第9回六甲縦走キャノンボールラン・復路編前半

須磨浦公園の駅前には片道コース(スピード)の参加者がたくさん集まっている。天気も良く、今日は暑くなりそうだ。
須磨浦公園駅前.JPG
復路は少し長めの報告になりそうなので、2回に分けて書こうと思う。
スタートの予定は7時半。休憩が1時間少々というのはちょうどいいくらいだ。足をマッサージして疲れを取って、復路スタートの準備をした。
いつものパターンで、復路スタートの時間が7時45分になるとのこと。おそらく宝塚到着は暗くなってからになるだろう。
集団の後ろの方からスタートする。結局、おにぎりは到着しなかった。蒸しパンを食べておいてよかった。
スタート直後に右側の階段のショートカットに行くのだが、ここが大渋滞になっている。参加者は300人少々くらいだが、二人は並べないくらいの狭い階段なので、しばらく待っていなければならない。いくらあせらないとは言ってもスタート直後にただ待っているのはあんまりなので、多くの人と同じく、大回りのヘアピンコースへ行った。次の階段からは幅が広くなるので、歩きのペースならスムーズに行ける。
思ったよりは楽に旗振茶屋まで上がって、ここからは少しトレイルを走る。スピードの人たちがどんどん追い抜いて行くが、気にせずに自分のペースで行く。目標は10時間以内だが、まずは完走できなければ話にならない。
高倉台の横断橋の緩い登りも走りのリズムで乗り越えて、いよいよ栂尾山への階段登りである。狭い階段なので、ここで一人遅れたりすると厳しい目に遭うのだが、何とか流れに乗って登り切ることができた。
復路序盤2.JPG
集団について走っていたが、詳しい人が前で先導しているようで、栂尾山の頂上は手前でトラバース。横尾山もやや細い道をトラバースして頂上をパスして行った。しかし私は集団からは徐々に遅れ気味になり、道幅の広い場所ではしばしば後続に道を譲ることになる。
渋滞が予想された須磨アルプスは以外とスムーズに通過して、馬の背での写真撮影もパスして先を急ぐ。
妙法寺住宅街の最初のエイドでコーラとスポーツドリンクをいただいて、交差点を越えてからはいつものショートカットで高取山への登りに入る。
丸山の住宅街あたりまで来ると、緩い登りでも走るのが厳しくなってきた。ジェルでエネルギー補給をする。
鵯越を過ぎて、水道局の前で二つ目のエイド。ここは往路にもあったところだ。往路の時は小さなおにぎりがあったのを覚えていたので、須磨で食べられなかった分を補給したいと思っていたが、すでに無くなっていた。往路の時よりは具の少なくなったスープとお茶をいただく。
水道局前エイド.JPG
いよいよ復路最初の難関の菊水山への登りにさしかかる。登りは最初は苦しいが、5分くらいすると身体が慣れてきてリズムに乗れるようになる。こうなるとしばらくはそのまま登り続けることができる。ちょうどそういうリズムになってきたところ、前方が長い列になっていて、ゆっくりペースでしか登れなくなってしまった。3歩登ったら少しストップという状態でイライラする。しかし仕方ない。
結局、菊水山の頂上までずっとそのままで、復路スタートから3時間20分ほどかかった。できればあと10分くらいは早く着きたかった。
今度は頂上エリアはパスしてすぐに下りにかかる。例の横道への目印を逃さないようにと注意していたのだが、それでも見逃してしまって、無駄な下りと登りをやることになってしまった。ほんのわずかのことなのだが、こういうミスは精神的ダメージが結構大きい。
天王吊橋を渡って、第二の難関の鍋蓋山への登りに入る。こういう登りは嫌いではないのだが、このあたりからかなり疲れを感じてきた。どうもガス欠ぎみのようだ。ここを登って下ると次のエイドなので、何とかそこまでは頑張ろうと思うが、目に見えて身体が重くなってきた。
これはヤバイ!!。リタイアという気持ちがチラッと頭をかすめたが、今回は宝塚に荷物を預けているので、リタイアしてもまた宝塚まで行かなければならない。これは何としても避けたい。
いよいよ手持ち食料の最後の大福餅を食べるしかないと思い、何とか鍋蓋山の頂上までは行きたいと思ったが、そんなことに拘っている場合ではないと思い直して、道ばたが少し広くなったところに腰を下ろして、補給することにした。
頂上はそこからほんのわずかのところで、少し下って次のエイドに到着した。ここでは豚汁をいただいた。前回のここの豚汁は塩辛くて、おまけに水が無くて困ったのだが、今回はそういうこともなく、おいしくいただくことができた。ただ、本当のところは炭水化物がほしいのだ。次の市ヶ原のエイドに何かあることを期待しよう。
走らんかい他.JPG
再度エイド1.jpg
市ヶ原のエイドまではわずかの距離だったが、期待した炭水化物はすでにおかゆが売り切れとのことでがっかり。しかし鍋を覗くと底の方に少し残っているので、ムリを言ってそれをお皿によそってもらった。ほんの二口程度だったが、それでも気分的には随分満たされた。
ここまでスタートから5時間。できれば掬星台まで5時間半くらいで行きたかったが、おそらく6時間を少し超えるだろう。宝塚到着があまり遅くなると、荷物を後から取りに行かなくてはならなくなってしまう。
これからいよいよ復路最後の難関、摩耶山への登りだ。ここを登り切れば完走が見えてくる。菊水山の登りのような渋滞を心配したのだが、それほどの渋滞は無く、おおむね自分のリズムで登ることができる。ガス欠状態もすでに持ち直していた。
もうあとひと踏ん張りかと思っていたところ、下りで道をゆずってくれた女性をふと見ると、何か見覚えのあるお顔。あの、佐藤光子さんだ。京阪神のトレイルならどこで出会っても不思議ではないが、六甲というのはこれまでホームページでも見た記憶が無かったので、非常に以外な気がした。
少しの間、お顔を見つめてしまったので、このまま黙って通り過ぎると『変なオッサン』と思われそうな気がして、思い切って『サトウセンセイですよね』と声をかけた。
ご本人にお会いするのは初めてだ。少しだけお話しさせていただいたが、『UTMF なんかは出場されないんですか?』とお聞きしたところ、『エイドがあるような大会はあまり好きではなくて、全部自分で背たろうて(ご本人の弁)行くのが好きなんです』とのお返事。
これは目から鱗というような視点で、この『背たろうて』というお言葉がその後ずっと、私の頭にこびりついている。
おかげさまで気分が高揚して、それから掬星台まではあっと言う間だった。スタートからほぼ6時間だった。