UTMF 2016 の公式結果が公表された。
距離は 44.8k、累積標高差は 1926m だったそうだ。
距離はまぁいいとして、累積標高差が 1926m ????
登りらしい登りは足和田山とパノラマ台のそれぞれ 500m くらいで、あとはほとんどちょっとした登り下りくらいしか無かった。
どういう計測をしたらこんな値になるのだろうか。
いくら細かいアップダウンを正確に計測したとしても、体感的にはせいぜい 1300m くらいだと思う。
今回に限らないけれど、トレイルレースで公表されている累積標高差はとても信じられないような値が多いと感じる。
UTMF のサイトではポイント対象レースの距離と累積標高差が公表されているけれど、私が走った経験のあるレースで言えば、おんたけウルトラトレイル 100k は 3000m となっているけれど、実際は 2000m ちょっとくらいだと思う。
さらに驚きは王滝ダートマラソンの 2840m。体感的には 1000m ちょっとくらいだ。
おんたけウルトラトレイルと王滝ダートマラソンはどちらも王滝村の林道を走る似たようなコースで、距離が倍以上違うのに(王滝ダートマラソンは公表 42km、実際は 40km ちょっと)、累積標高差が 160m しか違わないなんてあり得ない。
ハセツネは 4800m となっているけれど、もう 20 年くらい前のことなので記憶が薄れている。ただ、そんなにはないんじゃないかという感じはする。
海外のレースはどうなんだろうか。
トップ選手のタイムと距離、累積標高差を比較すると、海外のレースも同じようなものではないかという気はする。
コースの性格を比較する材料として公表されているのだが、みんな不正確なら相対的には比較できるということ?
月: 2016年9月
UTMF 2016 エピローグ
ゴールした直後、不安だった右足の股関節に痛みを覚えた。
レース中は何ともなかったけれど、やはり負担にはなっていたようだ。もし 100 マイルだったら途中で痛みが出ただろうと思う。
一息ついて、コーラを一杯いただいた。
それから富士宮焼きそば、めはり寿司、野菜スープをいただいた。富士宮焼きそばは麺にコシがあっておいしかった。昨年の大会でフランスの Arnaud Lejeune がおはしを使わずにパックに口を突っ込んでいたやつだ。
大池公園に戻るバスの状況が心配だったので、早々にバス乗り場に向かった。
途中でトイレに寄ったが、よく考えたら8時間半のレース中、一度もトイレに行かなかった。50 歳を過ぎてからは3時間半のマラソンでも一度はトイレに立ち寄っていたのに、ひょっとしたら水分補給が不足していたのかも知れない。
急なコース変更にも拘わらず、バスの運行は極めてスムーズで、少し並んだだけですぐにバスが来て、すぐに満員になって出発した。
大池公園までは1時間足らずだっただろうか。
バスを降りたら急に寒気が襲ってきた。たぶん体調の変化ではなくて気温が下がっていたのだと思う。
チップを返すテントに向かって行ったところ、今回は距離が短縮されたが記録としては完走ということになるので、フィニッシャーズベストがもらえるらしい。ただしすでに在庫切れで、後日郵送してくれるとのこと。
素直にうれしいけれど、事情を知っている人に外で見られるのはちょっと恥ずかしい。
預けていた荷物を受け取って、更衣テントに入った。少し暖かくてほっとした。
身体を拭く使い捨てアルコールタオルを忘れてきてしまったのだが、このすぐ近くにあるホテルの風呂が選手用に 24 時間営業しているとのことで、荷物をまとめただけで早々にそこへ向かった。
会場からほんの3分程度の場所で、やはり泥だらけの選手でごった返している。しかし贅沢は言えない。
シューズと靴下は悲惨な状態だった。シューズを脱いだり靴下を脱いだりするたびに、ドロがあたりにパラパラと落ちる。みんなそうなので、床はすでに泥だらけ。
ようやく裸になって浴室に入ろうとしたら、何か中が騒然としている。どうも中で倒れた人がいるようで、「救急車を呼んで!」という声が聞こえてくる。
中に入ったら横たわって介抱されている人がいたが、今度も横目で見るだけで何もしなかった。すでに何人かで対応しているので、そんなところに割り込んだら余計ごちゃごちゃするだけだ。
湯船に身体を沈めたらようやく全身に安堵感が漂ってきた。
