富士山が世界遺産に登録されることになって、その人気にさらに拍車がかかっているようだ。これからの2ヶ月間はほぼ連日、荒天の時以外は五合目より上の登山道は登山者の行列が絶えないだろう。
世界遺産に登録されることによるメリットがいかなるものか、私にはよくわからない。観光客が増えて、宿泊施設や土産物屋、観光施設などが売り上げが伸びることを期待しているのだろうが、いろいろと細かく制限されるようになるはずだ。何よりも『遺産』としての価値を保たなければならない。これまで許されていたことで、できなくなるようなことも出てくるはずだ。
『新しいアイディア』というようなものはあまり歓迎されず、『現状を維持する』ことが重要になってくる。
登山者の数も、何らかの方法で制限するような方向にならざるを得ないだろう。
頭に浮かんでくるのはそういうネガティブなイメージばかりだ。少なくとも私にとってはメリットは何も思い浮かばない。
私自身はこれまで3回、富士山に登っている。そのうちの2回は20年ほど前の富士登山競争で、河口湖そばの役場前から標高差3000mを駆け上がった。ただし本当の最高地点までは行っていない。
2回とも天候に恵まれて、頂上から見下ろした景色の素晴らしさと、人間の能力の大きさに感激したことをはっきりと覚えている。もちろん、苦しさも日本最高レベルだったが。
あとの1回は小学生だった息子を連れて、富士宮側から本当の頂上まで登った。もちろん日帰りで、山小屋には泊まっていない。
いずれも平日だったせいもあって、最近のニュースで見るような激しい渋滞状態ではなかった。しかし最近は、夏山シーズンは平日でも五合目から頂上まで、ずっと渋滞が続くらしい。わざわざ山まで行って、あんな渋滞の中を歩いて、何が楽しいのだろうかと思ってしまうが、それでも登山者数はどんどん増える一方のようだ。
富士登山競争も、今年は行われるようだが、来年以降はどうなるのだろうか。世界遺産の山で登山競争なんて、ちょっとふさわしくないように思えてしまう。
唯一の心残りは、富士山をスキーで降りるということで実現できなかったこと。山スキーヤーなら一度は滑ってみたい場所なのだが、関西からはアプローチが遠い。なかなか思い切れないうちに山スキーからも離れてしまった。
富士山へはもう二度と行くことは無いだろう・・・。そんな感じがしている。