り返しているらしい。当然、受講者は入れ替わっているのだが。
今日のコースは嵐山界隈で、登山というよりはほとんど嵐山観光めぐり。
前回が清滝から鳥居本だったので、今日は JR の嵯峨嵐山駅から嵐山の観光コースを歩いて鳥居本まで行って、そこからトレイルコースを辿って阪急の嵐山駅までという設定だった。
スタートはゆっくりで、嵯峨嵐山駅を 10 時過ぎにスタートした。
今日はほぼ街歩きということで、足馴らしのために新調した HOKA を履いてきた。
人力車の走る観光コースの雑踏を行く。平日でも外国人観光客など、観光客は多い。
野の宮神社の鳥居は木そのままというめずらしいもの。
清涼寺(嵯峨釈迦堂)の大門。
小倉山を望む。
これは大文字の鳥居。
トレイルコースに合流して、いったん鳥居本まで行く。
今日、唯一の花のヤマボウシ。
二尊院はここから眺めるだけ。
まるで観光客だ。
小倉池。
亀山公園で昼食を取って、展望台へ行く。保津川の眺めが素晴らしい。
亀山公園には小倉百人一首の句を刻んだ石がいたるところに置かれている。
保津川を行く舟。
そして嵐山と言えば渡月橋。
法輪寺にも立ち寄る。
このあと2時20分くらいに阪急の嵐山駅に到着して、ここで解散となった。
この時間にこのまますんなり帰るということはあり得ないので、あらかじめ予定してきた烏ヶ岳を経由して保津峡へ行くルートに向かうことにした。
まずは一周トレイルコースを松尾山方向に向かう。ここの登りは以外と苦しい。
15 分ほどでトレイルコースからはずれて西に向かう。「保津峡へは通行不能」と書いてある。
烏ヶ岳までは以前に歩いているので問題無いと思っていたところ、いきなりロスト!!。どうも北向きの尾根に入り込んでいるようだ。
来た道を引き返したつもりだったが、間違えた箇所がわからないままいつの間にか正しいルートに戻っていた。
嵐山城趾は訪れておく。
このあと、嵐山の頂上からの下りがはっきりわからず、またもやロスト!!。今度も北の尾根に入り込んでいた。
今度も元に戻ったつもりがいつの間にやら正しいルートに戻っていた。
烏ヶ岳(398m)もピークを行く。
このあたりは本当に気持ちのいい道だ。
前回来た時に左の沢から這い上がってきたあたりを越えて、いよいよ未知のエリアに入る。しかし道ははっきりしている。
少し下ってからしばらく登りが続いて、峠のような箇所に出た。
実は三角点のある山上ヶ峰(嵐山北松尾山 482.6m)がこのすぐ左側だったのだが、道がはっきりしているのでそのまま素通りしてしまった。
帰ってから残念無念と思ったが、またこういう機会があることを期待しようと思う。
道は次第に北上する。はっきりしているのでルンルンで進んだところ、にわかに不明瞭になってきた。
標識の無い分岐があって、そのあたりは黄色のペンキを何度か見かけたのでそれを信じて進んだところ、どうも様子がおかしい。
gps のトラックで西側に進んでいる箇所で、不明瞭なままに進んでいたら下に林道が見えた。ところがその直後に道が無くなった!!。
あれっと思ったら足元に草に隠れたハシゴがチラッと見えた。これで林道に下りる。
こんなところで林道に出るとは思ってもみなかったので、とまどってしまった。地形図を詳細に見るとこのあたりまで林道が延びているのだが、それは帰ってから冷静に見て気付いたこと。