さっぱりしてロビーに出たが、まだ午前2時。しかしロビーは大混雑で、しかも至る所にドロが落ちているので、こんな所には長居したくない。身体も暖まったので、早々に駅に向かうことにした。
駅のそばのコンビニで煮込みうどんとビールを買って、駅前のバス停のベンチで一人宴会にした。
印刷してきたバスの時刻表によると、一番のバスは7時過ぎ。時間はいやほどあるけれど、さすがにうろうろする気にはならない。
ところがバス停で本当の時刻表を見たら、何と7時の便は無くなっていて、一番は9時過ぎになっている。UTMF が短縮になった時以上のショックだったが、どうしようもない。
音楽を聴いたり、コンビニでコーヒーを買って飲んだりしながら時間をつぶして、ようやく7時近くになった。
東京方面へ向かう高速バスは5時台から何便かあるのに、西の方向は迫害されていると恨み節の一つも言いたくなる。
そうこうしていたら、7時頃に御殿場行きのバスがやってきた。
新富士へ行くことしか考えていなかったけれど、来る前に経路を調べた時に、御殿場経由の経路があったことを思い出した。
御殿場行きのバスは出てしまったけれど、携帯で御殿場経由を調べてみると、JR は新富士経由よりも少し高いけれど、バス代がだいぶ安くなるので、トータルではほとんど同額くらいだった。
しかし御殿場行きのバスはちょうど出たばかり。がっかりしたが、念のためにと思って御殿場行きの時刻表を見たところ、何と7時半に次の便があるではないか。しかも1日に4便しかない新富士行きと違って、1時間に1本くらいはある。
急に気分が良くなって、7時半のバスで河口湖を後にした。
ひょっとしたら河口湖に来るのはこれが最後になるかも知れないと思ったが、後ろ髪を引かれるような気持ちにはまったくならなかった。
UTMF 2016 レース
いよいよスタート時刻が迫ってきた。
今回のウエアは昨夜の寒さを考えて上は登山の時に着る夏用長袖ジップシャツとメッシュの袖無しアンダー。下は七分丈のタイツにカーフサポーター、薄いミトンにもなる指無し手袋。シューズはもちろん HOKA Rapa Nui 2s で、泥よけのゲイターを着用した。
※バッテリー切れで尻切れトンボ。
10 秒前からカウントダウンが始まって、午後3時ちょうどにスタートの号砲が鳴った。
スタートゲートが狭いので、号砲直後は通勤ラッシュの電車以上の混雑。押し合いへし合い状態でゲートを通過したのはほぼ1分後だった。
ゲートを越えたすぐの所に鏑木さんがおられて、さかんにハイタッチされていた。
三浦雄一郎さんの姿は確認できなかった。
会場を出るとすぐに湖岸の遊歩道に出る。このあたりから少し走れるようになってきたが、幅が狭くなるとすぐに渋滞する。
そこそこスムーズに走れるようになったのはスタートして5分後くらいからだっただろうか。
しばらくはフラットな遊歩道なのでそれなりのスピードで進む。と言ってもせいぜいキロ5分半くらい。聞くところによるとこのあたりはトップ集団は 100 マイルの時でもキロ3分半くらいで行くらしい。
当初は今回は時計は GPS 機能を使わないつもりでいた。早々にバッテリー切れになるのは明らかで、そういうことに気を取られるのがわずらわしいので、単に時計として使うだけのつもりでいたが、49km に短縮されたので、GPS 機能を使うことにした。ただしゴールまではバッテリーが持たなさそうだ。
スタートして約 4.2km、27 分くらい経過した時に、例の渋滞箇所に到着した。
道路を渡るまでは結局 15 分くらいだった。しかし道路を渡った直後にトレイルに入って、ここがすぐにシングルトラックになるので、ここでも同じように渋滞していた。ここにはシンガーソングドクターでランナーの福田六花さんがおられた(写真右端にチラッと)。
結局、そこそこまともに進めるようになるまでトータルで 30 分くらいかかったように思う。
まずは最初のピークの足和田山(1355m)を目指す。河口湖畔が 800m 以上あるので、標高差で 500m くらいだ。
足元は濡れているけれど、登りなのでほとんど気にならない。
しばらく登ったところで何人かの人が立ち止まっていたので何かあったのかと思ったら、思いがけず富士山を眺めることができた。
足和田山のピークを4時 53 分に通過した。
下りは難渋した。とにかく滑りやすく、粘土の中に足を突っ込んでいる感じ。ゴボウ抜かれした。
転倒されたのか、道ばたで介抱されている女性がいたが、横目で見て通り過ぎた。どうせ止まっても何もできない。
