数日前、Cream のベーシストだった Jack Bruce が亡くなった。往年の大物ロックバンドのメンバーはほとんどがすでに誰か他界しているのだが、数少ないフルメンバーの残っていた Cream もついにメンバーが欠けることになってしまった。
これでもう二度とあのサウンドを聴くことはできないのかと思うと、非常に淋しくなる。
私がロックに興味を持ち始めたのは 1970 年あたりなので、Cream の現役時代は知らない。
深夜放送や FM の番組などでいろんなバンドを聞いて、初めての本格派ロックバンドとして Led Zeppelin のコンサートに行ったりした。
Cream を初めて聞いたのもおそらくラジオで、ライブ演奏の Crossroad にはぶったまげた。特に Jack Bruce のベースはまるでリード楽器のような自由奔放な演奏で、あんな弾き方をするベーシストはジャズの世界でもまだいなかったと思う。
私にとって史上最高で最強のロックバンドは Cream で、Eric Clapton にしても Cream 時代の演奏が一番好きだ。本人は Cream 時代はあまりいい思い出ではないようだが。
もう 10 年以上前くらいだと思うが、Jack Bruce の来日公演が予定されていて、当然のごとくチケットを買って楽しみにしていた。
メンバーはドラムに Simon Kirke、ギターに Char というトリオ構成で、これは Cream サウンドの再現に間違い無いと非常に楽しみにしていたのだが、直前になって Jack の体調不良でキャンセルになってしまった。
結局 Jack Bruce は一度も生で見ることができなかった。
10 年ほど前にロンドンで再結成コンサートが4日ほど行われて、スカパーで放映されたのを録画して何度も何度も見た。今もしばしば見ている。
世界ツアーでもやってくれないかと期待していたが、残念ながらそうはならなかった。
コードのルート音を中心にきっちりとしたビートをきざむベースの演奏から大きく脱却して、メロディラインを奏でてリード楽器(ロックではほとんどがギター)と絡むような演奏スタイルは、Jack Bruce がおそらく最初だと思う。
実はクラシックではバッハなどのバロックはこういう手法なのだが、Jack は元々クラシックのコントラバス奏者だったので、それがバックボーンになっていたのではないかと思う。
いずれにしても『巨星落つ』の感が強い。合掌・・・。