進む方向は右のように思えるのだが、右は登っている。
2回ほど左へ行ったり右へ行ったりして gps で方向を確認して、はやり左だと判断してそちらへ向かった。
しばらく進むと小屋のような建物があって、林道はそこで終わっていた。
ますますわからなくなってきたが、よく見ると小屋の横に登山道のようなものが見える。右側の斜面には上がって行く登山道があって、おそらくさっきあった分岐をそのまま下るとここに下りてくるのだろう。
小屋の横の道を下ったところ、これが正しい道だと確信できた。
つづら折れを下って行って、最後の方はロープのあるなかなかしょっぱい斜面だった。
トロッコ列車の線路をトンネルでくぐって保津川に出る。
すぐ左にはトロッコ保津峡駅と橋が見えた。
橋を渡って車道を水尾方向にしばらく登って、4時45分に JR の保津峡駅に到着した。
山上ヶ峰のピークという大きな宿題を残してしまったけれど、これもまた訪れるためのきっかけになるとプラス志向に考えたいと思う。
講座ではこれまでは見向きもせずに駆け抜けていた名所をゆっくり味わうことができたし、アフターは以前から気になっていたルートをおおむねトレースできたので、大満足の一日だった。
朝日峯
今日の随行は愛宕山北方の朝日峯だった。
今日ももちろん私は初めてで、山名を聞いたことも無かった山。
集合は高雄の奥の細野口というバス停。京都駅から1時間以上かかって 10 時前にようやく到着した。
愛宕山へ続く林道をゆっくり登って行く。
最近何度も見かけてさすがに覚えたタニウツギ。
今日、何度も見かけたエゴノキ。
これも一昨日に続いてコアジサイ。
しばらく行って、愛宕山へ向かう道から分かれて松尾峠へ向かう。愛宕山は右。
右の道は竜ヶ岳から東へ下りて清滝へ下る時に横切る林道につながっているようだ。
なぜかここだけ咲いていたクリンソウ。
しばらく行って田尻の廃村跡。
廃村八丁を彷彿させる。
ようやく山道らしくなってきて、沢沿いを行く。
なぜか排気ガスのにおいが強くすると思ったら、モトクロスバイクの二人に出会った。高雄側からやってきたようだ。
歩き出して2時間少々、12 時過ぎに松尾峠に到着して、ここで昼食にした。
昼食後に今日の目的の朝日峯に向かう。峠からは少し林道。
少し行って林道からはずれて山頂へ向かう。
山頂まではほんの 10 分程度だが、自然林の非常に雰囲気のいい道だ。
1時前に朝日峯(688.1m)に到着した。
ここは展望が素晴らしい。
正面は比叡山。左には横高山と水井山。
京都市内の向こうは鷲峰山などの山城の山々。
松尾峠に戻って高雄へ向けて下山。松尾峠のお地蔵さん。
このあとは登山道で、2時頃に林道まで下りてきた。
沢の対岸にマタタビ。
不気味な不動尊。
この道は昨年、京都一周トレイルを伏見から嵐山まで行った時に間違って入り込んだ道だ。
清滝川の橋に到着したところで今日は解散ということになった。
皆さんは高雄からバスで帰られるので、一旦バス停まで行ってから、私はトレイルコースを沢池の方向に行くことにした。
沢池方向へ向かう林道はこれまで高雄に向かう方向しか走ったことが無いので、どうも雰囲気がしっくりこない。こんなに急だったのかという感じ。
バス停を出て 30 分くらいで沢池への道の分かれまで来た。
時間も時間なので、沢池へは向かわずにこのまま林道を進む。