鳴沢氷穴のウォーターエイド W1(13km)には5時 29 分に到着。しかし本当に水しかなかったので、歩きながらジェルを補給しただけでスルーした。そろそろ薄暗くなってきた。
薄暗い中、青木ヶ原樹海を行く。一人なら不気味かも知れないが、前後にランナーがたくさんいるし、単にフラットなハイキング道を走っているというだけ。
樹海を出るとしばらくはバスの走る車道(歩道あり)を行く。やや下り基調で、ペースはキロ6分を少し切るくらい。
しばらく行ってトレイルに入る所でヘッドランプを出した。
ここから精進湖民宿村エイド A1(20km)まではわずかで、6時 21 分に到着した。大会が想定する最も遅い人が4時間という所まで3時間 21 分だった。おおむね期待通りのペース。
エイドでは精進湖すい豚とバナナ、パンをいただいて、5分で出た。
しばらくフラットなトレイルを行く。走りやすい道なのに、何故か歩いている人がちらほらと出てきた。「まさかラン禁止区間?」と思ってしまったけれど、案内にはそういう記載は無かったはずだ。
そんなところを 30 分ほど進んだら、パノラマ台への登りにさしかかった。ここにはサックスでロッキーのテーマを吹いている人がいた。少なくとも私の耳に入る範囲では、まったく休むことなく吹き続けていた。つづら折れを登ってもいつまでも耳に入ってくるので、いささか耳障りだった。
パノラマ台は 1328m で、麓からの標高差は 400m 少々。上位の選手ならおそらく走って登っているであろうと思われる程度の傾斜だが、立ち止まって横に避ける人がちらほらと出てくる。
パノラマ台までは 45 分くらいだった。このあたりから時々雨脚が強くなってきた。
ここからは少し下って、その後は登ったり下ったりを繰り返す。雨脚が強くなってきたので雨具の上を着て、帽子をかぶった。
下りは泥沼状態の部分が多いので、慎重に下る。こんな所で転けてどろどろになったら精神的にがっくりきてしまう。
かなり後方にいるせいもあるのだが、この路面の荒れ方は相当なものだ。天候が回復してハイキングに来られた方はびっくりされるのではないだろうか。「トレランレースは環境破壊」と言う声をしばしば聞くけれど、確かにその通りだと思う。自分でやっていてこんなことを言うのも何だけれど・・・。
佛峠を越えて最後の下りはかなり悲惨な状態だったが、何とか転倒せずに本栖湖エイド A2(32km)に9時 19 分に到着した。大会想定の最も遅い人が7時間 30 分という所まで6時間 19 分だった。
ここでは水を補給して、ゆば丼とみのぶまんじゅう、バナナ、コーラをいただいた。
ここの掲示板に希望者は翌日の STY に出場可能と書かれていたが、私はそういうつもりはまったく無し。ただしスタート地点のこどもの国までは自力で移動すること。ただ、それならなぜスタート時に案内しなかったのかという疑問は感じた。
※その後、短縮 UTMF に完走した人だけが権利があるというアナウンスがされた。案内が後手後手に回っている感じは否めない。短縮 UTMF を走らずに STY で優勝されるとまずいということだろうけど。
それとフィニッシュ地点を道の駅あさぎりに変更するという案内も出ていた。麓エイドのさらに手前だ。
もうあとはロードだけだろうと思いながら、8分の滞在でエイドを出た。外は本降りになっていた。
雨の夜はヘッドランプの光が乱反射して非常に見えにくい。特に舗装道路では路面の雨の反射もあってさらに見にくい。
この道路は所々小さな窪みがあるようで、一瞬くぼみに足を取られてバランスを崩した。雨水が溜まっているのでわかりにくい。
これは足元を注意していないと危ないと思って慎重に走っていたところ、少し前を行く人が突然バランスを崩してへたりこんだ。おそらく例のくぼみに足を取られたのだろう。女性だったが、今度もそのまま通り過ぎた。
A2 からは 12km くらいとのことだったので、ロードなら1時間半くらいだろうかと思って走っていたら、またトレイルに入った。車道のすぐ脇のハイキングロードのようだ。
しかしこのトレイルが足元ぐちゃぐちゃで、ほとんど走れない。すぐそばを走る車の音が聞こえる場所で、これくらいなら車道を走らせてくれた方がいいのにと思うくらいだった。
また車道に戻ってしばらく行くと、「あと 3km」と案内している方がおられた。やれやれと思ったと同時に、最後までしっかり走ろうという気持ちになった。
