ウチの家には柿の木がある。
息子が11月に生まれたので、秋に実のなる富有柿の苗を庭に植えた。この秋で21年になる。
手入れらしいことは枝の剪定以外は何もやらないが、毎年たくさんの実をつけてくれる。間引きなども一切やらないので小ぶりだが、甘くておいしい。
毎年、今くらいの時期に、実になる部分が自然に落ちる。これは正常に育たない実や、一つの枝にたくさんありすぎるものを、木自身がふるい落としてしまっているらしい。
これを『生理的落果』。英語圏では『june drop』と言うらしい。
自然界では動物でも、生命力の弱い子供は淘汰されていくが、人間だけは発達した医療のおかげで超未熟児も超高齢者も、瀕死の重病患者も、可能な限り生命を維持させようとする。
身体の大きさや構造などを基準に他の動物と同じように考えると、人間の寿命は50年から60年くらいが妥当というような話を聞いたことがある。
ガンが増えているのも基本的には寿命が伸びたことが一番大きな要因で、長生きすればそれだけ病気になる可能性が大きくなるのは自然の摂理だろう。あの三浦雄一郎さんだってたくさんの病気を抱えている。
私自身は長生き願望はまったく無いし、頭の中では『死ぬならガンがいい』と思っているのだが、いざその時に直面したら果たして自分がどのような気持ちになるか、それは自分自身、楽しみでもある。