下りに入ったらもっとしっかりした林道になるのかと思ったら、以外に山道っぽくなってきた。
しかしそれもわずかで、1時間足らずで住宅街に出た。
そのあとわずかで今朝バスで通った R162 に出た。
JR の花園駅まで歩こうと思っていたのだが、こういう道を歩くのはストレスが溜まるもので、バス停に何人かが待っておられるので時刻表を見たところ、四条烏丸行きの1時間に1本のバスが間も無く来そうな時間だったので、これに乗ることにした。
さて、今日の最大の収穫は実はコレだった。
昨年、横山岳で見かけたヤマシャクヤク。
どこで見かけたかはヒ・ミ・ツ!。
大黒山
昨日は随行で湖北の大黒山へ行ってきた。
もちろん登るのは初めてで、これまでに山名すら聞いたことが無かった。
JR の余呉駅からタクシーで椿坂峠に向かう。
R365 は木之本と今庄を結んでいる谷筋の道だが、ここは柳ヶ瀬断層という活断層になっていて、断層の東側(大黒山方面)は傾斜が急で、西側はなだらかになっているという話をタクシーの運転手さんがしてくれた。
R365 と言えば思い出すのは今庄 365 スキー場。ここは昼間はスキーのみ(ボード禁止)というスキー場で、個人的には好みのスキー場だった。
椿坂峠は現在はバイパスのトンネルが通っているので、旧道で峠まで行くつもりだったのだが、旧道が通行禁止になっていて、トンネルを出て旧道と合流する所から歩くことになった。
峠まではゆるやかな登りで 20 分くらいだった。
峠にはバブル時代に別荘地として売り出されたとかいう名残がわずかに残っている。
峠のほんの少し手前から登山道が東に入っているが、道標などはまったく無い。このあたりは余呉トレイルというコースになっているそうだが、そういう標識は一切無かった。
登山道はいきなりの急登で始まるが、ちょうど登山道に沿って工事用のモノレールが敷かれていて、車道には車が2台ほど停まっていた。
登山道の溝に沿ってレールが敷かれているので、わずらわしいことこの上ない。
レールが手すりになって助かる場合もあるけれど、レールをまたいだりくぐったりと、素手だった私は早々に手が真っ黒になってしまった。
このコースは全般的にあまり展望が無かった。
たまに開けた箇所からは西側の赤坂山方面が望めたが、私にはどれがどの山だかさっぱりわからない。
傾斜は少し緩くなってきたけれど、レールはまだまだ続く。
もう山頂が近いというあたりまで登ってきたら、ようやくレールが終わった。座れる椅子が並んでいる。
ほどなく稜線の道に合流して、歩き出して1時間半ほどで大黒山の山頂(891.6m)に到着した。
まだ昼前なので、ブナ林を東峰に向かう。
久しぶりにギンリョウソウ。
一度目につくと、この後もしばしば見かけた。
このあと、送電鉄塔の整備の工事をしている人たちに出会った。例のモノレールで上がってきた人たちだった。
これは変わったブナの木。
このアングルで見ると2本の木に見えるけれど、反対側から見ると太い1本の幹になっていた。
ナナカマド。
大黒山から 30 分ほど歩いて、東峰で昼食にした。サルの群れがいたそうで、ケモノ臭がぷんぷんする。
来た道を引き返して、大黒山手前の尾根を南へ下る。分岐にはテープがあるだけで、道標は無し。
滑りやすい急な下りが続く。
奇妙な形の木が随所に現れる。
途中の展望エリアで東の方向を望む。鉄塔の左側は三周ケ岳?