そこから 1km くらい進んだかなと思う頃、車道を離れて横道に入らされた。路面の荒れた細い林道のような道で、さらに進むとトレイルになって、しかもスネまで水につかるほどの水たまりをバシャバシャと通過するはめになった。
ところが、どういう訳か前からランナーが戻ってくるではないか。
何事かととまどっていたら、どうもロストしているようだとのこと。しかしマーキングは付いている。
直前にコース変更になったので、マーキングが正しく設置されていないのではないかとのことで、あっと言う間に 100 人くらいの集団ができてしまった。
取りあえず引き返すが、その後も後ろからどんどんランナーがやってくる。
そのうち誰かが事務局に電話で確認されたようで、実は最初に走っていたルートをそのまま進むのが正しいということがわかって、またまた元に戻ることになった。このあたり、同じ道を行ったり来たり3回も走ることになった。
スネまでの水たまりを3回目通過して、さらに先に進む。
少し前まで張ってきた気持ちが一度切れてしまったけれど、何とか最後はしっかりと締めようと気持ちを立て直した。
このあたりは牧場なのか、動物の臭いがする。
後から考えると、「あと 3km」と言われた方は、正式なコースを知らずにそのまま車道を進んだ距離で案内されたのではないかと思う。
緩い登りを少し上がって、車道を渡った所がフィニッシュの道の駅だった。
ゴールゲートの先では福田六花さんが迎えて下さった。
こういうことをやるのはこれが最後かなと思いながら、いつもの自分のセレモニーとして、大会関係者の皆さまへの感謝の気持ちを込めて、ゴールゲートに向けておじぎをした。
タイムは8時間 31 分 42 秒。完走者全 1342 人中 1083 番だった。ちなみに優勝タイムは男子がアメリカの Dylan Bowman で 3 時間 46 分 37 秒、女子がブラジルの Fernanda Maciel の 4 時間 51 分 03 秒(総合 31 位)だった。
UTMF 2016 結末
UTMF 2016 はすでにご存じの方もおられると思うけれど、静岡県の大雨警報のために、スタート直前になってフィニッシュ地点を麓エイドの 49km にすると発表された。
結果的にはさらに手前の 44km 地点の朝霧高原道の駅がゴールとなった。
今日の 12 時に雨の中をスタートした STY も先ほど中止が発表された。コース上の選手は次のエイドでレースを終えるとのこと。
昨年は想定外の体調不良で DNS となってしまったが、今年はさらに輪をかけた想定外の結末となった。
木曜日は昨年と同じく新幹線で新富士まで行って、そこからバスで河口湖へ行った。4時前に河口湖に着くバスに乗ったが、昨年乗ったもう1本遅いバスは最近の時刻変更で無くなっていた。
最新情報を調べていなかったので、昨年と同じ時間に出ていたらバスに乗れないところだった。
今年も富士山はまったく見えず。時々本降りの雨になるけれど、河口湖駅に着いた時は雨は止んでいた。外は以外と寒い。
今年の宿は河口湖駅近くのゲストハウス。昨年泊まった駅前のドミトリーは調べた時点ですでに満室で、かろうじてこのゲストハウスの4人部屋だけが何とか確保できた。1万円少々したけれど、新しい建物で居心地も良く、ゆっくり休むことができた。
チェックインをすませて早々に会場に向かう。今年は会場が変更になって(第1回大会と同じ)、駅から 2km くらいの歩ける場所になった。
湖畔の道をぶらぶらと大池公園へ向かう。30 年以上前、3回目のフルマラソンで河口湖マラソンを走った時に2回渡った河口湖大橋。
今年は無事このゲートをくぐれるだろうか。
ステージもこぢんまりとしている。
駅前には気温が 16.7 度と表示されていた。
スタートは金曜日の午後1時なので、チェックアウトタイムの 10 時の少し前、9時半過ぎくらいにゲストハウスを出た。朝方は本降りだった雨も今は止んでいる。少し寒いので雨具の上下を着て出かけた。
会場に着いた頃から雨がぱらぱらと降ってきた。
ギアチェックを済ませてドロップバッグと荷物を預けたら後はスタートを待つだけ。まだ2時間以上ある。
雨が止んでいたので、湖岸の石畳の上で足を伸ばして横になった。