3時過ぎに沢筋の林道のところまで下りてきた。
ウツギの仲間。
コアジサイ。
30 分ほどでバス停に着いた。すぐそばに八幡神社。
1日3本のコミュニティバスで余呉駅に戻った。
好天の土曜日にもかかわらず、他の登山者は誰一人会うことがなかった。
休日に山へ行くならこういう静かなところがいいけれど、いかんせん遠い。まさか一人で来てタクシーを使うわけにもいかないので、こういう機会でも無ければ来ることが無いという貴重な経験だった。
由良ガ岳
月曜日に続いて火曜日は由良川河口近くに聳える由良ガ岳へ行ってきた。
もちろん私は初めての山。
この日も暑い一日だったが、午後から日射しが弱まって、前日よりは多少はマシだった。
貸し切りバスで京都駅をスタートして、京都縦貫と舞鶴若狭道、綾部宮津道を通って、2時間半近くで上漆原の林道に到着した。
おそらくあれが由良ガ岳東峰。
すでに標高は 400m を越えているので、登るのはほんの 200m くらいだ。
舞鶴市が観光に力を入れているそうで、登山道は整備されている。
このあたりはタニウツギがたくさんあった。
まずは西峰を目指す。
歩き出して1時間少々で西峰(640m)に到着した。
天橋立が望める。
半島の先にあるのは一瞬、原発かと思ったが、京都府には原発は無い。関電のエネルギー研究所とのこと。
これはタニウツギの花が咲く前。
東峰に向かって少し行くとまた展望エリアがあって、足元に由良の街並みが見える。右は由良川の河口。
これはカマツカ。
整備された広場でゆっくりめに昼食をとった。
昼食後、20分ほどで東峰に到着した。
祠の手前には狛犬が左右に配置されている。
由良川の河口が広がっている。
若狭富士と呼ばれる青葉山の姿が美しい。
下山は北側の由良に向かう。
1時間20分ほどで無事下山した。
時間があったので、海岸の公園に立ち寄った。
このあたりは森鴎外の「山椒大夫」の舞台になったらしい。
海辺から由良ガ岳を振り返ってみる。
こうして見ると 640m もある山には見えない。
この講座は前日よりもレベルの高いクラスだったが、内容的にはずいぶんゆったりとした行程だった。前日よりははるかに楽で、私自身も楽しむことができた。
大和葛城山
月曜日は登山教室の随行で大和葛城山へ行った。
ちょうど昨年のこの時期にも別の講座で登ったが、同じルートで登って、ロープウェイの山頂駅で解散して、後は各自自由という行程になった。
前日のマラニックにも増して日射しの強い暑い日で、年齢層の高い講座で葛城山までの登りが大丈夫か不安だったが、昨年よりは人数が少ないこともあって、昨年ほど前後が開くことは無かった。
昨年は好天の日曜日だったので道が渋滞してバスが何時に着くかわからないという状態だったので、ロープウェイの駅まで1時間ほどかけて歩いたけれど、今回は月曜日なのでバスに乗ることができた。それでもバスは満員になった。
ロープウェイの駅を10時頃に出発。
山頂はすぐそこのように見えるが、登りは階段の連続でなかなか厳しい。
定番コースでくじらの滝へ。
階段をひたすら登る。
2時間半ほどの登りで無事山頂エリアに到着して、昼食にした。日射しは強いが空気は爽やかだ。
昨年もツツジはほとんど終わっていたけれど、今年はすでに完全消滅状態。
向かいは金剛山。昨秋にこの講座で行かれているのだが、私はその時はヘルニアで休んでいた。
このところ天気が良くても遠くは霞んであまりよく見えない。まだ黄砂の影響なのだろうか。
昼食後は葛城山頂へ。
午後1時過ぎに山頂(959.7m)に到着した。
大和三山を見下ろす。何度見てもどれが何山か覚えられない。
この後、ロープウェイの山頂駅まで行って解散となったが、3名の方が歩いて下りたいということで、私も歩いて下りるつもりだったので、一緒に下ることにした。
自然研究路を下って、昨年下りた道に途中で合流した。
途中でリスを見かけた。
展望エリアでロープウェイが通過していくのを眺めて、滑りやすい道を慎重に下った。
このところ快晴の日が続いているので、土が乾いて非常に滑りやすくなっている。
慎重に足を置いていたのだけれど、それでも左足を滑らせてしまって、バランスを崩したひょうしにそばにあった木に頭を打ち付けてしまった。
打っただけと思っていたら、少ししたら血がにじんできた。
ボクサーがよく試合で出血する、まぶたの上の骨の出っ張ったあたりを木に打ち付けたようで、同行の方に心配させてしまった。しかしケガをしたのが自分で良かった。
帰りのバスはちょうど数分前に出たばかりで、次のバスまでは50分ほど待たなければならない。
みなさんは売店で休んでバスを待たれるとのことだったが、私は昨年と同様に近鉄御所駅まで歩くことにした。
30分ほどで着くと思っていたが、35分ほどかかって駅まで歩いて、自動販売機でコーラを買って電車に乗り込んだ。
この日、履いていたのはもう3年ほど使っている重めのトレランシューズで、カカトが随分すり減っていて、ブロックが消えてきている。
今日のコースなら大丈夫だろうと思っていたが、下りの最後の方が滑りやすいということはすっかり失念していた。
このシューズはもう山で使うのは止めて、普段履きに格下げしようと思う。
堂満岳
今日は登山教室の随行で比良の堂満岳へ行ってきた。
久しぶりに正面谷を登って、気持ちのいい一日だった。
堂満岳は麓から見た姿が精悍な山だ。山頂付近はなかなかの急坂だが、危険な箇所はほとんど無い。
2年ほど前にも登山教室で別ルートから登ったが、個人的にはそれ以来の再訪となる。
イン谷口でバスを降りて、正面谷を詰めていく。
大山口で小休止して、堰堤をいくつか越えていく。
これはタニウツギというらしい。
左手から堂満谷が流れ込む。
いよいよ青ガレへ。
琵琶湖が足元に広がってきた。
青ガレが終わってもまたガレっぽいところが続く。
残念ながらシャクナゲはもう終わっているが、シロヤシロがいい感じ。
歩き出して1時間半ほどで金糞峠に到着。
峠から少し北西へ下ったところで少し早めの昼食にして、その後は芦生杉を眺めに行った。
金糞峠に引き返して、いよいよ堂満岳へ。
これはアカヤシオ?
上に上がるとシャクナゲも少しは残っている。
峠から 45 分くらいで堂満岳(1057m)に到着した。
朝方は稜線のあたりは雲に覆われていたけれど、琵琶湖がきれいに望める。
しばしの休憩を取って、東尾根を下る。
最初はなかなかの急斜面で、滑りやすい。
1時間半ほどかかってようやくノタノホリ。
ここは訪れたことがあるはずだが、もはやまったく記憶が無い。
岸辺から延びた木の枝にモリアオガエルの大きな卵の固まりが。
本数の少ないイン谷口からのバスのちょうど 10 分前くらいに無事下山することができた。
とても楽しい一日だった。
大谷山
昨日は登山教室の随行で野坂山地の大谷山へ行ってきた。
天気予報では午前中は雨の確率が高かったが、登山口までのアプローチで少し降られたくらいで、行動中はほとんど降られなかった。
ただし黄砂の影響などもあったようで展望はあまり得られなかった。
しかしこの地域独特のブナ林ではガスがかかった幻想的な風景が味わえて、まるで水墨画の世界に迷い込んだような雰囲気の一日だった。
マキノ駅からバスでマキノスキー場の温泉さらさで下車。
まずはゲレンデの斜面を登って行く。
先月の伊吹山と同様に、眼下に琵琶湖の風景が広がってきた。
登って行くとオオイワカガミがたくさん出てきた。
マムシソウも。
約2時間で寒風へ到着。
足元はガスに覆われている。
大谷山を目指して稜線を歩く。
歩き出して2時間半で大谷山(814m)に到着した。
下山は石庭下山口から石庭方面に向かって、704m 地点から不明瞭な稜線を南下する。
このあたりはまるで水墨画の世界だった。
滑りやすい道を慎重に下って、田屋城跡へ。
その後、車道をしばらく歩いて沢のバス停からバスに乗って、近江中庄駅から電車で帰ってきた。
このところの登山教室はあまり天候に恵まれていないけれど、雨の予報にもかかわらずそれほど雨には降られないという日が続いていて、これはこれで運がいいのかもと思ったりしている。