スタートまで1時間を切ったので、トイレに行っておこうと思って列に並んでいたら、何とスタート時刻を午後3時に変更するとのこと。静岡県に大雨警報が出ているようで、スタートを遅らせてこれが解除されるのを期待するということのようだ。
ようやくスタートが近づいてきたと思っていたのに、またこれから3時間近くも時間をつぶさなければならない。おまけに雨も降り出してきた。10 時過ぎに会場に着いてから、5時間近くも待たされることになった。
雨具を着ていたので屋外でイスに座ってぼうっとしていたけれど、ギアチェックをやっていたテントが解放されたようで、イスを持ってそちらへ移動した。
スタート1時間前を切ると、そろそろスタート地点に移動する人が現れてきた。
参加者は 1500 人以下で、都市マラソンに比べると一桁以上少ない人数なのだが、それでもスタートはそれなりに渋滞する。
実はスタートして 4km くらいの所で車道を渡ってトレイルに入る場所があるのだが、完全な交通規制ができないので、車を通しながら 20 人くらいずつ渡ることになる。ここが昨年は最後尾では1時間くらい待たされたそうで、今年も同じ状況になる可能性が高い。
昨年はここでの待ち時間を考慮して途中まで関門閉鎖時刻の延長が行われて、今年も状況によってはそういう対処になるとのことだったが、何とかここでの待ち時間は最小限に留めたい。
そんなわけで私もそこそこ前の方に並ぶことにした。
雨はほとんど止んでいるので、雨具は脱いでザックに入れた。
2時半に開会式が始まる。
私が大嫌いなタイプの、むりやり盛り上げるわざとらしいしゃべり方をするアナウンサーの声で始まったが、大会実行委員長の鏑木毅さんから「大きな決断をしました」という一言が出た瞬間、会場にどよめきが走った。
一部のコース変更はすでに発表されているが、麓エイドの先の天子山地がかなり危険な状態になっているので、もし大雨警報が解除されてもここに入るのは危険と判断して、麓エイドを今回のフィニッシュ地点にするという発表だった。
落胆の声が随所から聞こえてきたけれど、私自身はそれほどの落胆は感じなかった。落胆はあったけれど、心のどこかにほっとしたような気持ちもあったように思う。
なぜなら、今回の UTMF に向けてはこれというほどの準備をしてこなかったからだ。大した努力もしてこなかったので、こういう結末になってもさほど大きな落胆は無かった。
こういう大会に参加するのは当面これが最後と考えているので、49km ならおそらく完走できるはずなので、途中リタイアで終わるよりはいいかなと思ったりもした。
とは言ってもやはり気持ちのアップダウンはそれなりにはあったけれど。
UTMF へ
いよいよ UTMF 2016 のスタートが金曜日に迫ってきた。
こういうビッグレースに緊張感を持って参加するのは、おそらくこれが最後になるだろうと思っている。
昨年は直前で体調を崩してスタートすらできなかったので、今年は練習不足にもかかわらず直前にはムリをしないことにした。おかげで体調は悪くない。
唯一の不安と言えばこのところ違和感のある右足の股関節くらい。走れなくなるほどの痛みが出ることはないけれど、長時間になるとどうなるかわからない。
私がビッグレースに参加するとしばしば天候が悪くなるというジンクスは今年も引き継いでいるようで、金曜日の山梨県の降水確率は 80%。
台風 16 号の影響もあって、早々と2カ所のコース変更が発表された。
序盤の竜ヶ岳がカットされて麓の車道を迂回することに。この影響で標高差 500m ほどの登りが無くなる代わりに距離が 1km ほど増えることになった。
終盤の杓子山からの下りはコース変更で距離も標高差も若干増えることになった。
序盤の変更は私にとっては若干のプラス材料かも知れない。
今回は装備を極力減らすことにした。
昨年はいつも使っているザックでは荷物が入りきらないので、事前に少し大きめのザックを購入したが、今年は使うザックをまず決めて(Ultimate Direction PB Adventure Vest 11L)、それに入る分だけを持って行くということにした。
昨年は必携になっていた保温用のウエアが今年は「特に勧める」ということになったので、不必要と思われるものは思い切って割愛することにした。
持参する食料はジェルや粉末だけにして、固形物はエイドに頼る。
戦略は序盤からある程度突っ込むこと。
こどもの国の関門(約100km、22時間20分)までが私にとっては厳しいので、ここがゴールくらいのペースで押していかなければならない。
その先まで考えてペース配分している余裕は無い。
明日は昨年よりは早めに出て、夕方には河口湖に着く予定。
昨年は、序盤の関門閉鎖時刻の延長を知らせる携帯メールを病院のベッドの上で点滴を受けている時にもらって寂しい思いをしたけれど、今年はそれだけは避けられるだろうと思っている。
とにかく、スタート地点に立って、ゲートをくぐること。それが果たせればこの1年間の悔しさが半分は晴らせると思っている。
音羽三山
日曜日は随行で奈良の音羽三山へ行ってきた。
ここは2回目。随行の仕事を始めたきっかけは3年前の夏の西穂高岳で、その後、初めて日帰りコースに行ったのがここだった。
ちょうど同じような季節で、その時は好天に恵まれたが、今日は生憎の雨模様。しかし幸い予想されたほど強い雨が降り続くことは無かった。
不動滝のバス停で桜井市のコミュニティバスを下車する。以前の記憶があるような無いような・・・。
歩き出した頃は時折パラパラと降る程度だったので、傘をさして歩くことにした。
ここの不動滝は篠山の不動滝よりは水量があった。雨のせいだろうけど。
しばらく細い舗装道路を行くが、次第に登りが急になってくる。前回は晴れていたので特に気にすることも無かったけれど、今日は雨で路面が濡れていて、おまけにコケが生えている所もあって非常に滑りやすい。
今日は雨模様だったのでサロモンのゴアテックスのトレランシューズを履いてきたのだが、サロモンのシューズは濡れた岩場が非常に滑りやすい。
慎重に足を出したけれど、それでも滑って思わず手をついてしまう局面もあった。
1時間少々でようやく山道の取り付きまで来た。しばしの休憩でいよいよ山道へ入る。ここもなかなかの急登。
大峠まではわずかの登りなのだが、ここで足に痙攣を起こす方が現れた。ご本人もつるクセがあることは認識されていて、漢方薬を飲まれて何とか大峠まではたどり着いたものの、先行きに不安があるのでここで下山したいとのこと。
まだ先が長いのでムリに進むのも不安なので、ここで下山していただくことにして、先ほどの舗装道路まで私が付き添って下山した。
ここからまた登り返して本隊を追う。数分で大峠に戻った。
ここからの登りもなかなかの急登だった。以前の記憶はほとんど無い。
急登が終わったら小さな建物が出てきた。これは記憶がある。
前回の記憶では確か建物の手前を左に回り込んだはずなのだが、そこはヤブになっている。建物の右側を進んだところ、はっきりした道が先にまっすぐ伸びていた。
こんなところに分岐があった記憶がなかったので、さほど疑うことも無くそのまま直進した。
ステップの置かれたしっかりした道で、これなら間も無く追いつくだろうと思っていたら、突然前に鉄塔が現れた。
これは記憶が無い。道もここで途切れている。どこかに道が隠れているのではないかと思ってうろうろしてみたけれど、それらしい踏み跡は見あたらない。
あわてて gps で確認したところ、入れてきたルートから東にずれている。
急いで来た道を戻った。先ほどの建物まで戻って、前回回り込んだ方向に行ったところ、何とか正しい道に戻ることができた。
ロスタイムは 15 分くらいだろうか。早々に追いつくと思っていたのに、もう12時を過ぎている。いくら何でも本隊が昼食になるまでには追いつきたい。
また急登を少し登ってようやく熊ヶ岳(904m)に到着。
相変わらずの笹藪で、足元が見えずに下りで足を滑らせた。
昼食は経ヶ塚山だと思うので、何とかそこまでには追いつきたいと急いだところ、ようやく本隊が見えた。ほっとした。
下山者を見送ってから30分もあれば追いつくだろうと思っていたが、結局45分くらいかかってしまった。
ここから15分くらいで経ヶ塚山(889m)に到着して、昼食となった。
音羽山(851m)まではほんの30分足らずで到着。
善法寺に向けて下山していたら展望台への近道ができていたので、そこを下った。木の階段があったりして、さほど新しい道ではない感じだった。
雨も上がって展望台からはなかなかの眺望が得られた。
しばらく歩きにくい沢筋を下る。
展望台から30分足らずで善法寺(音羽観音寺)に到着した。
お葉つきイチョウ。
ツリフネソウ。
ハガクレツリフネソウ。
ここからの道も濡れて滑りやすくて、慎重に下った。まともな車道に合流した時はほっとした。
花の講座で長岳寺で鑑賞したスイフヨウ。
めずらしい花かと思っていたけれど、実際はそれほどめずらしいものでは無さそう。
前回は台風の影響による道路工事で予定のバス停に下れなかったけれど、今回は無事、下居(おりい)に下りてくることができた。
雨はそれほどひどくなくて助かったけれど、おかげで暑くて随分汗をかいた。たまらずバス停のそばでこっそりとシャツを着替えた。
白髪岳、松尾山
昨日の随行は篠山の白髪岳(しらがだけ)と松尾山。今回も私にとっては名前を聞くのも初めての山だった。
ほぼ2時間半かけて登山口の福知山線古市駅へ。バスに乗らなくていいのがせめてもの救い。
しばらく車道を歩く。道のそばには丹波名産の黒豆の畑。
ヒガンバナもたくさん咲いていた。
道が北向きになると正面に白髪岳が望める。
舗装が無くなって登りに入るとクリの木がたくさん出てきた。さすがに栽培されているだけあって実が大きい。
1時間15分ほど歩いて林道終点へ到着。
ここから登山道に入るが、少し登ったところに明治時代に銀を掘削した穴の跡が残っていた。
なかなかの急登が続く。稜線に上がると白髪岳がだいぶ近づいてきた。
この先は鎖や固定ロープのある岩稜がしばらく続いて、ちょうど12時頃に白髪岳山頂(722m)に到着した。
360度の展望だが、山がありすぎて何山なのかほとんどわからない。
南には六甲。
東の方には足元に篠山の市街が見える。
昼食後は稜線伝いに松尾山へ。1時間足らずで山頂(687m)に到着。
山頂エリアは城跡で、地面が削られた跡や石垣の一部が残っている。
下山は南へ。少し下ると千年杉だが、北山の芦生杉に比べるとかなり小ぶり。
しばらく下ると卵塔群。
そして高仙寺本堂跡。
沢筋を下ると不動滝。水量が少なくてちょっともの足らない感じ。
ほどなく舗装道路になり、朝に通った三叉路に出て、さらに舗装道路を駅まで歩いた。
今日も蒸し暑い一日だった。もう9月の後半だと言うのに、いったいこの暑さはいつまで続くのだろうか。
UTMF まであと1週間。何とか暑さがおさまってくれることを願うばかりだ。
伏見稲荷から京都女子大
今日の随行は京都一周トレイルを伏見稲荷から京都女子大まで歩いた。
前日までは雨を覚悟していたけれど、近づくにつれて降水確率が下がって、午前中は晴れ間が出るくらいの天気になった。
京阪伏見稲荷駅のそばの公園で少し説明を受けてからスタート。
一応、本殿をお参り。
今日は平日のためか千本鳥居の一部などが工事で通れなくなっていた。
膝松さんは場所が少し移動してこんな感じに。
今日は空気が澄んでいるのか、四ツ辻からはかなり遠方まで望むことができた。
時間があるので寄り道をして稲荷山の山頂まで足を延ばした。
鳥居の奉納は明瞭会計?
トレイルコースの四ツ辻の少し先の展望エリアで昼食。ここからはアベノハルカスが見えた(この写真ではわかりにくいかも)。
泉涌寺はいつもと同じく大門から眺めるだけ。
またまた寄り道して悲田院そばの展望エリアから愛宕山方面。
紅葉の名所の来迎院にも寄り道。
今熊野観音寺でトイレ休憩。小雨がぱらついてきたけれど、傘をさすほどではない。
しばらく住宅街を歩いて、今日初めて山道に入る。
京女鳥部の森を行く。
この先でトレイルルートをはずれて、京都女子大の方へ下った。
下った所はいつもマイクロバスでお世話になっている会社の駐車場。
ここで解散となった。午後2時過ぎ。
その後、京都女子大の前を通って、七条通りを西に向かって、京阪の七条駅から電車に乗った。
こんな時間なら本当はアフターを楽しみたいところだけれど、明日は花の講座、明後日はまた山の随行が続いているので、今日はこのまま直帰することにした。
生駒山から私市
月曜日は今月初めての随行だった。
天気予報では午後から降水確率が高かったけれど、結果的には雨には降られず、まだまだ暑い一日だった。
生駒山は縦走路はおそらく20回くらい行っていると思うけれど、西側東側の登山路は鳴川峠から音の花温泉以外はまったく歩いたことが無い。
今回は石切から辻子谷(ずしたに)を登る。
石切駅を10時過ぎにスタートして、しばらく住宅街を歩くが、なかなかの急登だ。
こんな所に住んでいたら大変だろうと思う。
このあたりは昔は水車がたくさんあったらしい。薬草を挽くのに使っていたとか。今は機械化されているが、このあたりは薬草の香りが漂っていた。
道は石段になってきて、歩き出して1時間ほどで興法寺。
手洗いの水は飲用不適とのこと。山上に遊園地があるせいだろうか。
この先もなかなかの急登が続く。
興法寺から15分くらいで舗装されたハイキングロードに出た。ここは通い慣れた道。
トレランで来た時はいつもここから登山路に入るが、今日もそのルートで山頂へ向かう。
一気に登って遊園地の階段へ。
山頂の展望エリアで昼食にした。
食後には一等三角点へ。
時間があったので初めて龍光寺へ行ってみた。
下山は奈良側で、途中までケーブルを使う。
梅屋敷で下車して寶山寺へ。
昔なら登りたくなりそうな大きな岩場。
昔の参道の石段を下る。
ちょうど2時頃に近鉄の生駒駅に到着して、解散となった。
私はここから歩いて私市へ向かう。
暑いし、荷物もあるので、早歩きで車道を行く。
私市へ向かう道は歩道が広く、車もそれほど多くないので、下道にしては快適に歩けた。
歩き出して45分くらいでトレランの時に室池へ向かって山道に入る分岐に来た。
ほどなく飯盛霊園。ここまで生駒駅から1時間弱。
トレイルに入ってから、いつも登ってくる林道への道ではなくて、トイレのある峠に向かう道に入った。
この道はずいぶん前に一度だけトレランで走ったことがあって、下に下りるよりもアップダウンが無くて楽と思い込んでいたのだが、実はくねくねと曲がっていて、距離的にはずっと長いということに気が付いた。
おまけに分岐でミスして結局沢筋を下ってしまって、ずいぶん大回りして峠に着いた。
そこからは展望台を経由してピトンの小屋へ下りることにした。
飯盛霊園に入ってからここまで40分もかかってしまった。
私市駅に到着したのは4時23分。生駒駅から2時間15分かかった。11.5km ほどあったので、UTMF で何とか関門を通過できるペース。
駅前の自動販売機で缶ビールを買って、ホームのベンチで一気に空けた。うまかった。
陸上クラブ合宿
先週末は久しぶりに陸上クラブの合宿に参加してきた。
数年前にクラブに入ってから何年かは当然の様に合宿に参加してきたけれど、登山教室の随行の仕事をやるようになってからは日程の都合がつかなかったりというようなこともあって、しばらく足が遠のいていた。
今年も当初は参加するつもりは無かったのだけれど、酷暑のせいで夏場にあまりにも走れず、かと言って今さら疲労の残るようなロング走はあまりメリットが無いと思って、刺激を与えるつもりで直前になってから合宿に参加することにした。
土曜日の午前中は定例の練習会で、競技場でインターバル 1000×5 をやった。
4’30” で入って、少しずつペースアップしてラストは 4’19″。
昔のフルマラソンの平均ペースよりもはるかに遅いけれど、今はこれくらいで十分という感じ。
午前の練習を終えてから車に分乗して滋賀県野洲市の近江富士花緑公園へ向かう。
午後3時頃にスタートして、近江富士の三上山へ向かう。
これまで何度も眺めてきたけれど、私自身は登るのは今回が初めて。
登山教室と違ってそれなりの走力のある人達ばかりなので、急坂を必死で登る。
スタートしておおむね 30 分くらいで三上山の山頂(432m)に到着した。カメラは持っていなかったので写真は無し。
琵琶湖越しの比叡山がきれいだった。
その後、登ったのとは反対の西側に下りて、山麓の周回コースを時計回りにほぼ半周して元の道に戻った。
走力のある何人かが周回コースをもう1周に出かけて、他は宿へ。しかし私はもう1周はきついけれど、このまま戻るのはちょっともの足らないと思って、もう一度三上山へ登ることにした。
ここから山頂までは 15 分くらいだった。
速攻で下山して、風呂に入って、夜はバーベキュー。
二次会からは早々に退散して、早々とふとんに入った。
日曜日の朝は宿の近くを 15 分ほど散歩して、朝食をとってから、近くの希望ヶ丘へ。
ここは本当に広大なエリアで、中央道という舗装道路を端から端まで行くとほぼ 4km になる。中心部には大きな芝生のエリアが広がっていて、野球場や陸上競技場、キャンプサイトなども設置されている。
ただ、レストハウスなどの設備はいささか古めで、随分年数が経っている感じ。
私はこの中央道を何人かで往復したあと、芝生のクロカンコースと称されている 2km 弱を休憩をはさみながら3回ほどまわった。
最後に2チームに分かれて短距離のリレーで競い合って、合宿終了。
以前に参加した合宿では自分でもよく走ったと思えるほど追い込んで走ったけれど、今回は腹八分目という感じ。でも楽しかったのでそれなりに満足している。